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鍛治師?多分そのはずですよ?  作者: 羽柴飴李
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第二話

始まりの草原にはかなりのプレイヤーがいました。私は出来るだけ人の少ない街から遠い森の近くまで行きました。最悪走れば戻れる距離ですしデスペナは3時間のステータス半減だけですので大丈夫のはずです。


ザッという音が鳴り、音の方向をみると一体のコボルト。その瞳は私を餌として認識していました。ああ、なんて愚かだったんでしょうか。私はあくまでここはゲームの世界なんだと思っていました。町の住人もただのNPCだと。でも気づいてしまったのです。コボルトの生きようという意思のある眼を見て、命をかけてかかってくる姿を見て。全てのものは生きているのだと。命を繋いでいるのだと。


「だから私も私の為に戦いましょう。私が生きる為に!」

「グ……グルルゥゥ!」


私は静かに夢幻を抜きます。ステータスの差もありコボルトの攻撃は見切れる程度ですが私も全力で相手をしましょう。コボルトが私に向かって腕を振り下ろします。ただ不用心だと思うほどに隙が多いですね。背後に回り込むとおそるべき反応速度で振り返りますが私の方が早く、腕を飛ばしました。それでも私に向かってコボルトは残った左腕を向けてきます。


「諦めないのですね?もう終わらせましょう!」


最後くらいは美しく逝かせてあげましょう。綺麗な綺麗な彼岸花を咲かせて。私は夢幻をコボルトの首に当てスッと横に動かしました。そこでようやくコボルトはポリゴンになって消えました。予想通り金属を落としてくれたようですね。今回の戦闘で私のプレイスタイルが決まりました。ただ美しく。ただ優美に。ただ幻想的に。花のような死を届けることです。


「この調子ならばすぐに金属が集まりそうですね。リューードラグの武器も作ってあげられそうです」


リューくんは剣を使っていると言っていましたからそれまでに腕を上げて置かなくてはなりませんね!広場に18時という約束でしたから後6時間もありますね。ログインした直後のゲーム内時間が0時ですから。それまでに出来るだけ素材を集めてしまいましょう。


結局一区切りついたのが約束の30分前でした。街までは結構ありますから早く行った方が良いですかね?帰る途中、他の方達はホーンラビット相手に右往左往していました。まだ体が慣れていないのでしょうか?そういえば空いていた時間に森の浅い所に生えていた薬草を取っておいたんですよね、後毒草も。新しく【採取】というのも取りましたから効率よく出来ました。今のレベルは8ですのでステータスポイントは35ポイント、スキルポイントは14ポイント貯まりました。後で振り分けなければなりませんね!


広場でリューくんを探していると鑑定を使われている感覚がしました。というより触られているようなくすぐったいような感じです。その方向を見ると5人程のパーティーが居ました。その中央の人を鑑定するとドラグと出ていました。リューくんですね?他の方達もいるなんて聞いていないのですけど。


「ドラグくん、セロムですよ」

「やっぱりそうかよ!あーっと、セロム?怒ってるか?」

「怒ってなどいませんよ?ただ私の耳は正常だったはずだなぁと思ったりしただけですから」

「ごめんって!! 言わなかったのは謝るし連れてくるつもりはなかったんだよ。ただこいつらがついて来ちゃっただけ」

「本当ですか?」

「本当っす!俺リフって言うっす!」


今回は信じてあげましょう。今回きたのはリューくんとそのパーティーの元気っ子のリフくん。礼儀正しい女の子がベルルダちゃん。おどおどした女の子と男の子がヒナタちゃんにヒカゲくんだそうです。リフくんは盾術士、ベルルダちゃんは魔術師、ヒナタちゃんが弓術士でヒカゲくんが槍術士だそうです。


「この人が俺の姉貴のセロムな?でさ、どんな感じ?」

「結構出来てますよ?」

「マジ?工房は?」

「ギルドのを使っています。お金が貯まったら店を開こうかなと」

「セロムさんは生産職なのですか?」

「はい、一応鍛治師をしています」

「そうなんすか!?じゃあ今日って」

「ドラグから武器を作って欲しいと言われまして」


結局、全員分の武器を作ることになりました。ただ前払いにするからマイホームというか工房を買って欲しいと言われましたのでただいまかなりの額のお金を持っています。初期装備と共に全員千イラを貰っていますが今はその500倍の50万イラを持っています。受付嬢によると人通りのない裏通りでも10万イラはかかるそうです。あまり人が来ない方が良いので裏通りにしましょうか。


「そちらで良いのですか?もう少し良い場所もお売り出来ますが」

「ここでお願いします」

「かしこまりました。ではこちらにサインをお願いします。……はい、拝見しますね?こちらが鍵になります」


受付嬢からもらった鍵は所有者が固定されているようで落としても他の人には使えないようです。早速マイホームに向かうと予想以上に大きく、綺麗でした。裏通りは土地代が安いために表通りよりも広く上質な建物が沢山あるそうです。中には奥に火炉があり備え付きの家具が2階にまとめて置いてありました。とりあえず大きめの机と椅子を下に運んで初級セットの鍛治道具を火炉のそばに置きます。私のSTRだと余裕を持って運べました。木炭などは生産ギルドで結構購入しておいたので問題ありません。リューくんのお友達ですから腕によりをかけて鍛えなければなりません。弓は木材を主に作る必要がありますし、杖もそうですね。鍛治でつくるのはリューくんの剣だけです。


後は【細工】と【錬金】を取る必要がありそうです。ついでにいっそ【調合】もとってしまいましょう。腕が鳴りますね!







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