表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
163/200

163 リンシア式調教法2

『グルルルルル……』


 ん、なんだか別の鳴き声も聞こえてきたぞ。

 魔物っぽい声なのは違いないんだけど、のたうち回って死にそうになっているのではなく、活き活きとしたような。


「ち、近づいてきてる……?」


 声は徐々に大きくなり、ズシン、ズシンと地面を鳴らす音も聞こえ始めた。

 魔法による幻覚ではなく、何かが存在してる?

 少なくともエルフでないというのは確実だろう。

 大魔法使いの杖を転移させ、備える。

 そして、森の奥から姿を現したのは――、


『人間と獣人じゃない。可哀そうに、わらわに見つかってしまうとは』

「ドラゴンだ」

「ドラゴンですね」

「ビックリする準備して損しました」

「ぷいぷい」

『ほう、わらわをドラゴンと知って動じぬか』


 全身を覆う硬質な白い鱗、他者を威圧する鋭い視線。

 色は違うけど、紛れもなくどこかで見たドラゴンとそっくりだ。


「なんでこんなところにドラゴンが? リンシア、前回エルフの森に行ったときは出くわさなかったのか?」

「そうですね……前回は一人だったので全速力で森を駆け抜けていましたので……。どうでしょう、もしかしたら居たのかもしれません」


 あー、うん。

 禁術級の肉体強化魔法で移動してたから速すぎて逆にドラゴンを察知できなかった的な。


『まあよい、人間ごときがわらわに敵うはずもない。血に飢えていたところじゃ、久々に遊ばせてもらおうぞ』

「ちょっと今相談してるから黙ってて」

『え、あっ、はい』


 心象魔法による威圧で黙らせておいた。

 放っておくと俺の知ってるドラゴンのように調子に乗り出す気がしたからな。

 しかしながら多少の実力を持っている為か、完全に威圧は効いていないように思う。

 こいつも上級以上、禁術未満の実力といったところか。


「どうする、前みたいに手名付けるか?」

「そうですね。ドラゴンは移動手段や、見た目の恐ろしさから抑止力となったりもしますし。活用の仕方は様々かと思われます」

「なら決まりだな」


 白いドラゴンの運命は決まった。

 俺達の前に姿を現したのが運の尽きだ。

 杖を構え、超低出力で禁術魔法を構築していく。

 ホントに最低限の出力にしないと死んじゃうからな。


「さて白いドラゴン、先に言っておこう。ドンマイ。一応、仲間もいるし楽しくやっていけるよ。多分」

『何を訳を分からぬことを言っておる。先ほどはちょーっとだけビックリしたが、耐えられるほどではない。わらわが八つ裂きにして――』


 白いドラゴンの声を遮り、森の中で雷鳴が響いた。

 そして目の前にはプスプスと焼け焦げたドラゴンの姿が。


「いい焼き加減です、これで元通り」

『は……気のせい? 今、人間が凄まじい魔法を放った気がしたのじゃが』

「はい、アレクシス様。もう一度半殺しにしてください」

『え、ちょ……え……?』


 なんか、前回もこんなやり取りしてた気がするな。

 バチンと雷を放ち、こんがりと焼く。

 そして即座に元通り。


『まて、貴様ら、わらわに何をした!? ギィアッ――あ、また治って……ままま、待つのじゃ! まっ……ギィアアアァァァ――――!』


 リンシアさん、今回もいい笑顔だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