ドーレ
プルルルルルルル…プルルルルルルル…。
AI達が現実世界に出現し、謎の爆撃を始めた日の夜、突然携帯の電話が鳴った。
知らない番号であったが、一応出ることにした。
「もしもし、アオタくんで合っているかな?」
30代くらいの男の声。
アオタ…?LIFE関連か?いや、でもこんな電話初めてだ。
「はい」
短く答える。
「私はLIFEを経営するギース社の倉坂と申します。現在、現実世界にAI達が現れ暴走している、ということはご存知ですね?この状況を打開するためAI対策班が組まれることになりその班長を務めることになった者です」
「はい」
「私もLIFEをプレイしているのですが、私のAIは無事でした。そして、無事なAIは強力異能力所持者のみだということがわかったのです」
「はい」
「その反応からしてあなたも分かっていましたか、あなた方、AIが残った方達には私達と共に日本を救ってほしい、お願いできますか?」
「はい、僕もなにかできないかと考えていたので是非協力させてください」
「そう言ってもらえて嬉しいです、ではまた後日連絡致します。失礼します」
ブツ…。
倉坂との話を終えた俺はとりあえずLIFEにログインすることにした。
「ミル、ログインする」
「はい、了解です」
「LIFEオン!」
「ミル、今LIFEにログインしているプレイヤーはいるか?」
「はい、今全部で50人ほどのプレイヤーがログインしています」
「ほぼ全員か」
「はい、皆さん同じことを考えているのでしょう」
そんなことを言ってミルはクスクス笑う。
「まぁそうだな。とりあえず他のプレイヤーと会いたい」
「はい、一番近くのプレイヤーはギランにいる20人ほどのプレイヤーですね」
「じゃあ、そこに行こう。ミル、転移!」
「はい、転移!」
多くの酒場が集まる情報収集にはうってつけの街、ギラン。
俺もよく来るその街はいつものような活気はなく、どんよりしていた。
「プレイヤーを探そう」
「はい、近くの酒場でしょうか」
それから程なくして、ドーレという名の酒場を見つけ中に入る。
「こんにちは…」
「おぉ!アオタさん!あなたもご無事だったのですね、無事だったLIFEプレイヤー60名全員にメッセージを送りこの酒場に集まるよう要請しました。数分もしない内に皆も到着するでしょう」
メッセージ?全く見ていなかったが俺のそれにも届いていた。
数分が経ち、60名全員がドーレに集結した。
よくよく、見れば皆名高いプレイヤー揃い。
LIFEにレベル上限はない。
レベル100に到達してもなおレベルは上がる、だがしかしそれには莫大な経験値が必要であり、レベル100を超えているのは100人もいない。
だが、今集まったプレイヤー全員がレベル100を超える上級者だ。
「アオタくん、アオタくん」
肩を叩かれ振り返ると、そこにはSSランク異能力「流星」所持者カサラクがいた。
「話したことありましたっけ?」
「あー、ごめんごめん。倉坂です」
と言って笑ったのは先ほど電話を掛けてきた倉坂だった。