lonely
偽りの日々を続けた。
愛に飢えた猫のように。
夜の街をさまよい歩いた。
あの頃は何だったんだろう。
真実の愛なんて必要なかった。
退屈な時間は、誰かが埋めてくれた。
一人の時間が嫌だった。
自分はいつもひとりだと思った。
だから、目の前にある人の肌に触れることで寂しさを紛らわすしかなかった。
ひとりで眠る夜は、何故か涙がとまらなかった。
このままひとり、置いていかれてしまうんだと思ったら、涙が次々と溢れてた。
10代のあたしは、涙を武器にするような技をうまく使えなかった。
だから誰の前でも笑ってた。
裏切られても笑っているしかなかった。
誰かに手を切られるのがこわくてしょうがなかった。
家には居場所がなかった。
いたくもない仲間と一緒にされる学校なんて退屈で退屈でしかたなかった。
放課後には、学校の友達とカラオケやご飯に行く。
一人の時間を埋める為だけに。
楽しいなんて思ったこともなかった。
学校外の友達は、本音で気持ちを許すことができた。
決められた仲間じゃない。自分でつくった友達。偽りなんていらなかった。
夜になると毎日彼らのいる街へと向かう。
いつもの場所に行けば誰かがいる。新しい友達が次々と増えていく。本音で話せる友達だ。
何度もぶつかって、何度も喧嘩もした。
何度も笑って、毎日夜明けまで騒いだ。
あたしの居場所はここにしかなかった。
【いつも楽しそう】
重かった。
すごく。
嫌われるのがこわかっただけ。
そんないい子じゃないよ、あたし。
いつからか、自分に疑問を持つようになった。
偽りの自分が嫌でたまらなくなった。
学校を抜け出して、友達の待つ駅に向かって夜をすごす。
本気で怒る先生なんていなかった。
小学校の頃から毎日怒られていた。
それでも、大人にはうまく接した。
子供の武器を使った。笑っていれば、いい子。
大人なんてかるいもんだ。
怒られて、
『ごめんなさい。』
と謝って、その後は
『先生、先生』
と言って、笑って話しかければいいんだ。
ずっと落ち込んでたり、ふて腐れたりなんかしてたら余計に厄介なことになる。
だから、あたしは何をしても、
『手の焼けるいい子』でいれた。
くだらなかった。決めつけられた組織なんて。学校なんて。家族なんて。
だから、余計に夜の街に出ていった。退屈を埋めてくれるあたしの居場所に。毎晩。毎晩。