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女流剣士、蒼馬が斬る。  作者: 美妃
4/6

三つ葉葵

聞いて

中立売御門付近から出た火は、北東からの強風で京都全域に広がり「どんどん焼け」二日間続いた。


7月21日

戦闘終了後、長州藩を朝敵とした征討令が下された。



☆☆

それから三日後、内藤蒼馬は梶原平馬に呼び出される。


早速内藤は、屋敷に向かうと。



「蒼馬、長州との戦闘ご苦労だった。活躍は藩の者に聞いておった。」



「ありがとうございます。兄上様、」



「用とは、これを蒼馬に差し上げるでな、」



隣にいた二葉に持って来させた小太刀であった。


内藤は、その小太刀に入っている菊の御紋を見て驚いていた。



「兄上様!これは…」



「あぁー、以前に会津俟から頂いた物でな、それを蒼馬にお似合いだと思っていた。」



実は、会津藩主・松平容保からの蛤御門の守護の労の褒美であった。



「大層な物、わたしなんかが頂いてよろしいのでしょうか?兄上様、」



「勿論、その正雪(大太刀)に合うように思えてな、」


「ありがとうございます。大事にします、兄上様、」



☆☆


梶原平馬は、すっくと立って。


「わしは用があるでな、二葉、蒼馬に茶でも出してやりなさい、」



梶原平馬は、そこから席を外して出ていく。

二葉は、くすっと笑って、内藤にお茶を出してやる。


「旦那様は、配下の者を誉めるのが苦手なのです。蒼馬様が来る前はあんなに喜んでいましたのに、」(笑)


「そうですか、兄上様が、」


内藤は、あらためて頂いた小太刀を見てみる。

『正宗「相州伝」』

この小太刀実は、孝明天皇からの授かり物である。

会津藩を気に入ってる孝明天皇「功労な者に差し上げるがよい」との御言葉である。と二葉から聞かされた。


それを聞いて、

内藤は、あらためて感謝して泣きそうになる。



その菊の御紋入り小太刀『正宗「相州伝」』と

会津葵の御紋入り大太刀『正雪』を帯に差すと…

まるで、公武合体攘夷のように見える。


事実、孝明天皇は、公武合体攘夷派だったのである。




☆☆

あの事件から一月が過ぎて行くと都も落ち着きを取り戻していく。


内藤は、新撰組・土方歳三の招待で島原に来ていた。

島原と聞いて、初めは断っていたが沖田総司もくるということで内藤はその招待を受ける。

それに舞妓というものが気になって、特に太夫の衣装が見てみたいと思ったのである。

内藤は、下京区に位置する花街の揚屋に入って行く。

三人が膳に着くと舞妓が挨拶してお座敷に入ってくる。

土方歳三に芳野太夫が着く、内藤蒼馬に舞妓の風月が着く、沖田総司に舞妓の州雀が着いた。


まずは土方が音頭をとって、長州戦の祝杯をする。


それから、三人は舞妓の御酌で酒が入ると陽気になって、太夫の舞、扇子投げなどのお座敷遊びで楽しんでいた。




☆☆


藩邸の川村筑馬は、お末と差し向かえで膳をいただいていた。



「川村様、箸がすすみませんがお気に召ませんでした?」



「いぇ、美味しいです、」


お末は、川村がなんだか落ち着きがないのでとう。


「置いてきぼりになったのがお気に召さなかったのですね、川村様、」(笑)



「そんなことありません、」



「なんでしたら、お酒をお持ちしましょうか?」



「いぇ、わたしは酒が弱いので結構です。」



「そうですか、残念ですね、」



お末は、川村にお茶を出してやる。

そして、一刻が過ぎていくと。



「遅いですね、内藤様は…」



「今夜は帰って来ないと思いますが…」


お末は、川村の顔を見ながら笑って言う。



「えっ、帰って来ない?」


「そらそうでしょう、殿方が花街で遊ぶのですから、朝帰りになりますね、」(笑)


