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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
124/200

124 逆、のぞき魔

「クンクン、リンシア抜け駆け。ずるい、カビ臭い」

「なっ、わたしが気持ち悪くてダウンしてる間に何やってくれちゃってるのよ!」


 イチャイチャしながら自室に戻ると目を覚ましたリリーと復活したアンナに咎められた。

 カビ臭いのは研究部屋に籠もっていたからだろう。

 自分の服をスンスンと嗅いでみると、確かに少し臭うかな。

 旅の支度をする前に風呂にでも入るか。


「さてカビ臭いらしいから、俺は風呂にでも入ろうかと思うんだけど」

「アレクシス様、ご一緒しますよ。背中をお流ししますね」

「あ、ちょ、また抜け駆けするつもり!? わ、わたしも一緒に入るから!」


 慌てた様子でアンナがそう叫んだ。

 リリーはすでに全裸だ。

 気が早すぎる。

 が、うちの使用人は凄く優秀なので、既に風呂の湯は湧いているようだ。

 大所帯で風呂場に向かう。


 お風呂場で、美少女三人に隅々まで洗ってもらってから、隅々まで洗ってあげました。

 ナニでドコを隅々まで洗ったかって?

 ドラトニスでは到達しえなかった場所さ。


「あぁ、生き返る」


 湯船に浸かると全身の疲れが抜けていくような気がした。

 肉体的疲労は治癒魔法によって全快だけど、やはり精神的なものは風呂に入って癒すに限る。

 魔精霊の襲撃で気の抜けない状況だったからな。

 ひとまずの脅威が去ったということで、気分を入れ替える為にもゆっくりと入浴する。


「で、ニーナはそこで何してるんだ?」

「――――――!」


 風呂場の外でガラガラドッシャーンっと凄い音が鳴った。

 いやなに、ニーナが入浴シーンを覗いていることに気が付いたので声をかけただけなんだけど。

 凄い慌てようだった。


 いや、うん。

 リンシアもリリーも気が付いてたけどスルーしてたな?

 気が付いてなかったのはアンナだけだ。


「ニーナさんもまだまだですね」

「ん、もっと素直になるべき」


 ゆったりとお湯に浸かりながら二人がそう言いながら、勝者の表情といわんばかりの笑みを浮かべている。


 うーん、まあ。

 ニーナからの好意は感じている。

 けど、どこか一歩引いた様子というか。

 直接俺に伝えには来ていない。


 俺自身の想いがニーナに向いているかと言われると。

 そりゃ美少女だし、強いし、次期皇帝陛下だし、途轍もない優良物件だけれども。

 横に並んで戦えるだけの実力を付けたいという想いはあっても、愛しているかどうかと言われると。

 首を縦には振れない。


 共に魔王を討ち滅ぼすという意思を持って、硬い絆は感じる。

 けれど、そこから踏み込んだ関係というのは、今のところは存在しない。


 アンナに想いを伝える時もリンシアとリリーに言われたからね。

 俺が本気で想いを伝えたい相手なら受け入れるけど、そうではなく中途半端な状態では認めないと。

 今後ニーナとどんな関係になるかはわからない。

 でも、少なくとも今は勇者パーティーの仲間という立ち位置だ。

 むやみやたらに手は伸ばさない。

 それが俺の意志でもある。

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