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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
165/200

165 拒む理由

 落ちてきたエルフはふにゃりと脱力し、ちょっと言葉で言い表すには危ない表情になってしまっている。

 全力の心象魔法、それが二重になって襲い掛かったのだ。

 美男美女であるエルフの表情が情けなくなってしまうのも仕方ない。


 しかし、姿を見つけることができなかったということは、エルフたちも俺やリリーと同様、隠蔽系の魔法を扱うことができるようだ。

 それもかなり精度の高いものを。


 ひとまず、大変なことになってしまったエルフの治癒をリンシアにお願いする。

 緑の光が放たれた後、偵察に来ていたと思われる二人のエルフがムクリと起き上がった。


「不覚、侵入者に慈悲をかけられるとは。貴様ら、何の用があってエルフの森にお越しいただいたのでしょう」

「我ら純潔のエルフの地に足を踏み入れていいのは同族のみ、ようこそいらっしゃいました」


 あ、これはあれだ。

 心象魔法によるトリップが抜けきっていない。

 敵意を向けようとしているのに、俺とニーナに対して完全に心を開いてるからおかしな言動になっているようだ。


 何だかエルフの森まで先導してくれるとのことなので、お言葉に甘えることにする。

 心象魔法の効果事態は一時的なもので依存性はない。術式を変えれば依存性を持たせることもできるだろうけど……。

 ともかく、しばらく時間が経過すればエルフの調子も元に戻るだろう。


 案内をしてもらいつつ色々質問をしていると、最初はトゲトゲした態度だったのがだんだんフレンドリーになってきた。

 あれ、症状が悪化してない?

 もう心象魔法の魅了は解いてるんだけど。


「エルフはどうして部外者を森に入れたがらないんだ?」

「はい、我らが部外者を拒むのは昔、悪党共がエルフの持つ力を狙ったからです」


 どうやら魔王がいなくなった後、権力を保持しようと躍起になっていた国や組織もあったらしい。

 エルフは禁術魔法に近い出力の魔法を用いることができる。

 その力を手に入れようとエルフの森に侵略を行った悪党がいたそうだ。

 全部返り討ちにしたそうだけど。


「後は、エルフの森には精霊の魔力が満ちています。常人が長く滞在すれば気が狂ってしまうでしょう」

「微かな記憶でそんなことを聞いた記憶がありますが……、失念していました」


 リンシアもなぜ、エルフの森が部外者を立ち入らせないかの記憶は思い出せていなかったらしい。

 ドラトニスの言っていた記憶の欠落とはこういう部分なのだろう。

 もし魔法術式で重要な部分の記憶が欠落していたら、本にして残しても、その本の在りかについての記憶が欠落したら。

 リスクはいくらでも考えられる。


 それはともかく、精霊の魔力が満ちているか。

 ある程度の魔力量を保持していれば気が狂うことはないそうだが、上級魔法程度しか使えない魔力量だと確実にアウトらしい。

 そういった理由があるから、エルフは自分たちの土地に部外者を踏み入れさせないのだそうだ。


 しばらく歩くと整備された土地が見えてきた。

 それを守るように連なるエルフの軍勢、はい、完全に敵対状態でのお迎えです。

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