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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第四章
189/200

189 裏事情

 長年研究を続けてきたドラトニスであれば、それも可能なのかもしれないとぼんやりと思う。

 俺も魔法の研究についてのめり込むとワクワクが止まらない。同じように長い期間研究をすれば、いずれ同列の理論を編み出せるのだろうか。

 そんな研究をするためにも、まずは世界に平和を。


「……そもそも何でジュレストネレスは魔王なんてものを生み出して世界を滅ぼそうとしたんだ」

「ただの私怨だとよ」

「私怨……?」


 ドラトニスはくだらないといった表情で手をヒラヒラとさせる。


「ジュレストネレスは元々シュレストネレスって名前の人を司る神様だ、で対になるアーネリアフィリスが獣を司る神様ってわけ。ここまでオッケー?」

「待て待て、そこまでオッケーじゃないぞ」


 そういや魔精霊シェイドを倒した時にそんな情報が頭に流れてきたような気がするが。

 ドラトニスの説明を聞くと、闇落ちする前のシュレストネレスは人間たちと友好的であったそうだ。世界の隔たりがなく、上位存在である精霊がそこら中にいた。

 もちろん普通の人間には見ることはできなかったらしいけど。


「んで、命の源である水を司る精霊ウンディーネと、当時人間最強で精霊を生身で見ることができたノームが恋をして生まれたのがドワーフの始祖ドグマとエルフの始祖ラグナってわけだ」

「エルフとかドワーフが精霊とのハーフとか聞いてたけど、実話なのか。でも友好的な関係を築いてたのに何で今のような状況になってる」

「ノームが人間に殺されたからだよ」


 人は未知のものを極端に怖がる。見えないナニカと子を作ったノームを恐れる人間も存在したというわけだ。

 ノームはドグマとラグナを庇って死んだ。

 色々内容が割愛されたけど、人間の愚かな行為に絶望したシュレストネレスは邪神ジュレストネレスへと成り果てて世界を滅ぼそうって思い立ったらしい。


「ちなみに魔王の正体は殺されたノームの魂を魔改造した人っぽい何かだ。記憶もないしもうノームとは別人といってもいい、我が子の子孫さえもその手で殺させようってんだから狂ってるよな」

「聞けば聞くほど邪神ってのがしっくりしてくる。でも、それは人の自業自得というか……」

「それを言っちゃあおしまいだ。全員が全員、残念な奴らって訳じゃないだろ? それに今はジュレストネレスに取り込まれちまったけど、昔は獣もそこらじゅうにいたんだ。獣を司る神であるアーネリアフィリスがテメェなに自分の事情で世界を滅ぼそうとしてんだとキレたんだとよ」

「神様も大変だなぁ……」


 獣といってもパッとしないが、昔はドラゴンみたいな生物が魔物じゃなくて普通に存在していたらしい。

 獣と人のハーフがリリーのような獣人であるらしいのだが、獣としての特徴が耳や尻尾しか残っておらず、もはやほぼ人なのだとか。


 それで、やんちゃするジュレストネレスにアーネリアフィリスが喧嘩をふっかけた。

 がしかし、この世界と上位世界の断裂には成功したもののアーネリアフィリスが普通に敗北。

 獣はほぼ絶滅し、さらに獣の概念自体もジュレストネレスに奪われて魔物として利用されてしまったらしい。

 ジュレストネレスに従う精霊に獣の力を付与したのが今の魔精霊だとか何とか。


 泣きそうになったアーネリアフィリスがジュレストネレスを倒してほしいと人間に願いしてきたのが勇者パーティーの始まりだそうだ。

 やっぱポンコツ女神じゃないか。

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