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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第四章
197/200

197 禁術の大魔法使い

 それでだ、ドラトウスとドラキュリアの存在。

 精霊とのハーフであったとしても禁術魔法を使えるか否かで話が違ってくる。

 禁術魔法が使えるということはすなわち神の使途だ。


 神の使途ということは、すなわち勇者パーティー同様、魔法回路を用いて大規模魔法の発動が可能ということ。

 今ここにいる勇者パーティー7人に加えてドラトウスとドラキュリアを合わせれば合計は9。

 より規模のデカい魔法の構築が可能だ。


 刹那、上空に視界から見切れるほどの魔法陣が展開された。

 ドラトニスが静かに空に浮いていたのは術式を構築していたからなのだろう。


「世界のリセットを始めたみたいだ」

「魔法陣の規模が違いすぎるわね……」

「説明してる時間はない。さっきドラトニスがやったみたいに、ここでもう一度魔法を展開する。みんな、協力してくれるか」


 もちろんだ、と返答が返ってきた。


 理想の世界というのはさぞかし居心地がよいだろう。

 だがその代償にすべての人々を犠牲にするなんてことは許されない。

 そんな大それたことを俺から派生した存在がしでかそうとしている。

 俺がそれを阻止しなければならない。


 アレクシスとして十五年生きてきた知識に、莫大な時間を生きてきたドラトニスの叡智を組み合わせ、魔法を構築していく。


 ふわりと体が浮き上がった。

 俺以外の勇者パーティー、そしてドラトウスとドラキュリアも同様に移動を開始し、帝都の中心で円を描くように並ぶ。


 均等な感覚を保ちながら、それぞれを繋ぐように魔力が流れ始める。

 よし、全員との同調がとれたようだ。

 ギラリと魔力が輝き、9点を結ぶように九芒星の魔法陣が浮かび上がった。


『ト゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛√﹀╲_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲▁︹_/﹀╲_︿╱▔︺╲/————ッ!!』


 ドラトニスの咆哮が響く。

 どうやら気づかれたらしい。

 それもそうだろう、今発動しているのはドラトニスが発動させたものと同じ原理を用いている。

 つまり神喰いの魔法だ。

 精霊と化し、神の領域を突破したドラトニスの魔力を吸い取って発動しているのだから。

 コレを発動させるには最低でも8人が必要だ。だからこそ、油断どころか気にも留めていなかったのだろう。


 即座に極光の魔法が空から降り注いできた。

 だが、今この瞬間、神の力を奪って発動する魔法は神の力を防ぐことができる。

 アーネリアフィリスから闘戦士に与えられるが魔力が足りなく通常であれば使えない魔法、補助系統の最高峰に位置する時空結界。

 空間を歪めて敵の攻撃を防ぐというものだ。

 リリーとミミーを中心に結界を展開させ、それ以外のメンバーで効果向上の付与を全力で行う。

 供給される魔力は全てドラトニスから奪っているのだから魔力切れで死ぬ恐れもない。

 この場で、この状況でしか発動はできないが、まさに究極の防御魔法だ。


 断絶された空間が神となったドラトニスの攻撃魔法を防ぎきる。

 うかつだったな、ドラトニス。時間がありすぎた故に色々な魔法を考案しすぎだ。

 それが今、全て俺の手の中にあり、7人と2体というドラトニスの想定を上回る状況下で発動している。


 さて、奪ったものを返してもらおうか。


 魔法陣は輝きを増し、爆発的なスピードで展開していく。

 発動した魔法は宙に浮かぶドラトニスの肉体を融解させ、中心へ向けて集約させていく。


 大規模な魔法の中心で、集まった魔力が俺たちを包み込んでいくのがわかった。

 俺たちの心はつながっている。

 繋がっているからこそより強固なものとして、精霊へと昇華、神の領域へと至る。


『――――――――』


 どうやら、ドラトニスの抵抗により全ての力を奪うことができなかったらしい。

 およそ半々といったところか。


 俺の視界は今、ボロボロになった帝都を見下ろせる上空にある。

 そう、魔法の発動により精霊に昇華、ドラトニスと同様に神と同等の力を保持して巨大な肉体を保持している。

 一言でいえば、ドラゴンだ。

 うむ、元ドラゴンであったというのは本当なのか、凄くしっくりとくる。


『やってくれたなぁ、大魔法使い様よ』


 先ほどよりも肉体が縮小したヒト型のドラゴンが俺にそう言い放った。


『それはこっちのセリフだ』

『俺以外が使っちゃいけない禁術魔法なんだぜ?』

『俺だったヤツが作った魔法なんだから、実質俺のもんだろ』

『笑えねぇな、禁術の大魔法使いは一人で十分なんだよ』

『なら、俺だけで十分だな。全てを犠牲にするなんて愚かなことはさせねぇよ』

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