表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

首が飛ぶ、転がる首を助ける

《待って、待って、待ってってば!》

 首藤すどうミユキは坂を転がり落ちる“それ”を追いかけていた。

 “それ”はとてもとても大切なもの。

 “それ”なしでは彼女は生きていくことは出来ない。

 しかし“それ”は彼女の手に届かず、すってんころりんと転がり続ける。

 “それ”は髪を振り乱し、ミユキの視界をぐるんぐるんと回す。すなわち――

《――待ちなさいっ、私の首!》

 そう、“それ”は首藤ミユキの首であった。

 説明しよう、首藤ミユキの首は着脱可能なのである。

 ゆえに首が取れ、こんな目に遭っているのだ。

《――ちょっ》

 眼球ではない脳でもない器官で、ミユキの胴体は観た。

 己の首が坂道を転がり落ちて、その下にある泉に落下していくのを。

《オーマイヘッドオオオオオオッ》

 そして、ミユキ(胴体)は喉ではない発声器官で叫びを上げた。

 無論、己の頭部が泉に落下するのを観て。

 透き通る、青く感じさえする泉にミユキの首はどこまでも沈んでいった。

 森の中、静謐な泉に、ぽちゃんと。

 波紋が広がるのを呆然と観つめながら、ミユキはただ膝をつくしか出来なかった。

《――!?》

 そんなミユキの目の前で、水面が突然に眩いばかりに輝く。

 そして現れるのは、一柱の女神。

 そう、女神。

 黄金のオーラを放ち、豊満な体に真っ白なローブを纏った、いかにも女神然とした女神。

 女神が泉から出れば、やることは一つしかないだろう。

「あなたが落としたのは――」

 女神の両手には頭部がひとつづつ。

 最初に右手を高く掲げ、女神は言った。

「この『三白眼で目つきも悪けりゃ髪もくせっ毛で伸ばせない、正直なところいいところがない首』ですか?」

《余計なお世話だっ!》

 怒りの声を上げるミユキ。しかし地の文をしても特段訂正するものはない。それどころか――

「あら、でも実際あなたはそう思ってるでしょう? 特になんですかこの鬼太郎みたいな髪型は。そんなに悪い目つきを隠したいんですか? 真っ黒なのも相まって野暮ったくてダサいですよ?」

《……うるさい、人の髪型くらい好きにさせないさいよ》

 ミユキは誰よりもそれを痛感していた。

 そうだ、ミユキは自分の顔が大嫌いであった。それでもいざ他人に言われるとこみ上げるものがある。

 泣きたくなるほどの暴言。泣くための眼球は女神の手中に収まっているのだが。

「図星ですね。顔がなくてもわかります。……さて、続けますけど、あなたが落としたのは――」

 そう言って、左手を高く掲げた。

 凄まじい存在感、先程からミユキの野暮ったい造形の顔が更にみすぼらしく感じられる原因。

「この『ふわふわさらさら金髪ロングヘア、肌もすべすべきめ細やか、そして何よりも翡翠の瞳が魅力的な、お人形さんめいて整った造形の美少女の首』ですか?」

 そう、女神の左手が掲げるのは、どこか既視感のある、とてつもない西洋美少女ヘッドであった。

《……》

 んなわけなかった。

 ミユキの顔面とは嫌味なまでに真逆、これが金の斧ならば、己の顔面は錆びついてろくに切れない鉄くずの斧だろう。

 誰もが知っている泉の女神のおとぎ話。

 当然ミユキの答えは決まりきっている。

『そのくせっ毛で三白眼な、うんざりするほど見飽きた首です』、と。

 だというのに、彼女の口(?)は勝手に動いて、こう言っていた。

《そっちの美少女に決まってるでしょう! そんな目つきの悪い女知らない!》

(え、何いってんの、私)

「……そうですか」

 心底馬鹿を見る軽蔑した視線。訪れる未来はひとつしかない。

《えっと、ちょっと、嘘だから、冗談だからっ、勝手に口(?)が動いただけで――》

「お約束ですが嘘つきには何も残りませんよ」

《――待ってええええええっ!》

 ゆえに女神は二つの頭とともにぼちゃんと泉に消えた。残るのは、波紋のみ。

 抱える頭さえなく、ミユキは首なしにジョブチェンジした。


「……夢、か」

 鳥のさえずりが耳朶を打ち、まばゆい朝日がカーテン越しに差し込むのに目を細めながら、ミユキはつぶやいた。

 全身、嫌な汗でぐっしょりと濡れている。

 それにしても凄まじい悪夢だった。

 可哀想な子丸出し、コンプレックスが分かりやすく現れた、誰かに話したくないランキング一位を更新するような悪夢。

 ……まあ、話す相手などいないのだが。

「しかも、よりにもよってあの人の頭が出てくるとか……」

 考えれば考えるほどに自分が嫌になっていく。

 思考を振り払うように、ベッドから立ち上がった。

「さて、メガネメガネ」

 わざとおどけて床に転がった頭部を拾う。あるいは拾われる?