「………」



「川村様も遊びたかったのですか、何ならわたくしがお相手しましょうか?」(笑)



お末は、からかい半分で川村に笑いながら言っているのであった。川村もそれには苦笑していた。




☆☆

明け方、内藤蒼馬は寝返りうって眼を覚ますと、隣に見知らぬ女人の顔がある。飛び上がらんばかりに驚いていた。



「あらっ、お目覚めですか、内藤様、」



「そなたは?あぁー頭が痛い、」



風月は、水の入った茶碗を内藤に差し出す。


内藤は、その水を一気に飲み干し着衣を見て。



「これは?」



「はい、わたくしの襦袢でございます。お着替えさせて頂きました。」



「わたしの身体を見ましたか?このことはたれにも言わんでくれ、」



風月は、内藤の口元にそっと手をあてがい。



「いいえ、わたくしは何も見ておりまへんどすえ。」(笑)


「そうか、ならいい。」



風月は、内藤の肩を抱いて唇を重ねてくる。



「なっなにを…」



内藤は、仰け反りながら言葉にならない声をあげる。


「まだ、夜が明けません、もう一度…」



風月は、強引に肩を抱いて接吻してくる。




☆☆

内藤は、その口づけが嫌ではなかった。身体の力が抜けて何処かへと連れて逝かれる感覚を溺れてしまいそうでたまらない。


唇がゆっくりと糸を引きながら離れていく。



内藤は、とろんとした眼で風月を眺めていると。



「こんどは、お一人でお越しくださいませ、内藤様、」



「あぁー、」



「ほんとうですよ、約束しましたからね、」



「約束か、」



「こんどは、わたくしの琴をお聞かせしますね、楽しみにしていてください、」


「琴ならわたしも少々できるのですけど、」



内藤は、幼少の頃から、武家の娘のたしなみとして習っていたのである。



「やはり、そうでしたか、尚更聞いて頂きたいと思います。」



「そうだな、是非とも聞かせてもらいます。」



「お約束しましたから、絶対ですよ、内藤様、」




☆☆

夜が明けてきて、障子越しに朝日が射し込んでくる。

内藤は、そろそろ着替えねばと思っていた。



「おき…他の方々はどうしています。」



「そうですね、まだ、それぞれの部屋でお休みになっていると思いますが?何なら屋敷の者に見に行かせましょうか?」



「いや、それには及びません、風月どの、」



「内藤様、風月とお呼びください、とくに気になる方がおられるのですね、ここでは風月だけを見てください、」



「あぁ、そうですね、風月、」



「内藤様は、高貴な御家柄のようですね、差し物で分かります。」



「そうでも無いが、武家に生まれて、親から譲り受けたのでありますから、」



「ご謙遜は結構です。それにしても、菊の御紋に葵の御紋とは正直驚いています。」



「そうかい、」(笑)



