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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第一章
14/200

014 帝国

 帝国は王国と違い、多種多様な種族が住んでいる国だ。


 王国内では仲の悪い隣国の情報規制がされていたためか、ほとんど噂レベルでしかなかったけれど。

 どうやら本当に色々な種族が住んでいるらしい。


 馬車の窓から帝都の風景を眺める。


 街中を歩くのは尻尾を揺らし、獣の耳が頭部に生えている獣人だったり、美しい風貌で耳の尖ったエルフ。

 はたまた、道具を作ることが得意だと伝わる低身長でヒゲの濃いドワーフなど。

 初めて見る種族が沢山いた。


 もちろん、それに混ざって人間も沢山いる。


「どうです、よい街でしょう?」

「ああ、みんな活気に満ち溢れてる」


 王国とは違った活気が満ち溢れている。

 なんというか、王国ではみんな新しい魔法を開発することに躍起になって……活気というより必死といった雰囲気の方が近いかもしれない。


 帝国では、本当の意味での活気というか。

 うまく表現できないけど、みんなここで生きてるって感じがする。


 しばらく帝都内を馬車で移動していると、帝国宮殿が見えてきた。

 皇帝陛下が住んでいる建物である。

 高く聳え立つ宮殿は、王国の城よりも上等なものであるのが一目でわかる。


 年俸を見せられた時も思ったけど、帝国って金持ってるんだなぁ。


 ひとまず、帝国で俺を雇うにあたり、まずは皇帝陛下と謁見する必要があるそうだ。

 そこで俺の今後が決まる。


 リンシアは「即採用で間違いありません!」と言っていたが……不安になってきたな。


 馬車は宮殿の敷地に入り、停車した。

 すぐに宮殿の警備と思われる人物が近寄ってきて、リンシアと話をしている。

 険悪な雰囲気はない、むしろリンシアの言葉に驚いているようだ。


 どうやら、すぐに案内してくれるらしい。

 馬車を運転してくれた御者とは一旦お別れで、警備の後ろをリンシアと二人で付いていく。


 宮殿内の廊下は広く、そして天井が高い。

 かなり沢山の人が宮殿の中にいるようで、すれ違うたびに挨拶をしながら進んでいく。

 帝国は危険な魔法を研究する危ない国だとも聞いたけど……やけにフレンドリーな雰囲気だ。


 しばらく進んでいくと、扉の前で警備が止まった。


「アレクシス様、こちらでお召し替えを」

「お召し替え?」

「はい、皇帝陛下に謁見するにあたり、相応しい衣装に着替えていただきます」


 ふと自分の服装を見てみると……ボロボロだ。

 服自体はグランドル伯爵に支給されたものであり、それなりに上等であるが、イフリートとの戦いにより泥で汚れ、あちこち破れている。


 確かに一国の代表に会うのに、この格好では失礼にあたる。


「わかりました」

「では、中に。係りの者が完璧に仕上げてくれます」


 警備がそう言いながら扉を開けると……中には燕尾服を身に着けた清潔感漂う男性たちが数名、お辞儀をしていた。

 部屋の内装はクローゼットや化粧台やら、お召し替え用の部屋であることが一目でわかる。

 中に足を踏み入れた瞬間、顔を上げた男性が声をかけてきた。


「ようこそおいで下さいました、アレクシス様。我々がお召し替えを担当させていただきます」

「え、はぁ。よろしくお願いします」


 そう返事をした瞬間、バタンと扉が閉まる。

 閉まる直前、リンシアが笑顔で手を振っていた気がした。

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