 がちゃり、とかそんな音はしないが頭部と胴体が繋がり、やっとミユキは完全な姿となった。

 そう、着脱可能な首は夢ではない。

 それくらい、この世界では比較的スタンダード、というよりも他にも色々な連中がいる中では霞む程度の希少度なのである。

 ついでにいうと、どうしようもない三白眼も、伸ばせないくせっ毛も、地の底にある自己評価も夢ではなかった。

(そんな頭でも、首なしになるよりはマシ……だよね)

「……うわ」

 そんなことを考えてる場合ではない情報が、ミユキの三白眼に飛び込んできた。

 何故か動作しなかった目覚まし時計。

 朝ごはんどころかとっくに出発している時間。

「遅刻だあああああああっ!」


 七月の空、セーラー服にニット帽のミユキは急な坂道を駆ける。

 陽炎たゆたうアスファルトで舗装された歩道。道沿いに青々とした木々が生い茂り、セミの声がなおのことうるさい。

 ここを抜けねば、ミユキの通う高校には残念ながらたどり着けない。

 慢性的な運動不足によってなまりになまった体に鞭を打ち、ひたすらに走る。

 やたらと鋭く悪い目つき。

 無駄に高い身長。

 これによって悪目立ちする己を守るためには、遅刻などの素行不良は断固としてありえないのだ。だというのに、だというのに。

「……はぁ、はぁ。……なんでいつもこうなのよ、私は」

 全力疾走は見る見るうちに減速していき、ついにはトボトボとした亀のごとき歩みとなっていた。

 もはや遅刻はほぼ確定したも同然、だったらせめてホームルームと一限の間に挟まるようにいこう。ホームルームに途中参加してクラスメイトたちの白い視線を一身に受けられるほどに、ミユキは強く出来ていない。

(嫌だなあ、職員室に行くの。小言言われたくないなあ)

 ああ、それにしても一体何なんだ。

 夢見は最悪、クソ暑い、遅刻は確定、三重苦ではないか。

 いいや、目付きも悪けりゃ髪はくせっ毛だし、コミュ障で人見知りで友達もいなければ、将来の展望もない。……数えれば数えるほどに苦しいは山程に増えていく。

(どうして生きているだけで苦しいんだろう。そういえばあのときだって、このまえも、そのまえも、あのときだって――)

 苦しいの底なし沼に嵌っていくミユキの意識を掬い出すように、

《――待ってええええええっ》「――助けてえええええっ」

「……ッ!?」

 その悲鳴は坂道に響いた。

 どこか聞き覚えのある声。

 同時、何かがこちらに向かって転がって来るのを視界の端で捉えた。

 サッカーボール大の金色。

 遥か後方、それを追うセーラー服の少女、ただし首なし。

(あ、コケた)

 ずっこける少女を尻目に、それは瞬く間にミユキの横を通過していった。

(……生首だ、生首がころころ転がってる)

「――って、やばいじゃん!」

 この坂の下は車道だ、早くしないと大変なことになる。

 ヘロヘロだった体が勝手に動き出し、苦労して登った坂道を駆け下りていく。

 まるであの悪夢のような光景、ただし追うものは自分ではなく他人の生首。

 さらに向かう先は泉などではない、そこそこの交通量を誇る車道、あと数mでたどり着いてしまう。

 依然として彼我の距離は縮まず、坂道の終点が迫っている。

 予測される最悪の未来。

「ええい、ままよっ」

 一か八か、ミユキの胴体が跳んだ。

 スライディング。

 鞄を放り投げ、手足をアスファルトに掠りながら、頭に向かって長い手を伸ばす。

(ああ、やってしまった)

 そしてその手は、虚空を切った。

 派手にワンバウンド、ついに首が車道に躍り出る。

 よりにもよって、トラックの目の前に。

 走馬灯。重油の中に突っ込んだかのように世界はスローモーションに。

 そしてそこで、初めて生首の全貌をミユキは掴んだ。

『あなたが落としたのは、この「ふわふわさらさら金髪ロングヘアで肌もすべすべきめ細やか、そして何よりも翡翠の瞳が魅力的な、お人形さんめいて整った造形の美少女の顔面」ですか?』

 夢であった美少女の生首。

 見慣れた美少女の生首。

(――志賀路ハカリコの生首だ)

