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全ての終わりと、新たなる始まり

 この"タピオカ女学院"に出現したオークの軍勢にとって、唯一の驚異ともいえる存在:『G4』。


 彼らが披露するライブを中止させようと、オーク達が自身の犠牲も顧みずに4人のもとへ殺到しようとしていた――そのときである!!





「――お前等、よくここまで持ちこたえた!!ここから先は、アタシ等大人が未来を示す番だッ!!」





 刹那、そのような威勢の良い掛け声とともに、颯爽と人影が姿を現す。


 その人物の出現を傍から見ていたあん子は信じられない、といった表情で驚愕した声を上げていた。


「嘘……りゅ、龍和先生ですか……?でも、教職員は政府からの応援部隊が来るまで、職員室にこもっているはずなのに、一体どうしてここに……?」


 そんなあん子に対して、サバサバ系女子を自称する女性体育教師:龍和 麻美が手にした竹刀を肩に担ぎながら、二カッと快活な笑みを浮かべて答える。


「へっ!本当ならアタシもそのつもりだったんだけどな!……まあ、教師って奴の中にも予想外に大馬鹿野郎が多かったってだけの話さ!」


 見れば麻美だけでなく、職員室で立てこもっているはずの他の教師達もそれぞの担当科目に関する道具を手にしながら、迫りくるオーク達と対峙しようとしていた。


「やれやれ、最初はただ単に三浦先生が下手なことをしないよう、引き留めるために職員室を出ただけだったのですが……龍和先生と三浦先生、御二人のやりとりを見ていると久方ぶりに何やら熱いものが自分の中から込み上げてくるのを感じたんですよ。――『自分達だけ安全なところに隠れていて、それで今度から生徒達に偉そうにモノを教えられるのか』ってね」 


「フフッ……崩壊まっただ中の教育現場だからこそ、保険医である私が貴方達に女の本音を見せて、ア・ゲ・ル♡」


 そのような熱き教員魂が込められた発言と共に、教職員達は校舎を荒らしライブを中止させようとするオーク達へと果敢に挑んでいく。


 無論その中には、この男の姿もあった。


「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!――俺は"英雄"としてではなく、一人の"教師"として!この学校を守りたいッ!!!!」


 盗撮用の隠しカメラを取り押さえられた学校教諭のようなテンションで盛大に叫びながらオーク達に挑んでいるのは、これまで周囲から"セクハラ教師"と蔑まれてきた冴えない中年男性――三浦みうら 尻政しりまさであった。


 現在の状況は尻政が思い描いていた"英雄"的な展開ではなかったが――それでも、自分は一人ではなく共に肩を並べて戦える者達がいる、という事実が誇らしく、嬉しい。





 体育教師の麻美が、敵の振り下ろすサイリウムを華麗に竹刀で捌いたりと『G4』のライブとは異なる熱気に満ちた激戦が、オーク達と教職員達の間で繰り広げられていく――。


 そのようにオークの軍勢に立ち向かう彼ら教員の姿はまるで、ライブで出現する厄介な荒らし勢を取り締まる歴戦の警備員が如き勇姿であった。


 彼らの強靭な意思と、それによって形成される鉄壁の防御陣形を前に、さしものオーク達も勢いを削ぎ落とされていく――!!





「さて、と……先生方のおかげでオーク達(アイツら)の相手は大丈夫そうだし――私もそろそろ、本気で行くしかないようね……!!」


 事態の成り行きと『G4』の圧倒的なライブパフォーマンスを見守るしかなかったあん子達の前に前に現れたのは、これまで姿を見せてこなかったクラス委員長の酢藤昆布すどうこんぶ 美咲みさきであった。


 普段は地味ながらも、実はクラスカースト上位に匹敵するほどの美人である美咲ならば、既にオーク達からアイドル契約を結ばされていてもおかしくはなかったが、彼女の威風堂々たる姿を見るに何とか切り抜ける事が出来たらしい。


 そんな美咲に対して、あん子達が『G4』の応援の片手間に自分達の疑問を問いかける――!!


「い、委員長!今まで無事だったん!?それにしても、どうやってオーク達を撃退出来たのさ!――冬彦くーん!!こっち向いてー!」


「それに、本気を出すとか言っていたけど、委員長は一体何者なんでござるか……?――って、あぁッ!?今絶対!ボブ殿は拙者と目が合ったでござるッ!!これはもう、想像妊娠からの疑似出産ルート、激しく不可避ッ!!!!」


 そのように激しく動揺する二人に対しても、何ら動じる事なく美咲は答えを返す。





「フフッ、そんなのは簡単な話よ。――実は、クラスの皆には黙っていたけど、私は"なろうユーザー"の一人だったのよ。」





「え……い、委員長があの(・・)"なろうユーザー"だっていうの!?」


 美咲の口からさらりと告げられたあまりの衝撃的な事実を前に、『G4』の応援も忘れて驚愕の声を上げるあん子達。


 見れば、あん子の発言を聞いた周囲の女生徒達も皆絶句し、驚愕の表情を浮かべていた。


 それというのも無理はないだろう。


 なんせ"なろうユーザー"という存在は、ネット上でまことしやかに囁かれてはいるものの、誰もリアルで目にした事はなく、女子高生達の間ではこれまで実在を疑われてきた都市伝説のようなものだったからだ。


