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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第四章
179/200

179 疑い

 ざわざわと、帝国の拠点に不安の声が重なり合う。

 ドワーフ鉱山付近に存在する拠点に二百人近い人々が存在している。

 ドラトニスに授けられた魔法のひとつ。もしもの時のための保険と言っていた大規模転移魔法により、世界各国に存在する帝国の拠点それぞれに帝都民が一斉に飛ばされたようだ。


「オスヴァルト皇帝陛下、御無事でなによりです」

『諸君らも無事でなによりだ。そして第五柱・魔精霊シェイドの討伐、大儀であった』


 会話可能な魔道具から皇帝陛下の声が響く。

 激しい頭痛が収まり、事態を確認する為に帝国の拠点に戻った直後、皇帝陛下から連絡が来た。

 皇帝陛下も他の帝都民と同じく転移されて、現在は旧獣人王国付近の拠点に居るそうだ。

 魔精霊シェイド討伐に対してお褒めの言葉を頂くが、その口調は晴れない。


『密偵よりアレクシス及びリンシアが以前の大魔法使いドラトニスと接触したことは聞いていた。その際に授けられた魔法により第五柱・魔精霊の討伐を行い、そして大規模転移魔法と見知らぬ召喚魔法が意図せず発動したと。間違いないな?』

「おっしゃる通りです」


 大陸に広がる転移魔法陣はまだ完全に発動はしておらず、現在も構築が進んでいる。

 俺の手からは完全に離れてしまったようだ。ドラトニスから授けられたブラックボックスが魔法発動のトリガーであったが、魔力供給源は俺ではない。


『現在、魔王の魔力源であるドワーフ鉱山の大穴から魔物が溢れ、各地に向かって移動しているという報告にも間違いはないか』

「はい、間違いありません」


 魔精霊に魔力を供給されるための土地と思われていた場所からは現在下級から上級の魔物があふれ出している。

 かつ、その魔物たちが通常の人間には不可視である精霊の魔力によって描かれた魔法陣に沿って移動をしている状態だ。

 人間やドワーフには一切目もくれず、ただ与えられた使命を全うするように。


『旧獣人王国に存在する魔力源でも同じことが起こっている。他の拠点の報告でも同様の事象が起こっているそうだ』


 故に、確実に敵側の魔法であると思われるのだが。

 問題はその魔法のトリガーが俺であったということ。


『アレクシス、君は我ら人の味方か』

「アレクシス様が敵であるはずがありません!」

「そうよ! アレクシスがアタシたちを裏切るはずがないわ!」

「アレク、絶対リリーたちを捨てない。約束したから、子沢山」

「そのドラトニスーとかいう胡散臭い奴の仕業じゃないの? 迷惑な野郎ね、ホント」


 皇帝陛下の言葉にリンシア、ニーナ、リリー。そしてついでにアンナも意見を投げつけた。

 俺への信頼は嬉しいが、相手は一国を治める皇帝陛下だぞ……。ニーナは次期皇帝陛下かもしれないけどさ。


 俺は世界を滅ぼしてやろうだなんて一切考えていない。

 むしろ平和になったら沢山繁栄させてやろうとまで思ってる。

 だが、俺の潔白というのを完全に証明することは不可能だ。

 現在帝都は転移座標が完全に固定されてしまっているせいか、転移魔法で様子を確認しに向かうことすらできない。

 本当にドラトニスが俺にこんな魔法を発動させる理論を仕込んでいたのか、そして何を企んでいるのか、分からない状況だ。

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