 クラスメイト、志賀路ハカリコの首が、潰れたザクロになる瀬戸際にあった。


 志賀路シカミチハカリコ。

 いつも誰かに囲まれている、友達いっぱいな超絶美少女。

 どこをとってもミユキの真逆を行くクラスメイト。

 そんな彼女とミユキの初邂逅はゴールデンウィークが始まる、少し前のことであった。

『でさでさー、佐藤さんがね、もらったラブレター本人の前でビリビリに破ったんだって。流石に引くよね』

『えー、ひどい』

(……本当にひどいな佐藤。これだからモテる女は駄目なんだ)

 いつもの休み時間。

 机に突っ伏して、仲睦まじげな他人の会話に脳内でだけ混ざる、いつもの休み時間。

『あ、あの、首藤さん、進路希望調査――』

 おどおどとした様子の声に顔を上げると、

『……あ?』

 我ながら信じられないくらいガラの悪い声が出た。

 ぼっちあるある、誰とも喋らないで生活するため声がろくに出なくなる。

 ついでにいうと目も瞑っていたから、いざ開くと眩しくてよく見えない。

『ひっ、ひいいいっ』

 結果、メンチを切られた気弱な女子高生が生まれる。

『いっ、いや、あの、それはそういうつもりじゃなくてっ』

『ごめん、ごめんなさいっ、お金とか持ってないんで』

 通らない声でブツブツと言っても通じず、

『わー怖』『また泣かせてるよ』

 みたいなひそひそ話の渦にミユキは追い込まれる。

(どどどどどど、どうしようっ)

 羞恥と自己嫌悪で頭がパンクして、何も考えられない。

『とにかくっ、その、違くて――』

『――あー、進路希望調査!』

 そんな不穏な空気を、明るい声が引き裂いた。

『忘れてたわ、私も!』

 プリントを携えてニコニコと、ひとりの女子がこちらに向かってくる。

 マフラーと翡翠の瞳がトレードマークの、人形じみた美貌の少女。

 それこそ、ミユキでさえクラスで唯一顔と名前が一致するほどに。

 いいや、この学校に通うもので彼女の名を知らぬものはいないだろう。

 ――志賀路ハカリコだ。

『ほら、首藤さんもでしょ?』

 そんな美少女が、よりにもよって自分にニッコリと笑いかけている。

 陰そのものであるミユキには、あまりにも眩しい、溶けてしまいそうだ。

『うっ、う、うん』

 本当にどうでもいい、相手からすれば何でもない気遣い。

 だというのに、ミユキは泣きそうになりながら鞄を漁った。

 だって仕方ないだろう、誰かにこんなにも優しくされたのなんて本当に久しぶりだったのだから。

 彼女にとっては都会の水道水でも、ミユキにとっては砂漠のオアシスだ。

 友達がいないから、そんなちょっとした優しさがあまりに効く。

 そして友達がいないから、そんなちょっとしたきっかけを活用できない。

 ゆえにこれがミユキとハカリコの唯一の接点。

 そして今、第二の接点が生まれようとしていた。


「……はぁ、はぁ、良かった、間に合った」

「……え、なにこれ」

 飛頭蛮という種族がいる。

 首が取れるといえばデュラハンが有名だが、彼ら飛頭蛮は文字通り空を飛ぶ。

 空飛ぶ生首。

 頭に羽を生やして飛翔するとともに、襟足の髪を伸ばしてマニピュレーターのように物を掴むことも出来る。

 曰くデュラハンの一部が進化したものらしいが、いかんせんデュラハンとともに希少種であるため研究は進んでいないのが現状だ。

「――気をつけやがれっ!」

 真下から怒号が響くと、ついでエンジンの駆動音とともにトラックが走り出した。

「助かっ、た?」

 真っ青だった顔が、徐々に安堵に染まっていく。

「うん」

 普段はニット帽で隠された頭には、ぴょこんと短いコウモリめいた翼。

 くせっ毛の襟足が伸びて、五指を形作るとハカリコの頭を掴んでいる。

 ふたつの首がある高さは、ちょうど電線が見える程度。

「……首藤さん、だよね?」

「うん」

「……飛頭蛮、だったんだ」

「うん」

「……私、死にかけてたよね?」

「うん」

「……助けてくれてありがとう、本当に」

「うん」

「あの、大丈夫? さっきからそれしか言ってないけど」

「うん」

 それ以外の言葉が見つからない。

 だって、ハカリコの顔があまりにも近すぎて。

(……顔ちっさ、まつげなっが、本当に私と同じ女子高生かよ)

 だって、ハカリコが己の顔をこんな近くで見ていて。

(……ああ、違いすぎて居たたまれない)

