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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
140/200

140 この勇者は急に雰囲気が変わる

「アタシは――」


 ニーナが口を開いた瞬間、空気がドッと重くなるのを感じた。

 心象魔法による威圧でも魅了でもない。

 魔精霊ウィルオウィスプとの戦いの時にも感じた、純粋な覇気だ。

 先ほどまで泣きそうになっていた少女とは同一人物とは思えない。


「アタシはもう、仲間を失いたくない。アグナさんの気持ちはわかります。昔……生まれ変わる前に経験したから。アグナさんの仲間はアタシが助けてみせる。だから、その力は聖剣の修復に使ってください。みんなを守るには、聖剣の力が必要なの」


 紅く鋭い瞳は勇者の風格、その視線がアグナに注がれている。

 隣にいるだけでこれだけの圧迫感を感じるのだ、視線を注がれているアグナは……表情は引き締めているものの、じわりと汗をかいていた。


「勇者アディソン……。いや、勇者ニーナ、か。いい面できるじゃねぇか。ああ、引き受けてやるよ、聖剣カラドボルグの修復をな。だが、俺の仲間を助けるのが先だ」

「もちろん、必ず助けてみせる」

「はっ、その覚悟を見せてもらおうじゃねぇか。まあ、聖剣を修復するにはどちらにせよ穴を降らなきゃなんねぇしな」


 ん、どちらにせよ穴を降らなければならない?


 どうやら、聖剣の修復には必要なものがあるらしい。

 折れてしまった部分を修復するには繋ぎとなる物質が必要だ。

 その物質が穴の底にあると、アグナが夢で見たらしい。


 ドワーフ鉱山に存在する穴は、かつての勇者アディソンが聖剣によって開けた穴である。

 故に穴の中には聖剣から放たれた魔力が満ちていたのだとか。

 長い年月をかけて魔力が穴の壁面に吸収され、ただの鉱石が魔鉱石へと変質し、その魔鉱石というのがドワーフ鉱山で産出される希少な鉱石である。

 のだが、聖剣の修復には凄まじく純度の高い魔鉱石が必要らしい。


 聖剣から放たれた魔力が蓄積し、濃密な魔力によって変質した高純度な魔鉱石が穴の底にあるという。

 それがなければ完璧に聖剣を修復することは出来ない、もし無理に修復してもまたポキッと折れてしまうだろうとのこと。


「夢の話だから信じろっつーのは難しいかもしれねぇが。恐らく確実に純度が100%に近い魔鉱石が存在する。俺の直感がそう言ってる。俺の仲間を軽く助けられる実力が無けりゃ、底に到達するなんて夢のまた夢だろうよ」

「アーネリアフィリス様はそれも乗り越えられると考えたからこそ、神託を出したんだと思う。アグナさんの仲間も救って、ついでに魔鉱石も取ってきますよ」

「フン、とっとと行きやがれってんだ」


 アグナは腕を組んでそっぽを向いてしまった。

 まあ、一応信頼? は得られた……と思いたい。

 聖剣の修復の約束も取り付けてもらえたし。

 まずはアグナの仲間を助けるところからだな。

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