◆18◆
紺色のジャージに着替えさせられたパティが、ちゃぶ台を挟んでアリッサと向かい合って座っている。
「一応カメラの中身は確認させてもらいます」
アリッサは、パティに提出させたコンパクトカメラの電源を入れて操作を行う。液晶画面に次々と現れる画像を見て、
「女の子ばっかり。しかも、きわどいと言うか何と言うか……消去しますね」
「ああっ! それだけは見逃して、お願い! 別に女が女の子の写真撮ったっていいでしょう!」
「あなたは、マントノン家の名誉と女の子のいかがわしい盗撮写真と、どっちが大事なんですか!」
「盗撮写真」
アリッサは全消去を選択し、決定ボタンを押した。
「あああああああ!」
悲鳴を上げて、ちゃぶ台に突っ伏すパティ。
「はい、これでおしまいにしましょう。あなたは私に何もしなかったし、私もあなたに何もしなかった。それでいいですね?」
パティの前にカメラを置いて、アリッサが冷たく言い放つ。
「私の宝物が……悪用しないで、個人的に楽しむだけだったのに」
「悪用したら犯罪です。しなくても盗撮は犯罪です。さて、そろそろ服も乾いた頃でしょう。着替えたら、帰ってください」
突然、パティはちゃぶ台から身を起こし、アリッサの袖にすがりついた。
「あなたの裸の写真を撮るのは諦める。だから」
「何です?」
「お願い、私の裸をそのカメラで撮って!」
「とっとと帰れ!」
アリッサは全力でパティを振り払った。もうやだ、この人。