「あの、私の顔になにかついてる?」

「い、いや、そんなことないよっ! ごめんねっ、私みたいなのが近いと嫌だよねっ!」

「ひっ」

 顔と顔を離すと、当然ながらハカリコは高さを意識することとなる。

「あ、ごめん、高いの怖いよねっ」

「いや、そうじゃなくて、いきなりでびっくりしたっていうか――」

 ハカリコの言葉を遮るように、チャイムが鳴るのが聞こえた。

 ホームルーム五分前を告げるチャイム。

 遠くで聞くそれは、なんだか他人事のようだった。

「……遅刻、しちゃうね」

 妙に艶っぽい言い回し。

 あるはずもない心臓が、どきりと跳ねた気がした。

「大丈夫、間に合うよっ!」

 目の前の少女を何が何でも助けねばならない――これこそが美少女特権だとでも言うのか、そんな気持ち。

 気がつけば、そんな事を言っていた。

「えっ、ちょっ」

 ミユキの目の前にあったハカリコの頭をぐるりと動かして、己の断面の下に移動させる。同時、髪の拘束をひときわ強固にさせる。

 眼鏡を縦にしたような、数字の八のような姿勢。

 ひときわ魔力を翼に充填させると、

「ちゃんと捕まってててね!」

「――ッ!?」

 ぎゅんとミユキは風を感じた。

 俯瞰した景色がびんびゅんと流れていく。

 飛んでいた。

 あれほど登るのに苦労していた坂を、風を切りながら飛んでいる。

 すべてのしがらみ捨てたように、いいや文字通り体を捨てて、今ミユキは飛んでいる。

 すべてが軽やかで、全身が翼になったかのようで。

 ああ、今の今まで飛ぶのを忘れていた自分がわからない。

(そうだ、私は飛頭蛮だったんだ! 飛ばなきゃ意味がない!)

 目指す先はそう、ふたりが通う高校だ。

「怖っ、怖っ、怖っ!」

「舌噛むから黙って――あでっ」

「ぶつかるぶつかるっ、電柱ッ!」

 よりにもよって舌を噛んだのはミユキの方、ジグザグ飛行、挙句の果てに電柱が迫る。

「ひいいいいいいいいいっ」

「なんのこれしきいいいいっ!」

 しかし電柱の寸前で九〇度上昇、ミユキたちはギリギリで命をつなぐと同時、今までとは比べ物にならない速さで急上昇した。

(さっきの私、すごかったよねっ!? 我ながら最高すぎるっ! 飛行の天才、ここにありって感じ!)

 ついで見える景色は別世界。

「……ッ!」「……ッ!?」

 空が近かった。

 雲が近かった。

 太陽が近かった。

 校舎を遥かに見下ろしていた。

 ふたりとも示し合わせたかのように息を呑む。

 ミユキが息を呑んだのは、紛れもなく快感と感動のため。

 ならばハカリコが息を呑んだのは、この高さへの恐怖か、それとも――

「行くよ、志賀路さんっ!」

「いくよって、なにが、えっ、ちょっお――」

 これから訪れる急降下にだろうか?

「――ぎゃああああああああっ!」

「――いやっほおおおおおおおっ!」

 ハカリコの悲鳴が、彼女の顔色めいて青い空に響いた。

 ミユキの歓声が、彼女の瞳のように輝く太陽のもとに響いた。

 急降下、迷うことなくミユキは校舎に向かって突撃していった。

 その角度は、断じて昇降口を目指すとかそんなものではない。

 校舎の二階に向かって生首ふたつが凄まじい勢いで迫っている。

「窓っ、窓っ」

「大丈夫、開いてるよ、多分っ!」

「多分!?」

 脳汁がドバドバ出ている。

 今の自分ならば戦場飛び交う弾幕さえ回避出来る気がした。

 いいや、気がじゃない、出来る!

 いいや、全てが自ずから避けていく!

 だから窓だって開いている!

 躁鬱めいてミユキは飛ぶ!

「――いっけぇえええええええっ!」「――死ぬうううううううっ」

 そして次の瞬間、想像より遥かに柔らかな感触がふたりを包んだ。

 窓ではなく、カーテン。

 やはり窓は開け放たれていたのだ。

 うちの学校にエアコンがないことに感謝するのは、これが最初で最後であろう。

「間に合ったあああああああっ!」

 そうしてふたりは、二年四組の教室にダイナミックエントリーしたのである。

 着地地点は前から二番目、中央の志賀路の机。クラスメイトたちにドヤ顔する。

「……あれ」

 しかしどうだろう、本来ならば称賛こそされど、こんな冷たい視線を教室中から受けるいわれなどあるだろうか。

 いや、冷たいと言うよりも、呆れや同情、すなわち「あーあ」みたいな気持ちを皆が皆浴びせかけている。

 そして今更に、ひときわ冷たい視線を背後に感じ、恐る恐る振り返った。

 作り笑顔を浮かべ、こちらを睨む担任。

 数学のフランケンシュタイン。

「……お前、そんな顔も出来んだな首藤」

「あははははは、先生のお陰です」

 躁の最後の一滴を振り絞って、そんなことを宣う。

「そいつはありがたい。説教だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