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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
105/200

105 巨獣変化魔法

 直後、リリーがその場から跳躍した。

 と、思われる。

 気がつけば、リリーが魔聖霊ウンディーネの目の前にいた。


 アーネリアファリスに授けられた禁術魔法により強化されたリリーの身体能力は、もはや俺が全力で肉体強化魔法を使ったとしても目視不可能だ。


 刹那、リリーから何重もの層がある立体的な魔方陣が展開し、光に包まれる。


『グオァァァァァアアアアアアアァァァァ――――――――ッ!!』


 そこに現れたのは一匹の獣。

 緑の体毛に覆われた、魔精霊ウンディーネに匹敵する巨体を持ち合わせた獣だ。

 まるで、かつて俺が呼び出した聖精霊サラマンダーを彷彿とさせるような迫力で、獣はウンディーネに襲い掛かる。


 リリーがアーネリアフィリスから授かった禁術魔法、“巨獣変化魔法”だ。


 その威力は、成長した魔精霊ウンディーネに届きうるもの。

 嵐の中心で、巨人と巨獣が激しい戦いを繰り広げ始めた。

 周囲を舞う上級精霊はその戦いに近づくことすらできない。

 もし近づけば、一瞬で滅せられてしまうだろう。


 本来であれば、まだリリーはこの魔法を使うことができないはずだった。

 巨獣に変化するには凄まじく膨大な魔力が必要であり、変化した瞬間に魔力切れで即死してしまう。


 だが、俺とリリー同様、強化されたリンシアはそれを解決する禁術魔法を授かっていた。

 そう、禁術魔法を発動する際の魔力消費を軽減させることができるのだ。

 軽減というか、治癒系統の禁術魔法により魔力回復量を瞬間的に爆増させる魔法だ。

 魔法を発動させた際に消費される魔力と並行して、瞬時に回復することにより魔力切れになる心配がない。

 これにより、まだ手の届かない位置にある禁術魔法を使うことができるという訳だ。


 とはいえ、そのリンシアの補助を受けたとしても、第四柱・聖精霊の召喚は不可能だろうけど。


 ちなみに、リンシアは大聖女に目覚めてから大幅に魔力が増加しているらしい。

 俺と比較すると倍ぐらいの魔力総量だ。

 であるからこそ、結界を展開しながら俺達の肉体を強化し、ちょっとでも怪我したら治癒を行い、禁術魔法の魔力消費の肩代わりまで行えている。


 控えめに言って化け物だ。

 あ、リンシアさん睨まないで、尊敬してます。


 回復を担う役割だから、魔力量が多いのはあたりまえかもしれないけど……何だか悔しい。

 俺はちょっとずつしか増えていないというのに。


 それはともかく。

 巨獣化したリリーはウンディーネを圧倒しているように見える。

 敵の魔法をものともせず、切り裂き、噛砕き、捻りつぶす。

 だが、決定打にはならない。

 ウンディーネは負傷したところから瞬時に肉体が再生し、リリーに食らいついていた。


 敵の魔力切れを狙うか、もしくは肉片すら残らない強力な攻撃を与えない限り倒すことはできないだろう。


 それに、リリーの巨獣化もいつまでも維持できるわけではない。

 限界を超えた禁術魔法を使用しているのだ。

 変身中も凄まじい勢いで魔力を消費し続けている。

 もし魔力がゼロに近くなれば、巨獣化を維持できず、元に戻ってしまう。


 その時が来る前に次の手を打たなければならない。


 そうだ、俺の出番だ。

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