2022年3月8日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#26 占い
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第24回目の今回は………
2022年2月1日放送。
妄想【愛の劇場】#26 占い
八巻と杏シリーズ第三回目。
「占いやおまじないは、お守りと同じだと思うのよ。勇気をくれるお守りね」
カフェのテラス席で今日も黄色いバレッタをつけた山吹杏が言った。そして、付け加える。
「占いとおまじないは、全く別物だけど」
まだ本格的な春は少し遠いが、桜並木の桜の木々は確実に若い芽を膨らませ始めている。
太陽の暖かさに誘われて青空の下でコーヒーを飲みながら、八巻は杏の話を聞いていた。
「不確定な未来を知りたいとか、現状の自分に対して疑問や不安を感じたり。そういう時に本格的じゃなくても、You Tubeの占いとか見ることない?」
杏の問に八巻は答える。
「ないよ。男はそういうの興味がないから」
「男はじゃなくて、八巻くんが興味がないんでしょ?」
杏が少し上目遣いで八巻の表情を伺う。
「私が働いてる幼稚園でね。占いとか好きな男の子いるもの」
その男の子を思い出したのか、杏の表情がほころぶ。
「毎朝テレビでやってる“今日のうらない”のラッキーカラーのものを、必ず幼稚園に持って来るの。理由を聞いたらね、大好きなお友だちともっと仲良くなるためなんですって!かわいいわよね」
柔らかい笑顔で話す杏の表情に八巻は心を奪われていた。
今回杏と休日を過ごす事になったのは、八巻からの提案だった。
八巻には歳の離れた双子の妹がいる。その妹達から、最近杏とメールを頻繁にしている事が何故かバレた。
占い好きな妹達は、You Tubeにある恋愛タロット占いの動画で、八巻の新しい恋の今後を占ったという。
細かくいえば、それは占ったとは言わないのではないか?とは思うのだが、妹達の熱心なお節介にほだされた。
占いでは、相手の女性も八巻に対して良い印象を持っているという。
妹達からの報告に、いささか心臓が跳ねるのを感じた。
小学生時代のまだ恋とは気が付かなかった淡い思い出。
当時は前に進まずに終わってしまった心の揺らぎが、今なら前に進むことがあるのだろうか。
「小学六年生の時のバレンタインデーの事、覚えてる?」
「え?まあ……」
杏の問いに曖昧な返事をしてしまったが、小学六年生のバレンタインデーのことはもちろん覚えている。
人生で初めて女の子からチョコレートをもらった日だ。忘れるわけがない。
「本当はね、八巻くんにチョコレートをあげようとか思ってなかったの」
ふふふと、いたずらっぽく杏が笑う。
「あの頃、消しゴムに好きな子の名前書いて、誰にも見られずに使い切れたら両想いになれるっておまじないがあったの」
「変なおまじないだな。バレないように消しゴムを使い切るなんて、無理じゃないか?」
「うん。難しかったわ。私は友達にバレちゃったし。でも、難しいから願いが叶うかも……って思うし、頑張れるのよ」
杏はひと呼吸を入れるように、カフェ・ラ・テを口に運ぶ。
「でね、消しゴムのおまじないが友達にバレて、卒業前に告白しようって話になったのよ」
杏は当時、八巻にチョコレートを渡すことになった経緯を説明した。
「でも告白なんて不安でしょう。その時、友達がチョコレートを受け取ってもらえるかトランプ占いをしてくれたの。占いで受け取ってもらえるって出たから、勇気をもらえたわ」
当時のネタバラしに八巻は今更ながら、杏の友人とトランプ占いに感謝をした。
全ての始まりは、杏からだった。
小学生の時、バレンタインに杏から告白された。
約二十年振りに、偶然杏と出会った。
その後すぐに、別の場所で再び杏と偶然の出会いをして、今一緒の時間を過ごしている。
子供の頃の杏は自分に恋心を持っていたというが、大人になった杏は自分の事をどう思っているのだろうか。
占いの通り、快く思っているんだろうか。
八巻は杏を見つめながら黙り込んでいた。
杏は不安な表情を浮かべながら、伺うように八巻を見つめる。
その表情に深く心を囚われないように、八巻は軽く深呼吸をして切り出した。
「また、こうして会ってもらう事はできますか?」
杏の呼吸が一瞬止まった。
杏の頬や耳が赤く染まっていく。
うつむき加減になりながら、恥ずかしそうに微笑むと「はい」と、柔らかい笑顔で八巻に応えた。
杏の表情を写したかのように、八巻の頬や耳が赤く染まっていくのが分かった。
八巻の心臓が、奥の方からジワリジワリと温かくなっていく。
恋だと気が付かなかったあの頃の心の揺らぎが、時を越えて恋から愛へと変わるのだろうか。
まだ、本格的な春は遠いが八巻には小さい春が訪れた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#27「自転車」




