表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第三章
122/200

122 大魔法使いドラトニス

 気を取り直し、記述された内容を目に通していく。

 そこに書かれていたのは後悔の言葉。

 勇者アディソンの力に依存したことにより、取り返しのつかない過ちを犯した。

 自らを磨くことを怠った罰だとも書かれている。


 故にドラトニスは魔王を倒した後の半生を、この研究部屋で過ごしていたようだ。

 ドラトニスの悔しさは魔精霊ウィルオウィスプとの戦いのときに感じ取った。

 己の力の無さを。

 その後、ドラトニスが何を行っていたのかまでは思い出せていない。


『どうか、生まれ変わった俺が同じ過ちを繰り返さない事を祈る。ここに残したのはアーネリアフィリスから授けられた理論の応用と発展だ。完全には記憶が戻らないらしいので隅々まで全部読むように。もちろんこの本もだ、来世ぐらいモテモテになりたい』


 最後は何やら本音のようなものが混じっているが、安心したまえ、今の俺はモテモテだ。夢が叶ったぞ。

 しかし、完全に記憶が戻らないともある。


 書き殴られた文章には、『俺が真面目に力を付けていればあんなことにはならなかった』『失ったものは戻らない』『今度は絶対に同じことをさせるな』など。

 仕出かした過ちについて最大限の後悔を示している。

 だが、その過ちというのが具体的にどういったものなのかは記されていない。

 この書きぶりからすると、ただ勇者アディソンのお荷物だったのが悔しいというだけではなさそうだ。


 生まれ変わりがどのように行われたのか、今の俺には想像もつかないが。

 おそらくはアーネリアフィリスの力によるもの、と思われる。


 そして残されたのは禁術魔法の応用と発展の蓄積。

 本の量を見ると、何十年も研究し続けていたことがわかる。

 生まれてから十数年の俺以上に研究に没頭していたのだろう。

 ちょっと侮ってた。

 思い出した記憶だけでドラトニスを評価するのはよくなかったかな。

 まあ、俺なんだけど。


 とにかく、ここに残された本に目を通せば確実に力を伸ばせるだろう。

 どこまで強くなれるかわからない。

 でも、やらないという選択肢は俺にない。


 アレクシスとして生まれ変わった俺が、ドラトニスの願いを完遂する。

 まずはこの本から。


『全大魔法使い必見! 気になるあの娘を振り向かせる5つのテクニック ~禁術編~』


 ……中身は普通に為になる実用書だった。

 前半は身だしなみや言葉遣い、女性に対して配慮すべき注意事項などが書かれている。

 そして後半は禁術級の心象魔法による魅了の加減方法。

 ただ魅了を振りまくだけでは思うような結果は得られない、相思相愛にしたければ気になる娘だけに絶妙の加減で仕掛けるべきだと。


 為になる内容だけど、残念ながらこれは全てモテないと思い込んでいた男が書いた妄想だ。

 どうやらドラトニス、童貞のまま生涯を終えたらしい。

 もう一度言おう、願いが叶ったぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