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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
167/200

167 眠り姫

 ルグドアの後について、屋敷の奥に進んでいく。

 何とも飾り気のない屋敷だった。

 種族柄、慎ましい生活習慣が身についているのかもしれない。


 帝都にいたハーフエルフたちも薄味の食事を好み、静かな雰囲気であったし。

 そう考えると元エルフのリンシアは一見御淑やかに見えるが、かなり激しい。色んな意味で。

 人間に生まれ変わった影響だろうか。

 あ、何だかニッコリと睨まれたのでこのぐらいにしとこう。


 奥の部屋に到着した。

 中に入ると、ベッドに横たわる一人のエルフがいた。

 整った顔の女性のようで、スヤスヤと眠っている。

 髪の色は……リンシアと同じプラチナブロンドだ。


「私の妻、エルミアだ」

「眠っているのか?」

「……ああ。病に侵され、起きている時間はごく僅かだ」


 エルミアというエルフは難病に侵されているらしく、病状が進めば眼を覚まさなくなり眠ったまま死に至るそうだ。

 長命なエルフが、ごく稀に患うらしい。

 エルフの使う強力な治癒魔法を以てしても、この病気は治らないらしい。


「昨日、妻がほんのわずかな時間目覚めた時に話をしてくれた」


 長い眠りの中でエルミアは夢を見たらしい。

 遥か昔、かつての魔王が世界を荒らしていた時代。

 始祖のエルフ、ラグナが精霊魔法を用いて聖剣カラドボルグに魔力を授けるといった内容。

 その力は自分にも宿っている、そう感じたそうだ。

 間違いなく、アーネリアフィリスによるものだろう。


「夢の話通り、聖剣カラドボルグの修復を依頼するあなたたちが現れた。おそらく、妻にはその力を持っているのだろう」

「次にエルミアさんが眼を覚ますまで待っていればよい、ということですね」

「待つのは構わないが、妻がいつ眼を覚ますのか予想できない。昨日眼を覚ました前は一年近く眠ったままだった」


 げ、一年も寝たままだったのか。

 どうやらエルミアの病気はかなり進行しているらしく、次は一年間の眠りでは済まないかもしれないとのこと。

 長命なエルフからすればあっという間かもしれないが、さすがに数年間も待ってはいられない。


「リンシアの治癒魔法って病気にも効いたよな?」

「ええ、アーネリアフィリス様がわたしの協力が必要と言っていたのはこのことでしょう。確かエルフの始祖ラグナ様も眠り姫の病で最期を迎えたのでしたね」

「よくご存じだ、エルフの者でも一部でしか知らない内容だが。どこでそれを?」

「もともと知っていただけですよ」


 ルグドアが不可解な表情をする。

 多分、リンシアがコルネリアだった頃の記憶なのだろう。


 エルフのかかる病、通称眠り姫と呼ばれる病だが。

 通常の禁術魔法による治癒では治すことができないらしい。

 闘戦士が特別な肉体強化魔法が使えるように、大聖女もまた特別な治癒魔法が使える。

 それを用いればエルミアの病が完治するかもしれない。


 ちなみに、大魔法使いの特別な魔法は精霊召喚魔法が該当する。と思う。

 精霊を召喚するんだから俺が聖剣に魔力を込めれるのかなと思ったけど、どうやら概念そのものが違うので、できないそうだ。

 精霊の血を引くエルフだからこそ、上位世界の物質である聖剣カラドボルグの刀身に魔力を込められるとのこと。

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