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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
127/200

127 トゥンク……

 ランチタイムも終わり、ひとまず各自解散となった。

 部屋に運ばれた荷物を整理し、過ごしやすい部屋に模様替えしていく。

 というか、当たり前のように勇者パーティー専用の部屋が用意されてるよね。

 多分、世界のどこかに俺達が使うことがなく役目を終える勇者パーティー専用の部屋もあるのだろう。

 なんだかもったいない気がする。

 魔王を完全に滅ぼせたら、帝国の拠点巡りをするのも楽しいかもしれないな。


 ある程度模様替えも終わったので、帝国の拠点の外に足を運ぶ。

 ドラトニスの書いた本の術式理論の実践を行うためだ。

 さすがに拠点内で魔法の操作に失敗して崩落させるわけにはいかないからね。


 人気のない、山奥に足を運んだ。

 ……のだけど、後を付いてきている人物が一人。

 アンナは部屋に縛り付けてきたので追いかけて来れない。

 リリーはまだご飯を御代わりしていた。

 リンシアはリンシアでちょっと確認したいことがあると言って外出したので。

 残るはニーナ。


 俺が振り向くとサッと木の後ろに姿を隠しているが、赤い髪がはみ出している。

 バレバレだ。

 潜伏魔法を用いて完全に姿を消すと、俺を見失ったニーナが「あれ、あれっ!?」と言いながら慌てだした。


「こっちだよ」

「ひゅえっ!?」


 背後から声をあげるとニーナが変な声をあげた。


「あわ、わわぁ……、きゅ、急に声かけないでよ!」

「黙ってついてきたのは誰かな?」

「うっ……アタシだけど……ちょっとちびったじゃない……」

「ん、何だって?」

「なな、なんでもないからっ!」


 後半、声が小さくなったので聞こえなかった。

 やけにムキになっている。


「と、ところでアレクシスはこんなところに一人できて何をするつもりなの?」


 ニーナが頭をブンブンと振り、切り替えた様子でそう言った。


「魔法の練習、少しでも誰かさんの力に追い付きたいと思ってね」

「うぬぬ、ちょっと嫌味な言い方……」

「男たるもの、陰で努力して強くなった成果を褒められたいものなんだよ」

「そういうものなの?」

「そういうものだよ」


 陰で努力しても、表に出さなければドラトニスのようになってしまうけどな。


「ねえ、見学しててもいいかな?」

「帰れって言ったら帰るのか?」

「勇者パワーで居座る」


 超絶美少女がドヤ顔で勇者パワーとか言ってるぞ。

 これが五年間も引き籠りをしていた弊害か……!

 まあ、見学ぐらいいいけどね。


「危険が及ぶかもしれないから、かならず結界魔法を展開して見学しとくように」

「うん、わかった。ありがと、アレクシス」


 そう言って、ニーナがニッコリとほほ笑む。

 ……ちょっと反則だろう、その笑みは。

 心象魔法の魅了を使っているわけではない、純粋な破壊力を持った美少女スマイルだ。

 これが勇者の力とでもいうのか。

 少しだけ……トゥンク……してしまった。

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