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逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第三章◆◆ 木刀と金属パイプと私

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◆17◆

「ふふふ、試合と言っても血なまぐさい真剣勝負ではありません。マントノン家で現在開発している、とある新スポーツのモニターになってくれませんか、と言っているのです」


 そう言って、シェルシェはいたずらっぽく微笑んだ。


「新スポーツ?」


 アリッサは、警戒しつつ問い返す。


「武芸が廃れていく現在、安全性を高めてスポーツ化した剣術を開発しよう、というプロジェクトがあるのですよ。各流派が集まって、案を出し合っている最中です」

「ああ、そう言えば、今回の大会も格闘術をスポーツ化する試みでしたね」

「ええ、剣術についても、いずれ統一ルールの下で大会を開く予定なのです。マントノン家で試作開発した装備があるのですが、見るだけ見てくださいませんか?」


 アリッサは一瞬考えて、


「見るだけでしたら」

「では、私の後について来てください」


 シェルシェとヴォルフが同時に立ち上がり部屋を出る。アリッサとリーガもそれに続く。


「念のために言っておきますが、見るだけですからね」

「ふふふ」


 シェルシェはアリッサの言葉を軽く流すように笑う。


「リーガは、知ってたの? その新スポーツとやらのこと」

 アリッサは、横を並んで歩くリーガに聞いた。

「大体のことは説明してもらったよ。要はタッチパネルみたいなものらしい」

「却ってイメージしづらいわね。その説明だと」


 階段を地下一階まで下りると、すぐ突き当たりにドアがあった。


「ふふふ、ここから先は、ちょっとしたギャラリーです」


 シェルシェはドアを開けて中の照明を点けた。

 広い室内に、多数のガラスケースが並べられ、その中に、剣、槍、鎌、鉤、手裏剣、杖、その他諸々の大小様々な武器が陳列されている。  

 本部道場の地下にあった量産型のアイテムとは違い、それぞれの武器は、一見してそれと分かる歴史的風格を備えていた。


「地下に美術館ですか?」

 アリッサは目を見張る。

「マントノン家が収集した武器コレクションの一部です。何か興味を引いた物があれば、ケースから出しますよ」

「いえ、結構です。それより、例の装備はどこに?」

「向こうの机の上です」


 部屋の端にある大きな机の上に、計器と小型ランプが付いた箱型の機械と、銀色の光沢のある厚ぼったいチョッキのようなものが数着、長さ一メートル強の金属製のパイプが数本置かれていた。


 それらは、この部屋に陳列されている他の武器とは対照的に、何の風格も備えていない、ただただ実用的で素っ気ない代物だった。


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