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転生

2005年に僕は生まれた。

僕の名は、飛田(ヒダ) 魁斗(カイト)

僕は、子供の頃、人生とは、幸せがいっぱいだと思った。

僕は、高校を卒業するまで、

独りで一生懸命、

勉強に励んだ。

理由は二つあった。

1つは、いい大学に入りさえすれば、

いい企業に入る事が出来て、

『勝ち組』になれると信じていたから。

もう一つは、単純に勉強、特に物理学が好きだったから。

物理学というのは、様々な自然現象を数式で表そうという科目だ。

要するに、最終目標は全ての自然現象を理解することができる『神』

になることだが、それは到底無理だ。

勉強というのは、すればするほど自分の無知さに嫌気がさし、

それを乗り越えても、結局は、知らないことがはるかに多いということに

嫌でも気づかされる。

でも、目に見えることの1パーセントだけでも、完璧に理解できたとしたら、

どんなに嬉しいことだろう。

だってほんの少し、神に近づくことができたのだから。

それに、自然現象とは凄い。

例えば、

今、自分が立っている『地面』は平らではなく、

ほんの少し曲がっている。

地球は丸いから。

でも、地面が平面ではないと生まれた時から知っていた人間なんていなかった。

なのに、どうして、地球が『丸い』ということが分かったのだろうか。

そう、

人間は様々な観測をして地球は丸いと分かった。

つまり、人間は物理学の力を借りたのだ。

物理学は自然現象しか見ていない。

言い換えれば、

人間の主観は普通は物理学には立ち入ることがない。

人間の主観……それはとても恐ろしいものだ。

自分の考えをどうしても通そうとするからだ。

たとえそれが嘘であっても。

これは、物理学だけの話ではない。

人はたいてい腹黒い。

人間は、法を破らなければ、何をやってもいいと思っている。


ある昔話をしよう。

道端に倒れている人がいた。

ある悪人は、見て見ぬ振りをした。

またある善人は、救急車を呼んで必死に助けようとした。

でも、死んでしまった。

そうすると、刑事が面白そうに、

善人が殺したのだと疑い、

結局は冤罪を着せられ、

善人は牢屋に入れられた。

善人は、

「自分はただ助けたかっただけなのに!なんで誰も分かってくれないんだ!」

と必死で叫んだ。

でも、誰も聞いてくれなかった。

薄暗い牢屋の中で、

善人は独り寂しく首を吊って自殺した。



つまり、人間というものは、結局、法という名の生きてすらいない『紙』

を上手く利用した者を正義とみなす。

実際に『命』と触れ合って、法に触れてしまった善人は結局は悪人に仕立て上げられてしまった。

そう、この場合の正義は、

『助けること』ではなく

『見殺し《・・・》にすること』

なのだ。

そう、いかに、無生物(法やカネ)を使って善人を苦しめるか。

それが人間の正義となってしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は、、納得がいかなかった。

善人が罰せられるのはおかしい!

そう思った。

嘘でできている『人間』、『正義』

僕は、この2つが嫌いだった。

だから、僕は人間を信じられなかったけれど、

物理学なら信じることができた。

物理学は『正しい』理論しか認められない。

どんなに素晴らしい理論でも、自然現象を説明できなければ、ただの空想の論文である。


そのため、僕は、恋愛はおろか友達さえ作ったことがなかった。

いや、作り方がわからなかったから。

僕はその時は人間の魅力が感じられなかったから作ろうとさえ思っていなかったのかもしれない。


僕は一流大学に行った。

そして、一流企業に入って、一生、

幸せに暮らす、はず《・・》だった。


僕はいつまでたっても出世できなかった。

いつまでたっても平社員のまま。

そう、人間というものが信じられなかったから、

『人付き合い』が全然できなかった。

他の人は、上司の機嫌をとるだけだったのに対して、

僕は、他の人の何倍も仕事をこなしていた。

でもこれ(僕の仕事)はいつも、コネしかとっていない『他の人』に当たり前のように

奪われた。

だから、他の人は、みるみる出世したのに対して、

僕はいつも給料が上がらない

『落ちこぼれ』となっていた。

他の人は上司にいつも褒められていたが、

僕はいつも怒られていた。

上司は僕の仕事が奪われているという

『事実』を知らなかった。

でも、それを言う勇気もなかった。

悔しかった。

努力すればするほど心が痛めつけられた。

僕はコネなんかしたくなかった。

だって、人に気に入ってもらうためだけに努力するのはバカバカしいと思ったから。

いつの間にか僕は、『出世への踏み台』

と後輩たちにも呼ばれていった。


僕はコネの使える勝ち組に一生こき使われる

、夢さえ見てはならない

『負け犬』になった。

だから、僕は仕事場(ここ)でも恋人はおろか友達さえできなかった。

他の人は、彼女が出来て、結婚もして

仕事中も楽しそうにグループになって話して

時には、

仕事中なのにも関わらず堂々と携帯電話で遊んでいるのに対して、

僕はずっと仕事場の隅に追いやられて

ただ独りで黙々と仕事をしていた。

そう、僕は出世用の『道具』だった。

この時、

『寂しい!』と

生まれて初めて感じた。

この感情は、

喧嘩ばかりしていた両親にも抱いたことがないのに、なぜかこの時、感じた。

独りだけ暗闇に閉じ込められる恐怖。


今も昔も、『誰も僕を守ってくれていなかった。誰も僕を愛してくれなかった』

と20年以上かかってやっと気がついた。

僕が人間が嫌いなのと同じで、

人間も僕を嫌っている。

でも、僕は、人間を愛したい。

その時、初めてそう思った。

人間は醜いけれど、愛したかった。

独りぼっちもう嫌だった。

僕は

『僕を独りにさせないでくれ!!!』

と心の中で叫んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

でも、時は遅すぎた。

僕は、自分の家で薬物を飲んで自殺した。

そう、『誰にもわからないように』。


そうすると、

僕は、どこだかわからない空間の中にいた。

ここは、宇宙空間なのか。僕の意識がもうろうとしていると、

「カイト、お前は死んだんだ。

ここは、生(第一世界)と死(第二世界)

を結ぶ神の間(第三世界)だ。

普通の人間は、第一世界と第二世界を交互に回っているのだが、

お前は、人生に大きな後悔があるので、

人生をやり直す権利を与えよう。

つまり、お前にはもう一回だけ生きるチャンスがある」と

『神の声』らしき声が聞こえた。

「お前は神なのか?」

僕は、聞いた。

「ああ、私は神だ。お前をこれから、

12歳の少年として、

2092年にお前のふるさとである

『日本』に送る。それで、いいか?」

僕は、「分かった」と答えた。

そうしないと、神に逆らう気がして怖かったから。

僕は、その後、気がつくと

雨の中、道端に倒れていた。

誰かが僕を拾ってくれて、

餓死するのを間逃れた。


僕の新しい人生が始まった。

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