着替え終わった内藤は、風月が言う、大太刀と小太刀を腰に差して見せる。


内藤は、この二本差しが誇りに思っている。




☆☆


川村は、床に入って悶々とした夜を過ごしていた。

襖を隔てて隣の部屋にお末が寝ている。


おもいっきり襖を開けて入って行く勇気がなかった。膳の話しでは入ればお末は拒まないと思っていても、その勇気が出ない。


それは、心の奥底に蒼馬がいるからであろう。川村自身は気づいていないのだが…




「とうとう来てくれませんでしたね、意気地無し!」


お末は、そう吐いて起き上がる。明けて朝日が射し込んでくる障子を開けて、朝の膳の仕度に台所に向かった。



小女と朝の仕度をして、ほとんど用意が済んだころ、内藤蒼馬が帰ってくる。


「お帰りなさいませ、内藤様、」



小女は、そう言って内藤の足を洗ってやる。


お末は、含み笑いするだけで何も言わない。


内藤は、ばつが悪いのか?さっさと座敷に上がり膳の前に座った。




☆☆

あれから十日ほど過ぎたころ、内藤のもとへ風月の手紙を持って使いの者がやってくる。


「琴の用意ができましたので今日か明日の昼刻にお越しくださいませ、」


という内容であった。


内藤は、使いの者に今日伺うと伝えてもらう。


昼刻前に内藤は、川村の目を盗んで藩邸を出て行く。

川村が探さないようにお末にはこのことを話しておった。


内藤は、花街の揚屋に着くと店の者に案内されて風月の屋敷に向かった。



「風月、参ったぞ、」



「ようおいでくださいました、内藤様、さぁー奥の方へ、」



内藤は、風月に奥座敷に案内される。


そこには、二艘の琴が置かれてあった。


内藤は、座敷に腰を降ろすと小女がお茶を出してくれる。

そのお茶を飲みながら待っていると袿を着た風月が現れる。




☆☆

風月は、琴の前に座り内藤蒼馬に一礼して。



「大胡笳を一曲」


琴を演奏し始める。


内藤は、風月の十三弦琴の優美な姿に感心していた。

しばらく、眼を瞑り「大胡笳」を聴いていた。


そうしていると内藤は、昔の少女の頃がよみがえってくる。母上様に教わっている自分自身が脳裏に甦ってくるようである。


演奏が終わり、風月は頭を下げて。



「如何でしょうか?わたくしのお琴は、内藤様、」



「たいしたものですね、これ程の琴を聴いたことがありませんでした。」



「お褒めに預かり嬉しゅうございます。内藤様、」



「お琴が二艘あるということはまだたれかくるのでしょうか?」



「いいえ、たれも来ませんどす、内藤様に弾いて頂きますよ、」



「えっ、わたしが?」


☆☆

風月は、もう一艘の琴の横に座布団を置いて。



「おできになるんでしょ、内藤様、」



「そりゃできないこともないが、わかったやろう、風月、」



「調律はしてますので、どうぞ、」



内藤は、琴の前で深呼吸して、幼少のころを思い出して手慣らしをする。



「では、梅花断を一曲、」


内藤の演奏が始まる。

会津では十七弦琴でやっていたので、十三弦琴に調子を合わせることに苦労している。


それでも、曲の中盤あたりにくると昔やっていた感を取り戻していく。



風月は、内藤の演奏に歓心しながら聴いていた。


☆☆

内藤蒼馬の演奏が終わると風月は手を叩いて。



「お見事です、内藤様、」


「そうか、母上様にみっちりしごかれていたもんで身体が覚えていたんだろう、」



「そうですか、母上様に、もしかしたら内藤様、十七弦琴を弾いていたのでしょうか?」



「どうしてわかった、風月、」



「前奏のときに右手が迷っていましたから、内藤様、」



「そうか、」



「会津ではそうでしたか、今度は十七弦琴をご用意します、もう一度お願いできますか、内藤様、」



「あぁー構わないが、」



