"俺"からの手紙
お前は今から1年後に死ぬ。
はじめに言っておくが、この運命は変えられない。
だからこの手紙はお前の死を止めるために送るものじゃない。
俺が死んだ後、お前が深く関わった人たちの中の『誰か』が死んでしまう。
それをお前には止めて欲しい。
『誰か』と書いたのはこのやり直しのチャンスをくれたあの神との決まりで教えられないからだ。
記憶を持ち越すことができず、この手紙しか送れないのもその神との決まりだ。
今まで俺は、正確には俺達は、合計で99回やり直してきた。
その度に『あいつ』は死んでしまう。
原因は毎回自殺。
動機は俺の死。
そして俺の死は変えられない。
『あいつ』の死を止められる方法はただ一つ。
『あいつ』と関わらないこと。
だが今まで俺たちは毎回失敗してきた。
その理由は、死んでしまう『あいつ』という存在を探そうとしたからに他ならない。
最初からこうするべきだった。
でも俺は弱かった。
できるだけみんなとの繋がりを手放したくなかったから。
どの繋がりもかけがえのないものだったから。
もちろん『あいつ』との繋がりもだ。
でも、お前で100回目、最後のチャンスなんだ。
『あいつ』の死を止める、最善で、最も簡単と言えて最も難しいと言える方法。
それは、
1年間、誰とも関わらないこと。
いいか、これは『あいつ』を救える最後のチャンスだ。
ぼっち根性見せろよ、俺。