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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
169/200

169 聖剣回収

 ひとまず、眼を覚ましたエルミアは聖剣の修復に協力してくれると承諾してくれた。

 むしろ、魔王との戦いにも手を貸してくれるとまで。ありがたい話だ。


 そんな訳で、アグナが形状を修復し終えたら改めて依頼する予定だ。

 そろそろ聖剣の修復に取り掛かってから二日程度経過するので完成しているかもしれない。


「ちょっとアグナさんの様子を見に行こうか」

「うん、もう完成してるかもしれないね」


 転移で移動しようかと思った矢先、何やら視線を感じた。

 窓の外から白ドラゴンがオロオロとした表情で覗いている。

 うん、忘れてた訳じゃないぞ。

 窓を開き、白ドラゴンと対面する。


『あの、わらわはどうすれば……』

「えーっと、どうしようか」


 実はエルフが飼いならしていた個体だとは知らずに心を折ってしまったからなぁ。


「森を焼くつもりが無様に敗北し、命乞いをするものだから森に住まわせてやったと聞いている。エルフにとっては居ても居なくても問題ない存在だ」


 ルグドアの言葉に白ドラゴンが精神的ダメージを受けているようだ。

 居ても居なくても問題ない存在であれば引き取ってしまって大丈夫そうだな。

 ドラゴンは何かと役に立つという前例があるので、白ドラゴンも何かしらの役に立ってくれるだろう。


「じゃあ、拠点の方に転移させるから先輩ドラゴンに挨拶でもしといてくれ」

『む、先輩? わらわの他にもドラゴンを従えておるのか?』

「そんなとこだ。じゃあな」


 何か言いたそうな表情をしていたが、転移が完了してドラゴンの姿が消え去る。

 神級魔物・ダークネス・エンド・カースドラゴンと仲良くできることを祈ってるよ。


 白ドラゴンを飛ばしたので、俺達も聖剣の様子を確認する為アグナの屋敷の前へと転移した。

 屋敷の隣には工房も併設されており、アグナはその工房に籠って聖剣の修復をしている。

 門番に声をかけるとにこやかな表情で工房まで案内してくれた。

 ドワーフの仲間を助けたことで好感度が高くなっているらしい。

 おっさんのスマイルはあまり嬉しくないけど。


「アグナさん、聖剣の修復はどうだろうか?」

「お前らか……」


 工房にいたアグナに声をかけると、少し険しい表情をしてこちらに視線を向けた。

 手には元の形に修繕された聖剣が握られている。


「すごい、あんなにポッキリ折れてたのに綺麗に治ってる」

「治ってなんかいねぇ、お前も勇者ならわかんだろ。この聖剣カラドボルグにゃあ、力が宿ってない。形だけのハリボテだ。こんなもんは聖剣とは呼べない。どこで間違った、工程に間違いはなかったはずだ」


 確かに、以前ニーナが振るっていた時の迫力は今の聖剣からは感じ取れない。

 が、それは恐らく精霊の魔力が込められていないからだろう。

 アグナだけでは聖剣の修復は完了しない。


「アーネリアフィリス様からの追加の神託だ。ドワーフであるアグナさんが折れた聖剣を打ち直し、エルフがそれに精霊の魔力を込めることで真の力を取り戻すってな」

「……あの引きこもり野郎どもの力が必要ってことか。気に食わねぇが、今の俺にはどうあがいてもこれ以上何もできねぇ。それが神の意志ってやつなら従うだけだ」


 何やらエルフに対していい印象を持っていなさそうな雰囲気だが……。

 ひとまずそれを受け入れて聖剣をニーナに手渡した。


「ありがとう、アグナさん。これでアタシも本気で戦えるわ」

「まだ力を込めねぇといけないんだろ。さっさと行きな」


 アグナはプイと背を向け、手をヒラヒラとさせている。

 聞いた話によるとアグナは照れ隠しをするとき背中を向けるらしい。

 つまり今、ニーナにお礼を言われて照れているのだろう。

 美少女スマイルの破壊力は凄まじいからな。

 いかんぞ? ニーナはもう俺の女なのだから。

 

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