アイスとは奥が深い食べ物だ
陽キャたちとはぐれてしまった。クラス会があるというカラオケの場所もわからない。どうしよ。よし、帰ろ。
諦めて、家へと帰ることにした俺は明日陽キャたちにどう謝るかなと考えながら家へと歩いていると、コンビニを見かけた。
「そういやお昼カラオケで済ますつもりだったから家帰ってもねえんだったっけ?」
というわけでコンビニ弁当でも買おうとコンビニへ入る。そこで、
「ムムム」
アイスクリームコーナーでアイスを見ながら唸っている黒髪ショートカット女子がいた。制服を見たところ俺と同じ学校の生徒のようだ。マリーのように校章の色を見たところ赤色だった。つまり一年生だということだ。
「抹茶にするか、小豆にするか、うぅむ」
どうやら買うアイスの味で悩んでいるようだ。まあ、俺には関係ない。
「さて弁当は、と」
女の子には気にせず昼飯を探す。
「むっ!! そこのあなた!!」
突然その後輩少女は俺を指差して叫ぶ。
「ここで会ったのも何かの縁。ということで私の代わりにアイスを選んでください!!」
「はい?」
何言ってんだこいつ?
「だ・か・ら、私の代わりにアイスの味を選んで欲しいと言っているのです!!」
「やだよ。自分で決めろ」
「いいじゃないですか!! 抹茶か小豆か決めるだけですよ? 楽勝じゃないですか!!」
楽勝なら自分で決めろよ。
「じゃあこのナポリタン味でいいんじゃないか? うまそうだぞ?」
目についた奇妙な味のアイスを指差してそう適当なことを言ってみると、
「な!? 確かに美味しそうですね!! さすが先輩です!! ありがとうございました!!」
その女の子はそう言ってナポリタン味のアイスを手に取り、レジへと向かって行った。うそん。
「うん。あの子が選んだ答えだ。俺は関係ない。絶対関係ない」
俺は唐揚げ弁当を買ってコンビニを出た。