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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
139/200

139 交渉

 てな訳で、老朽化した聖剣が魔精霊ウィルオウィスプとの戦闘で折れてしまった経緯と、修復してもらえないかと依頼を行った。


「話はわかった。この鉱山は色んな国の連中が集まるからな、獣人王国や連邦国、植民地になった王国に、先日大嵐が来たって公国。魔王が復活したってのは俺達も薄々は感じてた。テメェらが勇者パーティーってのも理解してる」

「なら」

「だがな、ひ弱なそうな見た目には眼を瞑ってもだ。こっちにはこっちの事情ってもんがあるんだよ。急に押しかけてきやがって、はいそうですかって引き受けられるかよ。現実は甘かねぇんだよ」


 残念ながら難色を示されてしまった。

 威圧がまだ効いているので、声を荒げたりということはないみたいだけど。


「聖剣の修復を引き受けられない程の事情、聞かせてもらっても?」

「……いいだろう」


 アグナはその事象というものを語り始める。

 ドワーフ鉱山に存在する巨大な穴には貴重な鉱石や岩塩などが眠っており、それをアグナが統括する組織が採掘を行っているらしい。


 採掘権を独占しているという訳ではない、上層の足場がしっかりと設置された箇所は誰でも採掘してもよい。

 が、それよりも底に向かっていくと垂直な穴であるため、しっかりとした足場を作ることが難しくなる。

 あまりにも深い穴なので今まで誰も底に到達した者はいない。

 もし足を滑らせれば真っ逆さまに闇の中、底には到達できるかもしれないが生きてはいられないだろう。


 採掘に特化したスペシャリストたちでないと、穴を降下して無事に上昇してくることが難しい。

 そんなスペシャリストたちをアグナが代表する組織が統括しているのだ。


 で、聖剣修復を引き受けられない事情が何かというと。

 昨日の揺れで、穴の下層へと続く通路が断裂してしまったらしい。

 故に、揺れがあった際、ちょうど採掘を行っていたスペシャリストのドワーフたちが穴の中に取り残されているという。


「世界に危機が迫ってるのかもしれねぇが、俺はまだ手の届く範囲にいる仲間を見捨てられねぇ。この漲ってる力は仲間の救助のために使わせてもらう」


 仲間を見捨てられないという意思は尊重する。

 だがその漲っている力というのは聖剣を修復するためにアーネリアフィリスから授けられた力ではないのだろうか。

 アグナにも事情があるかもしれないが、こっちにだって魔王を倒さなければならないという事情がある。

 神託によって、アグナに聖剣を直してもらえとお告げまであるのだ。


「もし、俺達がアグナさんの仲間を救助したら、聖剣の修復を引き受けてもらえますか?」

「テメェらが救助するだと? 夢は寝てから言いやがれ、あの穴がどれだけ危険かわかってソレを言ってんのか?」

「穴が危険なのはさっきの話を聞いて十分に理解しました。でも、俺達は勇者パーティーです。修羅場もくぐり抜けてきたし、今後、穴を降るよりも危険なこともします」


 魔王討伐とかね。


「……テメェの覚悟は十分伝わってる。だがよ、肝心の勇者はどうなんだ。死ぬかもしれねぇ危険に突っ込んでいける覚悟があるのかよ」


 そう言って、アグナはニーナに視線を向けた。

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