表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
131/200

131 そんなことするからモテなかったんじゃ

 しっぽりしっぽり、あの後リンシアも帰ってきて乱戦となった。

 魔導車で移動する間に溜まっていたものをすべて解消したのか、みんな満足そうな表情で自室に戻っていった。


 さて、夜も更けてきたがもう少し読書の続きをしよう。

 さすがに、本に書かれている通りの術式すらうまく扱えないのは悔しいからな。

 読み進めることで、何かしら打開策が見つかる……は……ず……。


 ページを開くと、そこにドラトニスの走り書きを見つけた。


『俺のことだから、そろそろ一番最初に書いてあった術式を試していることだろう。で、死にかけておめおめと帰ってきたと。大聖女のありがたみを思い知ったか? 来世の大聖女がどんな人物か知らないが、大切にするんだぞ』


 おうおう、随分と煽ってくれるではないか俺よ。

 そう言われると逆に火がついてくる。

 俺を治癒してくれたのは大聖女であるリンシアではなく、勇者のニーナであったが。

 安心したまえ、リンシアは俺の女で大切にしておりますよ。

 どうだ、悔しいかドラトニス!

 …………。


 ページをめくると、さらに走り書きが書いてあった。


『ちなみに一番最初の本に記した“精霊化魔法”は俺の考えた魔法理論の中でもかなり高難度のものになる。ぶっちゃけ一人で構築するのは無理といってもいい。実用書を読んで、来世ではモテまくっていると思われる俺に対して、ささやかな嫌がらせだ』


 ドラトニス、性格悪くない?

 だからモテなかったんだよ。

 もっと人に優しくするべきだ、今の俺のようにな。

 いや、学んだからこそ、生まれ変わって今のような性格になったのだろうか……。


 次のページからは、また魔法理論が記述されていた。

 それも、精霊化魔法に対しての詳しい発動方法についてだ。

 最初から書いとけよ! と思わないこともないが。

 多分、これはドラトニスからの忠告だ。

 うぬぼれるなと。

 自らの力を過信すると痛い目をみる。

 魔精霊シルフィードの時も、魔精霊ウンディーネの時も。

 一時は優勢かと思われたが、急な隙を突かれてヒヤッとした。


 また同じことを繰り返さない為に、ワザと俺に精霊化魔法を失敗させたのではないだろうか。

 もしかすると本当に嫌がらせだったのかもしれないけど。


 でも、ちょっと目が覚めた。

 本を読めば勝手に強くなれるだなんて思ってはいけない。

 過去に感じたドラトニスの悔しさと、そして、今度こそ世界を平和に導いてやると意気込んで。

 着実に力を付けさせてもらおう。


『追伸。精霊化魔法の発動には闘戦士の協力が必要不可欠だが、ご褒美をあげるのを忘れないように。多分、来世でも肉が好物だ、高級な肉を与えたらそれ以外食べない、破産しそうだ。ミミーは怖いぞ、覚えてないかもしれないがな』


 ドラトニスよ、一体何があったというのだ。

 急に不安を煽るなよ。

 確かに魔法理論の続きを読んでいると、闘戦士……リリーの協力が必要であることがわかる。


 ご褒美をあげるのを忘れたらリリーはしつこい、逃がしてくれない、満足するまで開放してくれないのだ。

 ドラトニスはかつての闘戦士ミミーに、性欲ではなく、食欲でよほど困らせられたのかもしれない。

 肝に銘じておくよ、ドラトニス。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