内藤は、先ほどの「梅花断」を演奏し始める。


風月もそれに合わせて琴を弾き始める。


二艘の琴が協奏曲として奏でる。


風月は、一度聞いただけで「梅花断」を演奏している。よほどの耳の良さであろうか?内藤の演奏についている。


内藤と風月は、旋律の調和に奏でる音域に酔いしれていた。


☆☆

風月と蒼馬の協奏が終わる。



「いゃー久しぶりに楽しい一時を過ごせた。」



「それは良かったです、内藤様、」



小女が二人にお茶を出してくれる。


風月と蒼馬は、そのお茶を飲みながら、琴の音の余韻に浸っていた。



しばらくしたら、風月は内藤に向かって。



「内藤様は、沖田様が好いているとお見受けしましたが、如何でしょうか?」



風月が突然言ってきたので、内藤はお茶を吹きそうになる。



「なっなにを言う、風月、」



「どうなんですか、内藤様、」



内藤は、風月が真剣な眼差しで言うので、これは隠しても無理かなと思い。



「風月の言うように沖田どのをわたしは好いています。しかし、わたしは男である。」



「だったら、もとの姿に戻ればいいのですよ、内藤様、」


「………」


☆☆

「そこで、わたくしに思案があります。こちらへ来てください。」



風月が強引に手を引き内藤を隣の部屋に連れていく。

その部屋には、たくさんの着物が陰干しされていた。


「この着物を着て、沖田様のお座敷に出るのです、良い案でしょう。」



「えっ!わたしが、しかしだな…」



「髪結いと舞妓の化粧すれば、内藤様とはわかりませんですよって、」



「しかしだな、声でわかってしまうでしょうに…」



「それは大丈夫でしょう、お酒をたんと飲ませてから、お座敷に内藤様が入ればわかりませんどすえ、」



「そうかな?風月、」



「では、決まりですね、内藤様、」



「風月がそこまで言うなら、やらんでもないが…」



「段取りはわたくしにお任せください、内藤様、」



「うーぅん…」(汗)



☆☆


それから、五日ほど過ぎて風月の知らせが入り、

今日実行するとのことであった。


内藤蒼馬は、昼刻過ぎに島原の揚屋に向かった。


揚屋に着くと女将の部屋に小女が案内する。

そこには風月と女将が待ち構えたように座っていた。


「内藤様、お待ちしていました、女将の豊と申します。」



「内藤蒼馬です。」



女将の豊は、しばらく内藤の顔を見て、風月に微笑み。



「これなら、べっぴんさんになるでしょう、風月、」


「そうでしょう、女将さん、」



内藤は、二人の会話に苦笑している。「わたしがべっぴんさんに」ほんとうかいな?お世辞だろう、と思っていた。


女将の豊がすっくと立って。



「それでは、早速支度と参りましょう。内藤様、」



内藤は、風月に案内されて風呂に入る。

揚屋の小女がいろいろと面倒みてくれる。

以前から打ち合わせていたかのようであった。


☆☆

内藤は、風呂から上がり鏡台の前に座る。


風月が化粧をしてくれ、白塗りの下地に舞妓化粧を施す。仕上げに紅をひくと舞妓らしい顔になると風月が微笑み。



「わたくしより、綺麗かも…内藤様、」



そう言って風月は、内藤の髪に櫛を入れる。

髪を前にし、髷で剃ってある部分に付け毛などで盛り髪結いを施す。

簪や櫛などで飾り舞妓らしい髪型になった。


あとは座敷にあがる為の着物である。

内藤は、腰巻きをし長襦袢を着る。風月と女将で着付けをしていく。

二人は、

舞妓らしく出来上がった内藤蒼馬を見て。



「凄い!どこから見ても舞妓はんどす、」



「そうだね風月、いっそこのまま店でお働きになったら、如何でしょうか?」



「えっ…」



「よしてよ、女将さん、内藤様は立派なお武家様ですよ、」(汗)



「あっそうでした、風月、」(笑)



