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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第四章
196/200

196 うっそだろおい!

 考えろ。

 状況を打破できる方法を。

 まず、勇者パーティーというのは優秀な魔力回路だ。

 神が与えた魔法術式を記録させ、それを容易に実行させる、いわば生きた魔道具に近い。

 故に、ドラトニスはそれを利用して勇者パーティー8人で大規模な魔法を実行させた。

 恐らく、今の俺なら同じことが可能だ。


 現在ここにいる勇者パーティーは7人。

 ドラトニスが使った魔法を再現するには1人足りない状況だ。

 例えば精霊の一柱でもいれば勇者パーティーの代用として魔法の構築に協力してもらえただろうが……それを見越してドラトニスは先に精霊を吸収したのだろう。


 新たな精霊を生み出す……というのは現実的ではない。

 術式が想定できないほど複雑になるし、精霊に近い存在を精霊に昇華させるほうが、遥かに簡単でコストが安い。


『アレクシス様』


 ふと、聞き覚えのある声が聞こえた。

 視線をやると、


「お前ら、逃げてなかったのか」


 黒ドラゴンと白ドラゴンが巨大な翼を動かしながら宙を浮いていた。


「んなぁ、ドラゴン!? ドラトニスが雷で撃ち落としたのよりでかいじゃない!」

「アディソンさん、様子を見るに敵ではなさそうですよ」

「ドラゴンの肉、食べたことない、じゅる」


 過去の勇者パーティーは戦々恐々としている様子……ではないか。

 ん……待て、出会う度にデカくなってるのはいつも通りだが……なんだ、この雰囲気は。


『気が付いたか、邪神ジュレストネレスが滅びたことにより枷が外れた』

『真の意味で現世に獣としてよみがえったのじゃ』


 元アーネリアフィリスの配下である獣だ。

 他の魔物とは少々違った生態だとは思っていたが……、


『そう、我こそが獣精霊カオスの血を引く獣王・ドラトウスだッ!!』

『そして、わらわが獣精霊ヴァルキュリアの血を引く獣妃・ドラキュリアじゃ!』


 あ、テンションはそのままなんだ。

 白ドラゴンのほうもハイテンションになってる。

 というか、今すんごいこと言ってたぞ。

 獣精霊というと……まだ平和だった頃の聖精霊の呼び名だ。

 それらの血を引いているということは、こいつら獣と精霊のハーフみたいな存在か?


「もしかして禁術魔法が使えたりして」

『うむ、全てを思い出したぞ。アーネリアフィリス様より授けられた魔法の威力に人々は恐れをなして逃げ出していたぞッ!』

『そしてドラトニス……今はアレクシスじゃの。そなた、元はわらわとドラトウスの子じゃ』

「……ん? ……え、今なんて?」

『我の子だ』


 爆弾発言にもほどがあるだろう。

 真実かどうかは過去のことだし記憶すら存在しないのでわからないが……、当時獣を統べていたドラトウスとドラキュリアの子供がドラトニスという獣だったという。

 だが、ジュレストネレスが邪神となって戦いとなり、獣は滅ぼされる。

 ジュレストネレスに力を奪われる際、ドラトウスとドラキュリアがせめてドラトニスの魂だけでも助けたいと注力し、それが功してアーネリアフィリスに保護されたらしい。

 しかし、獣としての概念は既にジュレストネレスに奪われ、獣として輪廻の輪に戻すことができない状況。

 仮初の肉体として人に受肉、勇者パーティーとして誕生した人間が俺の前世であるドラトニスだったのだ。


「いや、話はわかる。わかるけど俺ドラゴンだったのかよ!?」

「アレクシス様、わたし種族は気にしませんよ?」

「リンシア、それがコンプレックスで人間に転生したんじゃなかったっけ……」

「ちょっと何のことだかわからないですね、愛こそが正義です!」


 そうだな、愛はすごい。

 それはそうと、俺が聖精霊カオスと聖精霊ヴァルキュリアに適性があるように感じたのは、実質的に子孫だからだろうか。

 リンシアも以前はエルフであり、そのエルフの始祖のラグナが水属性を持つウンディーネの子供であったため、同じく水属性のリヴァイアサンで精霊化したときに相性がよかったのかもしれない。

 出生はわからないが、ニーナやリリーもどこかしらで各精霊の血を引いているのではないだろうか。

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