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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
148/200

148 人柱・聖精霊アレクシス

 いや、うん。

 そのなんというか、随分とダイレクトですねリリーさん。

 嫌じゃないですよ、俺も大家族が欲しいとかいう願望もあったりはする。

 だが、どうしてか。毎晩毎晩、ベッドの上で大運動会をしているにも関わらず、誰も妊娠を行うような事態にはなっていない。

 というか、今は子供ができないんだと、なんとなくわかる。

 恐らくはアーネリアフィリスの仕業、世界に平和を取り戻すまで、俺は子供を残すことができないのだろう。

 そう、与えられた神の意志の中にあったような気がする。

 子供を身ごもれば、確実に戦えなくなる。俺も子供を持てば魔王に弱みを握られるようになるかもしれない。そういうことなのだろう。


 逆に、戦いが終わればその縛りからも開放される。

 人の性を弄ぶなと言いたいところだが、世界が平和にならなければ産まれてくる子供に未来は無いのだ。

 ならば、平和をつかみ取り、リリーの要望を全力で叶えてやろうじゃないか。


「……ああ、約束しよう。魔王を倒せた暁には、一人だけとは言わせない、大家族にするぞ!」

「ん!」


 そう、嬉しそうにリリーが返事をした瞬間。

 俺の思考回路が目まぐるしく加速するのがわかった。

 どうやら、ちゃんと付与の方法を編み出せたらしい。

 本当に、欲望の力とは凄い。


 これがリリーの見ている世界か。

 先程まで俺では対処しきれなかった魔精霊シェイドの動きがゆっくりと見える。

 もうリリーに抱きかかえられる必要はないので、自らの脚で走り始めた。


 同時に、術式を構築する。

 肉体強化魔法の準備は既に済んでいる、後は精霊化に昇華させるだけだ。

 それもスムーズに行うことができる。

 今までの俺では不可能だったレベルまで強化された俺の肉体は、思考回路までもを高速に、複雑に行うことができる。

 どれだけ難しい術式だって構築できそうだ。


「――精霊化魔法、第一式」


 刹那、魔法陣が俺を覆った。

 前回は意識をほとんど持っていかれ、状況把握すらできなかったが、今回は大丈夫。

 業炎が俺に宿るのを感じた。


「サラマンダー召喚」


 ゴウッと俺の体から炎が吹き出した。

 だが、今回は身を焼くような痛みはない。

 俺の肉体、そのものが炎と化しているからだ。

 ローブにも引火していない、うん、大成功である。

 というか、炎の体って、まんま第一柱・魔精霊イフリートみたいな見た目になってないか?


 それはいい。

 今は敵を止めることだけを考えよう。


 上を見上げると、魔精霊シェイドの拳が迫っているのが見えた。

 リリーに肉体強化魔法を付与された状態よりも、さらにゆっくりと見える。

 俺の肉体が今別次元のレベルであることがよく理解できた。


 俺も拳を握り、迫りくる拳に向けて突きを放つ。

 ――業炎を込めながら。


『シ゛ラ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛√﹀╲_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲▁︹_/﹀╲_︿╱▔︺╲/————ッ!!』


 弾き返した魔精霊シェイドの指がひしゃげた。

 はは、効いてるじゃないか。

 精霊化した俺のパンチは魔精霊に匹敵するほどの威力を持つようだ。

 どうだ、痛いだろう。

 俺も今のは結構痛かったぞ!

 腕がジンジン痺れる。

 ダメージ無しとはいかないか。

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