風月と女将は大笑いしている。内藤は、その二人を見て苦笑していた。




☆☆


この日、土方歳三に芳野太夫から頼んであったお座敷に沖田総司と内藤蒼馬を呼んである。


内藤は、家老・梶原平馬に呼ばれていると嘘をつき代わりに川村筑馬を代役としていた。


これ全て風月の企みであった。


この夜のお座敷には、土方歳三に芳野太夫が着く、沖田総司に舞妓の風月が着く、川村筑馬に舞妓の鶴が着いた。


皆お酒を飲みお座敷遊びをしている。風月は沖田総司にぴったりと付いてたんと飲ませていた。

お座敷遊びも飽きるころには川村筑馬は酔いつぶれていた。


その川村をお鶴と風月が別の部屋へと連れていく。

風月が合図して、舞妓に化けた蒼馬が入って沖田総司に着いた。



「華月と申します。以後よろしくお願いいたします。沖田様、」



そう言って華月(蒼馬)は沖田にお酌をしていた。



「えーと、華月、そなたも一杯如何か、」



沖田は、自分の杯を華月に渡し酌をする。



「ちょうだい致します、沖田様、」




☆☆

華月は、その杯を一気に飲み干し杯の紅を指先で拭き取り沖田に返す。



「おぉー見事な飲みっぷりだ、気に入ったぞ、華月、」



「お褒めに預かり、嬉しゅうございます、沖田様、」


「ところで、そなたとどこぞで会った気がするのだが?」



「ご冗談を…お座敷は今日初めてでございます、沖田様、」(汗)



華月は、沖田に気づかれてしまったか?と内心驚くが顔に出してはならないと思った。



「どうぞ、」



華月は、すかさずお酌をして、沖田に笑って見せる。

沖田は、そのお酒を飲み干すと酔いが一気にきて、その場に横になる。


いつの間にか、土方歳三と芳野太夫は、お座敷から消えていた。


華月は、風月に手伝ってもらって沖田総司を別の部屋へと連れていく。


沖田を床に寝かせると、 風月がにゃっと笑って出ていく、華月と沖田の二人っきりになった。



☆☆

風月が出て行ったあと、華月は、帯をほどき着物を脱ぐ。


長襦袢のまま、沖田が寝ている布団をそっとあげて潜り込む。


華月(蒼馬)は、沖田とただ添い寝するだけで良かった。


人は欲深い者、沖田総司に抱いてもらいたいと思う。沖田は、華月の反対を向いて寝ている。



しばらくすると、

沖田は、寝返りをうつようにして華月の肩を抱いていた。

華月は、心の臓がバクバクと波打つ、身体が熱くなっていく。


しかし、沖田は、寝息をたてて寝ている。


人は欲深い者、華月は、そっと沖田の唇に自分の唇を重ねて接吻をした。



華月は、長い長い口づけをして…


………


……………ウ


…………スヤ…

障子が白く明るくなって、チュンチュンと雀の囀ずりが聞こえてくる。


華月は、沖田を起こさないようにそっと床を出て着替える。

帯を締め終わると床の横に正座して沖田の寝顔を見ている。

華月(蒼馬)は「この夜のことは一生忘れません」と心の奥底にそっと閉まった。障子の隙間から朝日が射し込んでくる。

お辞儀をしてゆっくりと襖を開けこの部屋から出て行く。



華月は、風月の部屋で着物を脱ぎ化粧を落としてもらい、髪をほどいて髷を結ってもらう。


風月は、この夜のことは華月に何も聞いてこない、そんな優しさに目が潤む華月であった。


羽織袴に着替えて、内藤蒼馬に戻った姿を見て、風月は優しく口づけをする。

この場の二人に言葉はいらない。



内藤は、大小の刀を腰に刺して、風月の部屋から出て行った。





☆☆

お鶴の部屋に朝日が射し込んでくる。



「お目覚めになりましたか、川村様、」



「あぁー頭が痛い、」



お鶴は、水の入った茶碗を川村に渡す。



「これをお飲みなさい、」


川村は、その水を一気に飲み干して。



「昨夜のことがあまり覚えていないのだが?」



「いつもお酒は、あまり召し上がらないのですか?川村様、」



「あぁーそうだな、元服の時以来かな?」



「元服、お若いですね、ところで、アオバ様ってどちらの姫君でしょうか?」



「えっ!そんなこと申しておったか、お鶴、」



「はい、わたくしを抱きながら一言、アオバさまって、川村様、」



「姫様じゃなくて…いゃ忘れたこと、気にするな、お鶴、」



「だったら、お鶴だけを見てくださいませ、川村様、」


お鶴は、そう言って川村の首に腕を回して、口づけをしてくる。



☆☆


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