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逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第三章◆◆ 木刀と金属パイプと私

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◆11◆

「意外です。まさかリーガさんが、アリッサさんにとって、ここまで重要な方だとは思ってませんでした」


 シェルシェは改めて、目の前のリーガをまじまじと見た。


「小さい頃から兄貴分として、良くアリッサの面倒を見てやっていたのですが、気が付いたらこの有様です」


 リーガはそう言って、やれやれと言う感じに首を振る。


 アリッサはその態度に、少しむっとした様子。


「では、アリッサさんに武芸を教えたのも、リーガさんですか?」

「それは僕ではなく、当時道場にいた大人達です。暇潰しにちょうど良かったみたいで」


 シェルシェは興味を示し、身を乗り出す。


「面白そうなお話ですね。もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」

「話してもいいかい? アリッサ」

「別に構わないけど、変な脚色はしないでね」

 アリッサは少し警戒しつつ、リーガに許可を与えた。


「僕達が小さかった頃、ヴォーンの道場には、各地から武芸者が集まっていました。弟子入り志願者もいれば、道場破りに来る者もあり、何の目的も無くただ来ている者もいました。けれども当のヴォーンは、誰のこともほとんど相手にしませんでした」

「父は面倒くさがりでしたから。山奥の僻地に道場を開いたのも、『ここならあまり人が来ないだろう』と言う理由らしいです。本当に道場経営するつもりがあったのか、怪しいものです」

「でも、一応来る者拒まずで、希望者は皆門下生にしてました」

「それは父じゃなくて、最初の頃に来てた人達が、勝手に仕切っていたんじゃなかったっけ。父に任せると収拾がつかなくなるからって」

「そうだったかな。ともかく、当時は色々な武芸者が道場にいたんです」


「それはいつ頃のことでしょう?」

 シェルシェが尋ねた。

「十年位前の、世間の『勇者』熱がまだ冷めていなかった頃がピークでした。それから後は門下生の数は年々減少していく一方になるんですが」

「マントノン家も、門下生はここ数年で随分減少しています。会議の主な議題はいつも、『どうしたら多くの門下生を獲得できるか』ですよ」


 シェルシェはそう言って、少し悲しそうに、ふふ、と笑う。


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