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エコの推進
人類最大の発明、二酸化炭素を“吸い尽くす”巨大装置アトモス・クリーンが暴走した。
植物は枯れ、畑も森も灰色になり、世界は息苦しさに包まれた。
「CO₂を戻せ! とにかく増やせ!」
人類は必死だった。
火力発電所はフル稼働し、工場は24時間煙を吐き続け、
町では暖房代わりにドラム缶が燃やされ、
あらゆる国が “全力で汚す” という歴史上前代未聞の作戦に出た。
だが結果は――絶望だった。
燃やし続けたせいで、化石燃料そのものが底を突いたのだ。
石油タンクは空になり、ガス田も枯れ、
最後の石炭は子どもが拾ってキャンプごっこに使ってしまった。
世界中のエネルギーが止まり、街は静寂に沈んだ。
そして奇妙なことが起きた。
暴走していたアトモス・クリーンが、
燃料が尽きた世界を「安定」と判断し、勝手に停止した。
風が戻り、気温が戻り、植物の色が徐々に戻っていく。
地球の生命はゆっくりと息を吹き返した。
人類は悟った。
化石燃料が枯渇し、エネルギーを奪われたその瞬間――
地球は、ようやく平穏を取り戻したのだ。
強制的にエコへ戻された世界で、
人々はただ静かに、青空を見上げるしかなかった。




