第2話 夢の途中
「おい、目を覚ませ、サクラ」
私は頬を叩かれている。この声はウッドだ。
「なんとか上手く撒いたらしい」
「そうなんだ」
私は安堵の息をこぼして言った。
「まだ星の回廊まで距離がある、油断は禁物だ」
「さっきのヤツって死神?」
「まあ、そんなところさ」
ウッドは立ち上がり、再び私に行こうと言った。
「ウッドはどうして私を助けてくれるの?」
いささかこのことが不思議でしょうがなかった。何故、ウッドが私の味方なのか、さっぱり分からないのだから。ウッドは口開く。
「君がもしこちらに生まれていれば、僕があちらで生まれていた」
「どういうこと?」
「分かりやすく言うと、現実の世界は君が管理して、精神的な世界は僕が管理するって感じかな」
その返答に対して、私はさっぱり分からないと言ってあげた。ウッドは訝しげにこうまた話す。
「君は女の子として生まれてきただろ? じゃあ、もう一人はどこに行ったって話さ。僕は君の分身みたいなもんだよ。君は何も覚えてないだろうけどさ」
と、ウッドは言った。それでも話が分からない私は頷くフリをした。
「まあいい、レムの森を抜けたよ」
辺りを見回すとそこにはキノコが沢山生えていた。後、妙にべとついて大気が湿っている。
「ここはキノコの湿原さ。まあとにかく先を急ごう」
しばらく先に進むと巨大なキノコが沢山生えている。人を乗ることが出来る位の物凄い大きさのキノコである。私達はキノコからキノコへと渡り歩いた。しかし、しばらくすると、辺りから奇怪な音がした。
「奴等が来た、走るぞ!」
不安定な足場であるキノコの上を私達は走った。私が振り向くと黒い魔物が何体もいた。軽く数えるだけで10体以上はいる。
「一体、何体いるの?」
「幾らでもいるよ、君を死の世界に連れて行くまでね」
すると、黒い魔物はキノコに衝突したのだ!私はそれに足を取られ、キノコの上から落下してしまった!
「サクラ!」
そう言うと、ウッドは私の方に手をかざした。そして、あの暖かい光を使おうとするが、黒い魔物達に妨害されてしまう。そして、黒い魔物は落下する私の足を掴み、そのまま体内に放りこもうとする。
魔物の体内に近づくにつれて、色々な声が聞こえてきた。
悲痛。叫び。嘲笑。
私はその先に行くのがとても怖くなり、泣き叫んだ。そこでウッドは右手に槍を作り、私を掴んでいる触手に向かって放り投げた! 槍は触手を貫通し、切り裂いた。だが、私は足場がないため、そのまま深い谷底へと落下していく!
目を覚ますと、私はキノコの上にいた。キノコがクッションの代わりになり何とか助かったようだった。
「無事で良かった」
と、ウッドは私を抱きしめながら言った。
「ちょっと、暑いってば」
「ごめん」
と、ウッドはその腕を振り解いた。私の頬は妙にそのせいか火照ってしまった。
「そ、そういえば、魔物は?」
「一応、火で焼き切ったけどどうかな? 10分もしない内に追ってくるはず」
「じゃあ、逃げなきゃ」
「そうだな、ゆっくりと降りていこう」
光に包まれながら私達は下へと降りていく。やがて、地面が見え、そこに私達は足を着ける。
「さあ、こっちだ、進もう」
「ウッド、そっちで合ってるの?」
「合ってるよ、さあ、行こう」
私はウッドの差し伸べた手を掴み、再び前へと進んだ。
数分後、魔物達がまた背後から追ってきた。ウッドはそれを何度も何度も焼き払いながら、上へと上っていき、そして私達はキノコの湿原を抜けた。
「星の回廊までもうすぐだ、後はこの蜃気楼の街を抜ければね」
私達は二人、手を繋いでその街へと駆け出していく。
見切り発車の危険性を垣間見た(笑)
そして、物語は終盤へw




