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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
103/200

103 第三柱・魔聖霊ウンディーネ

 地平線の境界に、天まで続いている巨大な嵐が見えた。

 今までみたどんな嵐よりも巨大で、恐ろしい。


 今、俺は炎系統の禁術魔法で岩を溶かし、海の上に人工的に作った足場にいる。

 敵の系統は水だ。

 水の中では息ができないので、海から攻めてこられると圧倒的にこちらが不利である。

 だから、陸地を増やして応戦することにした。

 綺麗な風景だったプライベートビーチは姿を消し、黒い地面が一面に広がっている。

 戦いが終わったらちゃんと原状復帰するから今は許してくれ。


 嵐が近づき、強い雨が降り始めた。

 同時に、宙を舞うあまたの巨人の姿も。


「ル゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛————ッ!」


 以前、街に攻めてきた中級精霊よりも、遥かに大きい。

 多分、上級精霊まで成長しているのだろう。

 ここまで成長すると、魔王に強化される前の魔精霊シルフィード並みの強さがあるのではないだろうか。

 それがわんさかと。

 上陸されれば一瞬で複数の国が滅びてしまうだろう。


 だが、そうはさせない。

 強くなった俺達の力を見せてやろう。


 大魔法使いの杖を振りかざし、オリジナルの禁術魔法術式を構築する。

 繊細な術式であるが、俺にかかれば造作もない。


 敵が起こした嵐を逆に利用してやるのだ。

 空を敷き詰める分厚い雲の奥で、ゴロゴロと轟音が鳴り響き始めた。


 さらにリンシアの補助により、術式に流し込まれる魔力の量が増加する。


 直後、閃光が駆け巡った。


「ル゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛————ッ!?」


 宙に浮かぶ無数の上級精霊を貫きながら、俺が操る雷が舞う。

 遅れて、鼓膜が破れそうなほどの爆音が鳴り響いた。


 どうだ、いい威力だろう。

 今ので二十体ほどの上級精霊を撃ち落とせた。


「リリー、そっちの準備は」

「……まだ、もうちょっと」


 今、リリーは先日アーネリアフィリスに授かった新しい禁術魔法の準備をしている。

 リリーの禁術魔法は自身の強化に特化した補助系統の魔法だ。

 リンシアの補助を受け、時間をかけて発動する禁術魔法の威力がどれほどのものなのか。

 楽しみである。


 それまで、俺が時間を稼ぐのだ。


 再び雷を操り、さらに上級精霊を打ち落としていく。

 が、キリがないな。

 一体何体の上級精霊を生み出したんだ、ウンディーネは。

 確か制限がないんだっけ。

 実質無限だな、俺と同じだぞ。


 というのは置いといて、嵐の本体が目前にまで迫ってきた。


 宙を舞う巨大な上級精霊の中心に————ヤツがいた。


 第三柱・魔精霊ウンディーネだ。


『ル゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛√﹀╲_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲▁︹_/﹀╲_︿╱▔︺╲/————ッ!!』


 頭の裏にまで響き渡るような、悍ましい絶叫が響いた。

 全長は二十メートルを超えているだろうか。


 青く長い髪に、同じく青い肌。

 魔精霊シルフィードに似た羽衣のようなものを纏っている。

 目は赤く、憎しみに歪んだ表情をしていた。

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