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永遠のヒーラー(ショートショート集)  作者: シンリーベクトル


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22/24

エコの推進

人類最大の発明、二酸化炭素を“吸い尽くす”巨大装置アトモス・クリーンが暴走した。

植物は枯れ、畑も森も灰色になり、世界は息苦しさに包まれた。


「CO₂を戻せ! とにかく増やせ!」


人類は必死だった。

火力発電所はフル稼働し、工場は24時間煙を吐き続け、

町では暖房代わりにドラム缶が燃やされ、

あらゆる国が “全力で汚す” という歴史上前代未聞の作戦に出た。


だが結果は――絶望だった。


燃やし続けたせいで、化石燃料そのものが底を突いたのだ。

石油タンクは空になり、ガス田も枯れ、

最後の石炭は子どもが拾ってキャンプごっこに使ってしまった。


世界中のエネルギーが止まり、街は静寂に沈んだ。


そして奇妙なことが起きた。


暴走していたアトモス・クリーンが、

燃料が尽きた世界を「安定」と判断し、勝手に停止した。


風が戻り、気温が戻り、植物の色が徐々に戻っていく。

地球の生命はゆっくりと息を吹き返した。


人類は悟った。


化石燃料が枯渇し、エネルギーを奪われたその瞬間――

地球は、ようやく平穏を取り戻したのだ。


強制的にエコへ戻された世界で、

人々はただ静かに、青空を見上げるしかなかった。

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