第十九話お弁当②
「むぅ〜……」
「どうしたんだ真理?」
「何でもないよ。何でも」
ほんとに何でもないよ。
でもなんでだろう?この気持ち。
確かに勝手に鳳さんを呼んでたのは嫌だったけど、3人でお弁当を食べるのは嫌じゃないよ?
でもなんていうのかな?
こう……なんとも言えない、この気持ち。
もしかして嫉妬?
ないない!!
それよりお兄ちゃんは美味そうにお弁当を食べてくれるから嬉しいな!!
あ〜やっぱり、ハンバーグは素手でこねるべきだったかな〜。
でも私の手でこねたハンバーグを食べて嫌な気分とかになっちゃったら嫌だしな〜。
「はい橘君。あーん」
「いや鳳さん。自分で食べられますって」
「いいのよ。私がやりたいだけだから。将来の旦那様の為にね……」
「?何か言いました?」
「何も言ってないわよ。それよりほらっあーん」
!!??!!
って鳳さん!何やってるんですか!?
それっ私がやりたいやつですよっ!!
むぅ〜。こうなったら私もやるしかないっ!!
「お兄ちゃん!!」
「どうした真理?」
「次私ね?はいっあーん!」
「お、お前もか!?」
えへへ。照れてるお兄ちゃん可愛いな〜。
デジカメで撮っとこ。
そだっ味の感想も聞かないとね!
「どう?お兄ちゃん?」
「妹である真理にあーんをされると恥ずかしいけど嬉しいな……」
……
……
「ななな何言ってるの!?そ、そう言う事じゃなくて味の感想!」
「ああ。あ、味の方か。う、旨いぞ!」
「うん。ありがと。えへへ」
いーーーーーぃやっったーーーぁああ!!!
嬉しい!!嬉しいだって!!
なんでだろう?涙が止まんなよ……
お、おにぃちゃんにうれ、嬉しいって……いわ……れた
おっかしいな〜お兄ちゃんの顔がぼやけて見えないよ。
「おいどうした!?」
「ちょっと目にゴミが……ね」
「なに!?」
「ってお兄ちゃんどこ行くの!?」
「ちょっと真理の目にゴミを入れた風を殴りに行ってくる」
「無理だよお兄ちゃん!?相手は自然だよ!?」
「それがどうしたっ!!可愛い真理のそれまた可愛い目にゴミを入れたんだぞ!?許せんっ!!」
「……行っちゃった」
でも可愛いだって
えへへ。
☆
「ふう。」
「どうしたの鳳?ため息なんかして」
「ちょっとね」
「どうせまた橘君でしょ?」
「!???!!!?」
「はいはい。で?今回は何があったの?」
「それがね。私がせっかくお弁当を作ったのに……」
「ああ。美味しって言われなかった?」
「いやそれは言われたわよ。あ、あーんの時に」
「padwun?」
「だ、だからっ!あーんの時に!!」
「ま、まさかあんたが自分からやるなんてね。私何も言ってないのに。じゃ何があったの?」
「うん。それがね。橘君真理さんのことばかり……」
「諦めな」
「ひ、酷い!!」
「だってしょうがないでしょ?あの二人中が良すぎるんだから」
「で、でも!私だって……まだ……」
「ならそのいきで頑張りんさい!それじゃね」
「あ、ちょっと……」
そう。私だってまだ負けてないのよ!
……橘君にお弁当美味って言われたのは嬉しかったな。