表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第三章◆◆ 木刀と金属パイプと私

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/104

◆19◆

「アホの子みたいな行動はやめようね、アリッサ」


 リーガは爽やかな笑顔で、アリッサの差し出した防護服を押し戻す。


「誰がアホの子よ」

「君が」

「私がアホの子なら、あんたはダメな大人ね」


 しばらくの間、アリッサとリーガは防護服を互いに押し付け合っていた。


 そんな二人のやりとりに、毒気が抜かれたのか、シェルシェの笑みから怪しさが消え、今は面白そうに成り行きを見守っている。


 その傍らで、ヴォルフ少年は真面目な顔を崩さずに控えている。

 実に訓練が行き届いている。


「アリッサ、君はマントノン家三姉妹の内、すでに二人と勝負している。シェルシェさんとだけ戦わないと言うのは、不公平じゃないか?」


 アリッサは、はぁ、とため息をついた。


「分かりました、シェルシェさん。真剣勝負でなく、こういうスポーツの試合形式にしたのも、こちらに気を遣って頂いてのことですね」

「ええ。私としては、真剣勝負の方が」

「いえ、スポーツでお願いします」

 シェルシェの返事を最後まで言わせずに、アリッサはそそくさと防護服を身に着けた。


「試作段階の防具も一通り用意出来ますが、装備しますか?」

「いえ。このままでいいです。念のため聞きますが、攻撃していいのはこの防護服だけなんですよね?」

「ええ、それ以外は、反則負けになります」

「もし、わざと防護服以外の場所を打たせるように仕向けたら?」

「それでも打った方の反則負けです」

「分かりました」

「ふふふ、私に反則負けをさせるつもりですか?」

「そんなことはしません。その場合すごく痛そうですから」

「そのための防具なんですが。まあいいでしょう。上の稽古場に来てください。ヴォルフ、その判定機器を上まで運んで」

「はい」

 ヴォルフは、判定機器を抱えて先に部屋を出た。

「アリッサさん、好きな剣を選んでください。と言っても、皆同じ金属パイプですけれど」

「じゃ、これを」

 アリッサは適当に一本のパイプを選び取り、数回振ってみた。

「軽いですね」

「ええ、あくまでスポーツが目的ですから」

「でも、ヴォルフ君をものすごい勢いで突き伏せてましたね」

「どんな道具でも使いようによっては凶器です」


 シェルシェは再び怪しい笑みを浮かべた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