【第3話】少女ドン引き
「マリさんには悪いですが、私、赤ちゃんに転生しなくてよかったですわ……」
私が当時を思い出して嫌そうな顔で話していると、少女がぽつりとそう言った。
「え?どういうこと?貴女は違うの……?」
「私は、この体が5歳くらいの時でしたわ。高熱でうなされている中、ふっと前世の記憶というか意識がわいた感じで……、体の持ち主の知識をそのまま引き継いだので、色々な情報が入ってきて……、すぐにゲームの世界だと気付きましたわ。」
「えっ、そんなパターンもあるの……?!」
「そういう系の小説ではよくあるパターンですわね。むしろ、マリさんのパターンのが珍しいんじゃないでしょうか。」
あの幼少期をスキップできるパターンが存在してたという事実がしんどい。
しかもこっちがマイナーパターンなのがダブルでショック!!
私が悔しそうに顔を顰めていると、少女が空咳を一つして、
「マリさん、すごいお顔ですわよ……、いつ如何なる時も笑顔を崩さない事で有名な白薔薇様とはとても思えませんわね……」
「……今はソフィアじゃなくてマリとして喋ってる部分もあるし……、もうなんか色々今更でしょ……」
口ではそう言いつつも表情を取り繕う私をみて、少女はクスクスと笑った。
私としては教師も白薔薇様も進んでなったわけではなく、半ば成り行きだったのでなんとも言えない気持ちになる。
「そういえば、少し気になったのですが、マリさんはサブカル系のものが趣味だったというわけではないのですね。」
「あぁ、そうね。マンガもゲームも、薦められたらとりあえずはみてみるけど……って感じで、自分からはあんまり。」
「このゲームについても、詳しいわけではなかった……と」
「そうね、プレイしてはいたけど高校生の時だったし、すっかり記憶が薄れちゃってて……」
少女はウンウンと相槌を打ちながらニコニコしている。
「それでも気付いたんですから、すごいですよね。……あ、また話を遮ってすみませんでした。続きを聞かせていただけますか?」
気にしないでと告げてから、私はまた話し始めた。