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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
133/200

133 こんなところにも至高主義の集団が

 俺が小さな頃から何度も読み聞きした勇者の物語に出てくる大聖女コルネリアは、人間として描かれている。

 決してエルフではなかった。

 ちなみに闘戦士ミミーも人間と描かれていた。


 人間至高主義の王国だったから、もしかすると勇者パーティーが他種族というのは都合が悪かったのかもしれない。

 そもそも、勇者の性別すら違うかったのだ。

 倒したはずの魔王が復活したりと、もはや都合のいい部分だけくみ取られた物語であり、ほとんど正確な内容ではなかったのだろう。


 んで、大聖女コルネリアだ。

 その正体はエルフであり、ドワーフ鉱山の近くで人知れず住んでいるエルフの森出身だったというのだ。

 そういや勇者は王国、大魔法使いは連邦国出生だと伝わるけど、大聖女と闘戦士の出生は定かではないとされていたっけ。


「帝国にいたエルフも、その森の出身なのか?」

「いえ、帝国のエルフは実際にはハーフエルフです。先祖を辿ればエルフの森の出身でしょうが、かなり血は薄まっていると思われます」


 ほうほう、どうやら昔エルフの森から旅立ったエルフが多種多様な民族と交わったのが、今帝国に住んでいるハーフエルフという訳か。

 見た目は人間とほとんど同じ、耳がツンと尖った特徴で、みなハーフエルフではなくエルフと呼んでいたので知らなかった。


 リンシアが挨拶に向かった森に住むエルフは、純血なのだそうだ。

 なんでも純血ではないハーフエルフをエルフとは認めず、外との交流を極端に嫌うそうだ。

 一応、生まれ変わりということでリンシアが挨拶に向かうも、人間は立ち去れと矢を放たれ、追い返されたそうだ。

 無理に森に侵入しようとすれば争いになりそうだったので、リンシアは身を引いたらしい。

 なんだか、獣人王国の話を思い出すな。


「まあ、前世の出生だったとしても無理に挨拶しなくてもいいんじゃないか? 今はリンシアという人間なんだし」

「ええ、わたしもそう思います。エルフは高い魔力を持ち禁術魔法に近いレベルの魔法を使えるので、魔王討伐に助力頂けないかと思ったのですが……うまくはいかないですね」


 禁術魔法に近いレベル……というのはかなり魅力的に思えるが。

 その為に静かに森で暮らしているエルフの生活を脅かすのはよくないように思われる。


「ともかく、今はドワーフ鉱山で聖剣の修復に集中する。ってことでいいよね」


 ニーナが勇者っぽく、キリっとした表情でそう取り仕切った。

 うむ、ちょっと風格が出てきたかな。

 勇者の威厳は魔精霊ウィルオウィスプと戦っている時だけではなかった。

 少しずつ、成長しているのだろう。


「異論なし」

「ええ、そうしましょう」

「ん。ごはん、おかわり」

「あ、わたしも御代わりちょうだい」


 アンナはともかく、リリーは気が緩みすぎてないか?

 まあ、いざとなったら凄く頼りになるんだけど。

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