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逃げ足道場 ~私を面倒事に巻き込まないでください~  作者: 真宵 駆
◆◆第一章◆◆ 託児所の平和を守る者
19/104

◆18◆

 紺色のジャージに着替えさせられたパティが、ちゃぶ台を挟んでアリッサと向かい合って座っている。


「一応カメラの中身は確認させてもらいます」

 アリッサは、パティに提出させたコンパクトカメラの電源を入れて操作を行う。液晶画面に次々と現れる画像を見て、


「女の子ばっかり。しかも、きわどいと言うか何と言うか……消去しますね」

「ああっ! それだけは見逃して、お願い! 別に女が女の子の写真撮ったっていいでしょう!」

「あなたは、マントノン家の名誉と女の子のいかがわしい盗撮写真と、どっちが大事なんですか!」

「盗撮写真」


 アリッサは全消去を選択し、決定ボタンを押した。


「あああああああ!」

 悲鳴を上げて、ちゃぶ台に突っ伏すパティ。


「はい、これでおしまいにしましょう。あなたは私に何もしなかったし、私もあなたに何もしなかった。それでいいですね?」

 パティの前にカメラを置いて、アリッサが冷たく言い放つ。

「私の宝物が……悪用しないで、個人的に楽しむだけだったのに」

「悪用したら犯罪です。しなくても盗撮は犯罪です。さて、そろそろ服も乾いた頃でしょう。着替えたら、帰ってください」


 突然、パティはちゃぶ台から身を起こし、アリッサの袖にすがりついた。


「あなたの裸の写真を撮るのは諦める。だから」

「何です?」

「お願い、私の裸をそのカメラで撮って!」

「とっとと帰れ!」


 アリッサは全力でパティを振り払った。もうやだ、この人。

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