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逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第三章◆◆ 木刀と金属パイプと私

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36/104

◆5◆

 アリッサとミノンは、稽古場の中央部で、五メートル程離れて向き合った。

 アリッサの傍らにはリーガが、ミノンの傍らにはヴォルフが立っている。


「ではこれより、アリッサ・スルーとミノン・マントノンとの他流試合を始めます」


 ヴォルフは声高らかにそう宣言し、ミノンから少し離れた位置に立った。

 リーガも同じようにアリッサの側から離れようとした時、アリッサはその袖をつかんで引き止め、小声で話しかけた。


「あんた、いつからマントノン家の手先になったのよ」


 リーガはアリッサの方に向き直り、少し微笑みながら、同じく小声で、

「稽古着を貸してもらってるだけだよ。入門はしてない。アリッサこそ、なぜこの試合を受けたのさ。全国格闘大会に出場したことと言い、いつものアリッサらしくない」

「色々あってね。話すと長いし、今はその時間無いから。でも一つだけ言っておきたいことがあるんだけど」

「何?」

「私が殺されそうになったら、すぐミノンさんの勝ちを宣言して。木刀を持った剣術使いは、ヤバいなんてもんじゃないことくらい、分かってるでしょう」

「それなら大丈夫。ヴォルフ君が、的確にジャッジしてくれるから。あの子は優秀だよ」

「そうやって、何でも人任せにするんじゃないっての。ああ、いっそあんたが戦えば良かったのに」

「マントノン家がご所望してるのはアリッサだ。僕じゃない」

 リーガの態度に、アリッサは少し怒った調子で、

「リーガ、対岸の火事見物は楽しい? 楽しいでしょうね。立場が逆だったら、きっと、私も楽しいだろうなあ」

「双眼鏡を持ってはしゃいでるアリッサの姿が容易に想像できるよ。でも、今はくだらないことを言ってないで、さっさと試合して来なさい。ほら、ミノンさんがお待ちかねだ」

「はーいはい。また後でね」


 リーガはアリッサから少し離れた所に立ち、アリッサはミノンの方へ向き直って、


「すみません、お待たせしました。どうぞ、始めてください」


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