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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
126/200

126 おいしお

 魔導車は進む、野を越え山越え谷を越え。

 だいたい帝都を出発してから一日程度だろうか。

 目的地付近へ到着したようだ。

 窓から外を覗いてみると前方に巨大な山脈が見える。

 あの山が連なる中央にドワーフ鉱山と呼ばれる場所があるそうだ。


 そしてやってきました山の麓、なんとこんなところにも帝国の拠点が。

 物凄く分かりづらい、岩と岩が重なった亀裂の奥に娯楽施設とも呼べる場所が広がっている。

 もうどこにあっても驚かないよ。


 ひとまず、魔導車に乗せてきた荷物を密偵たちが各自の部屋に運んでいく。

 その間に俺達はランチを食べながら作戦会議だ。

 何故か使用人として俺に仕えているはずのアンナもちゃっかりランチミーティングに参加していた。

 いいんだけどさ。


「ニーナ、アーネリアフィリス様から神託はあったか?」


 そう言葉を口にした直後、俺はランチを口に運ぶ。

 うまい。


「ゴクン。んー、まだ何も聞こえてこないみたい」


 ランチを飲み込んだニーナがそう返答して、さらにランチを口に運ぶ。

 うまそうに食べるな、幸せそうな顔をしている。


「まだ準備に時間がかかっているのかもしれないですね。はむ」


 リンシアがそう解釈した後、ランチを口に運んだ。

 とても美味しそうな顔をして。


「はむっ、むしゃ、ぱくっ」


 リリーは……一心不乱に食べ続けている。

 この獲物を逃してなるものかと、顔がマジだ。

 待ちなさいリリー、俺のランチに手を出すんじゃぁない。

 いや、旨いなこの料理。


「ねえこれ、ドワーフ鉱山で採取できる最高級の岩塩が使われてるんじゃない……?」


 そう、アンナが口にした。

 うん、確かに。絶妙な塩加減だ。

 手が止まらない。


 得意げな顔をしてアンナが解説をし始めた。

 この周辺はもともと海だったらしく、ドワーフ鉱山からは岩塩も採取できる。

 その岩塩が実に美味であり、素材の味を引き立てる高級食材としても取引されているそうだ。

 とはいえ、ここまで質の高い岩塩はなかなか採取できないらしく、本来は各国の王族なんかに納められるようなものらしい。


 なぜアンナが最高級岩塩の味を知っているかというと……。

 公国でメイドとして働いていた時、記念日など、特別な日に公族に出される料理をつまみ食いしたからだそうだ。

 そんなことをしてるからクビになるんだぞ。

 いや、うん、クビになったのは俺のせいだね。ごめんって。


「てな感じでほんの一欠けらでも金貨数百枚の価値がある岩塩を惜しみなく使う帝国はホント何なのよ……って、あー! ちょっとリリー! それわたしの分だから! 勝手に食べてるんじゃないわよ!」


 ドヤ顔で解説してるアンナが悪いと思うぞ。

 狙った獲物を前にしたリリーはまさに獣だ、獣王だ。

 押さえつけられれば最後、リリーが満足いくまで開放してもらえない。

 もちろん夜の話だ。


 それは置いといて、話題は岩塩で持ち切りとなった。

 ランチミーティングとは何だったのかと言いたいところだが、アーネリアフィリスの次の神託が無ければ動きようがない。

 とりあえず、方針が定まるまではドラトニスの魔法理論を読み進めるのと……実践かな。

 試してみたい術式が沢山ある。

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