第十二話
最後のヒナタちゃんの一撃でグリフォンはポリゴンになりました。ドロップ品は私が羽とスキル書、リューくんが爪、リフくんが風の魔石、そしてベルルダちゃん達三人が眼球でした。みんな私に売って下さるそうですが眼球は何に使えば良いのでしょうか?流石に魔石はリフくんの盾に使うということで落ち着きました。
「セロムさん……流石の運です」
「そうですか?スキル書に登録されているのは【風神】というスキルでしたよ」
「なら、多分風系統のスキルだな」
スキルの習得はイベント後でないと出来ないようなので先に進みます。もう一度ベルルダちゃんの風魔法で上に運んでもらいました。
流石にボス戦後だと魔力が持たないようでポーションを一気飲みしていますね。そういえばまだ一度も他のパーティーに会っていませんね。
「じゃあ、洞窟に戻るかっ!?」
リューくんの頭上に何かが落ちてきました。リューくんはギリギリ避けられたので問題はなさそうです。今回はPVPはなしなので皆さんそこまで警戒はしていません。
「いったぁ!失敗したなぁ……」
「金平!平気?」
……金平?もしかしてこんちゃん……?
「あれ?お姉さんだー!あの時はありがとう!!」
「いえ、お気になさらず」
「え!セロム、知り合いなのか?」
「はい、以前話したことがありまして」
リューくんが呆然としています。私そんなにコミュニケーション能力がないと思われているのでしょうか?
「あっ!紹介するね?前話した友達のカルタだよ!」
カルちゃんはカルタのあだ名でしたか。お淑やかそうで前線で戦いそうには見えませんが。まぁ、人を見た目で判断することは良くないことですね。
「初めまして、セロムさん。馬鹿金平から話は聞いておりました。職業は剣士です」
「初めまして、カルタちゃん。職業は鍛治師です。こちらは私のフレンドで今パーティーを組んでいる人たちです」
「初めましてだな。俺はドラグだ、よろしく」
五人の中で一番初めに口を開いたのはリューくんです。同じ剣士ですし仲良くなれると良いのですが。リューくんを皮切りにどんどん話し始めます。こんちゃんも自己紹介をしていないのに気づいたようです。
「忘れてたね!私は金平だよ!前にお姉さんに助けてもらったんだ!さっきは魔道具を使ってる時に魔力が切れちゃって落ちちゃったんだよね」
「そうなんですか?ポーションを飲みながらではなかったのですか?」
「あ〜……。うん、まぁね」
何かありそうですね。こんちゃんのことは気に入っていますから出来るだけ力になってあげたいのですが……。
「何があったか教えていただければ何か力になれるかもしれませんが。もちろんドラグ君達の了承が取れればになりますけど」
「うーん……。この間もお姉さんには助けてもらっちゃったし、何か申し訳ないんだけど」
「俺らは別に構わないぞ?セロムには世話になってばかりだしな」
こんちゃんはしばらく悩んだ後に口を開きました。カルタちゃんはじっとこんちゃんを見つめています。
「実はさポーションが足りなくなっちゃったんだよね。カルちゃんはこの間刀を買い込んじゃったからお金ないし。私もなかなか魔道具を買ってくれる人がいないからさ、ポーションをあまり買えなかったんだ」
カルタちゃんの刀も連戦で耐久値が減り、予備の刀を使っているそうです。リューくんに声をかけると仕方がないというように頷いてくれました。
「もしよかったら私の持っているポーションを譲りましょうか?今のところドラグくん達が守ってくれているのであまり使いませんから」
「えっ!良いの!? じゃあ」
「待ちなさい、金平。すみません、セロムさん。譲っていただくのは流石に悪いです。ただポーションが足りていないのも事実ですからよろしければ売っていただけませんか?」
「別にお金はいらないのですが」
リューくんが凄い目で見てきます。別にお金は要らないんですって。
「分かりました。では300イラで」
「500イラだろ!まけようとするな」
「500イラで大丈夫ですよ。いくつ買えますか?」
「そうですね。それぞれ10個ずつなら」
カルトちゃんが1万イラを払いました。ストレージにはまだ何個か残っていますから大丈夫でしょう。ですが二人ともポーションを沢山買えるほどのお金を持っていないのではなかったでしょうか?
「1万イラあるならイベントが始まる前に買えたのでは?」
「それがさ、イベント前だとポーションが値上がりしちゃうんだよ。もともと500イラちょっとだったポーションが2千イラくらいするんだよ?ぼったくりすぎだよね」
一つ2千イラならば1万イラあっても二種類で5つしか買えないのでは?まぁ、需要が増えれば値段は上がるのが普通でしょうね。