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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
107/200

107 上位存在大バトル

 一体は、全身に緑鱗を全身に纏う、力強い肉体を持つ翼龍。

 もう一体は、青鱗を全身に纏う、しなやかな肉体を持つ水龍。


 状況を察したリリーが即座に離脱し、元の形態へと戻った。

 直後、海の水が消失する。


 精霊という、上位世界の存在を、この世界に強引に引きずり落とした結果だ。

 俺の召喚した聖精霊は地形に変化を与えない。

 つまり、海の水を消滅させるほどの衝撃を放ったのは魔精霊ウンディーネに他ならない。


 アイツ、リリーと戦っている時は本気じゃなかったな?

 巨獣化したリリーでは自分を削り切れないと知って、力を温存してたんだ。


 だが、その状況は一変する。

 自分と同位存在である聖精霊が、それも二体同時に出現したことにより、魔精霊ウンディーネも本気を出したらしい。

 魔力が空気をビリビリと振動させ、不快感を覚えた。


『ル゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛√﹀╲_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲▁︹_/﹀╲_︿╱▔︺╲/————ッ!!』


『GYURUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU――――――――――――!!』


『BGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――――!!』


 想像を絶する戦いが繰り広げられている。

 本来の力に近い強さを持った精霊たちの戦いは、これほどまでに過激なのか。


 嵐に乗って吹き飛ばされた海水が飛沫となって飛翔する。

 俺とリンシアが展開する結界魔法に衝突し、霧が立ち上った。


 水が存在しなくなった海底に沖の方から海水が流れ込むが、精霊たちの戦いにより即座に押し戻されていく。

 周囲に上級精霊の姿も存在しなかった。

 戦いに巻き込まれ、一体も残ってはいない。

 魔精霊ウンディーネも新たに上級精霊を生み出す余裕がないようだ。


「アレクシス様。勝てます……よね……」


 結界越しの戦いを見て、リンシアがそう呟いた。

 いつものリンシアと似つかわしくない様子だ。


「もちろん、勝てるさ。やれることはやったんだ。アーネリアフィリス様も勝算があると考えたからこそ、俺達に禁術魔法を授けてくれたんだと思う」


 実際、アーネリアフィリスから禁術魔法術式と共に与えられた知識で、敵の第三柱を倒すには聖精霊の同時召喚が必須とあった。


 魔精霊と聖精霊の一対一の勝負なら互角の戦いになる、が、最終的には魔精霊が勝つだろう。

 それはなぜか、聖精霊の召喚には時間制限があるからだ。


 召喚時に俺が与えた莫大な魔力を全て消費しきれば、聖精霊は消滅してしまう。

 魔精霊シルフィードと戦った時に召喚した、不完全な聖精霊サラマンダーのように。

 対して、魔精霊は無限に湧き出す魔王の魔力を身に宿している。

 今は魔力供給源の外にいるからいずれ限界は訪れるだろうが、おそらくピンチになりそうなら供給源へ逃げ込んでいくはずだ。

 供給源に逃げ込まれれば魔力は実質無限……俺のアレと同じ……というのは置いといて、一撃で倒す威力でないと滅ぼすことはできない。

 リリーと戦っている時にそうしなかったということは、まだまだ魔力に余裕があったということ。

 逆に今、聖精霊が二体同時に現れたことで、すぐにでも魔力供給源に逃げたいと考えているかもしれないが、それは不可能だ。

 挟み込まれた魔精霊ウンディーネに逃げ場はない。


 一対一の戦いではなく、二対一の力押しで倒してしまおうという、何とも原始的な方法ではあるが。

 現状、その方法でしか完全に魔精霊ウンディーネを倒す方法はない。

 俺とリンシアとリリーだけでは、ね。

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