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逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第四章◆◆ 特別列車の帰宅困難者

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◆18◆

「アリッサさん、あなたって人は、本当に信じられないことをやってのけますね」

 

 シェルシェは十一番線ホームの惨状を見て、呆れた様に笑った。


 アリッサは首を横に振って、


「シェルシェさんと車掌さんのおかげです。一般庶民には、いきなり自家用ヘリを手配することなんか出来ませんし、車掌さんの情報が無かったら、事前に対策を立てられませんでした」


「ところで、警察にはまだ通報していないのですか?」


「ええ、とりあえず、これから駅員さんに知らせに行く所です」


「待ってください、アリッサさん。ここから先は、私に仕切らせてもらえませんか? この地元の警察に、知り合いが何人かいるのですが、彼らの顔も立ててあげたいのです」


「いいですけど。具体的には何をするんです?」


「今回の件は、アリッサさんが警察の依頼を受けて協力した、という形にしたいのです。警察を味方に付ければ、アリッサさんにとっても、後々の面倒事が省けるかと」


「面倒事が省けるなら、是非お願いします。いっそ協力なんて言わず、全部警察のお手柄にして、私の名前は表に出さないように出来ませんか?」


「ふふふ、流石にそこまで事実をねじ曲げることは出来ません。多少の面倒事は我慢してください」


「はあ」


 アリッサは少し肩を落とした。その肩に、ぽん、手を置いて、リーガは慰めるように、


「アリッサ、これだけの事件だし、何もかもから逃げようたって、そううまくはいかないよ」


「そうかもね」


 それからリーガはシェルシェの方を見て、爽やかな笑顔で、


「ところで、シェルシェさん。僕の名前は表に出さなくてもいいですね。門人Aと言う事で」


「ええ、リーガさんがそう望まれるのであれば」


 シェルシェも微笑んで、リーガに返答する。


 アリッサは、肩に置かれたリーガの手を振り払い、


「シェルシェさん。この男と私との扱いの差は何ですか?」


 一歩前に出て、シェルシェに抗議した。


「ふふふ、すみませんが、アリッサさんの名前は、マスコミを満足させる為に、どうしても必要なのです。でも、最大限の配慮はしますから、ご心配なく。決して悪いようにはしません」


 そう言って、シェルシェは携帯を取り出した。


「アリッサ、おそらくシェルシェさんの中では、もうこの後の段取りが全て出来あがってるんだよ。ならば、僕らはそれに従って進めばいい」


「僕らって、あんたはたった今、門人Aになって逃げたじゃないの」


 アリッサとリーガの諍いをよそに、シェルシェの方は、すでに地元警察との交渉を進めている。


 やがて、警察と救急隊が到着し、アリッサ達は徒歩で、七人の大男達は担架で、それぞれホームを後にした。


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