 そんな"なろうユーザー"が、まさか、普段は地味で大人しいはずのクラス委員長を務める同級生だった……。


 多感な時期の彼女達が受け止めるには、あまりにも衝撃的過ぎる現実であった。


 ――だが、酢藤昆布すどうこんぶ 美咲みさきが本人の発言通り"なろうユーザー"であるなら。


 彼女の常軌を逸したスタイリッシュぶりや、オークの軍勢の只中すらをも切り抜けられるほどの能力といった事柄にも、全て説明がつく。


 それでもなお、事実を受け止めきれないあん子達クラスメイトの前で、スマホを取り出した美咲が不敵な笑みとともに告げる。


「そしてこれが、私の"本気"の実力よ!――弩Qどきゅうくーん!!オラつきながらも、二人っきりになると慌てふためくような、人間的脆さを見せて〜〜〜!!♡」


 瞳に♡マークを浮かべながらそう勢いよく叫んだかと思うと、美咲は凄まじい速度で文章を打ち込んでいく――!!





 美咲が書き上げているのは、現在この学校を舞台に自分達の眼前で繰り広げられている『G4』のライブを事細かに綴ったエッセイであった。


 連載形式でこれまでの凄惨な経緯や、それすらをも吹き飛ばすような『G4』の圧倒的なパフォーマンスと彼らに対する筆者の熱烈なまでの推しの精神。


 それらの要素によって描かれた会心の一作は、



『わかりみですね!私も弩Qどきゅう君を甘やかしてあげた〜〜〜い♡』


『ミーハー扱いされがちですが、私はやはり王道の秋男様推しで!!』



といった同じ『G4』を愛するファンや、



『それは貴方の解釈違いですね。私の見立てによると、弩Qどきゅう君への正しい理解は"彼に口汚く罵倒されたい"の一択のみ。異論は許されません』


『てゆうか、非公式だろうと人様のライブ中に、スマホなんかいじるな』



といった美咲アンチ達といった様々な者達の反応により、彼女の作品のPV・ポイントが爆発的に跳ね上がっていく――!!





このままいけば日間ランキング一位確実なまでの勢いに満ちた多くの人々の応援の意思が、"小説家になろう"上の美咲の作品を通じて、『G4』の面々へと流れ込む――!!



「――へっ、何やらよくは分からねぇが、皆の熱過ぎる想いが気持ち良いくらいに体中を駆け巡ってやがる!!ここまで来たからには、槍が降ろうと異世界に飛ばされようと一切の出し惜しみナシで行くぞ、お前らッ!!」


「――フッ、無論だ。"ドリンクキメラ学園"の生徒会長たる者として、人々の信任を背負う事には慣れている……!!」


「――小難しく考えるこたぁねぇ!!要は、また俺達が圧勝しちまうってだけの話だろぅが!?……ったく、"敗北"ってのがどこに転がり落ちてんのか俺が知りたいくらいだぜ!」


「――Be-hype.全てが嘘ッパチなこんな世の中でも、この『G4』のメンバーと応援してくれるファンのみんなとの絆だけは、不思議と信じる事が出来る……!!」



 ――先祖の威光を狩る秋男の”七光り”。


 ――”知的”な印象を見る者に与える冬彦の言動。


 ――過剰なまでの弩Qどきゅうによる”オラつき”。


 ――真摯な言葉とは裏腹に決して拭えないボブの”うさん臭さ”。



 数多の人々の希望と、異なる才覚を持つ4人が奏でる旋律が一つに合わさった事によって生まれた極大の奇跡。


 これ以上にない盛り上がりを見せた『G4』の熱唱が、絶望と憤怒に支配されようとしていたこの学園を眩き意思で覆い尽くしていく――!!


「バ、馬鹿ナ……!?コレホドノ凄マジイ力ヲ、女子高生アイドルデモナイ単ナル落チコボレニ過ギヌコイツ等ノドコニ、コレホドノ力ガアルト言ウノダ!!……カ、カッコ良スギル~~~ッ!!!!」


 『G4』の歌を通じて響き渡る未来を切り開く意思の力。


 その凄まじい力を直で浴びたオーク達が、盛大に後方へと吹き飛ばされていく。


 絶叫を上げながらも――自分達の侵略では決して届かなかった『G4』という鮮烈な在り方を称賛するかのように、皆満足げな表情を浮かべながら壁へと激突する。


 いくつもの派手な衝突による轟音が教室内どころか校内に響き渡るが、そんなモノでは自分達を止められないと言わんばかりに最高潮に達した『G4』の圧倒的なライブパフォーマンスが繰り広げられていく――!!





「凄い、本当に凄いよ『G4』は!!それに、これだけのライブが出来たのも委員長が、必死にエッセイとか言うのを投稿してくれたからだろうし……やっぱり、”なろうユーザー”ってのはアタシ等みたいな凡人とは違うんだな~!!」


 『G4』の生ライブを見終わったあん子が、興奮冷めやらぬ口調と共に、彼ら4人のライブの凄さと”なろうユーザー”である美咲への称賛を口にする。


 だが、それに待ったをかけたのは、親友である餅代であった。


 彼女は切羽詰まった表情で、慌ててあん子へと呼びかける。


「そ、それなんだけどあん子殿!当の委員長が何やら大変な事になっているようでゴザルぞ!!」


「ッ!?えっ!委員長に一体何が!?」


 餅代に発言で慌てて美咲の方を見てみれば、彼女は肩で息を切らせながら疲弊しきった表情を浮かべていた。


 そんな彼女の様子を見て、あん子だけではない他の女子達もようやく彼女に起きた異変を理解していた。


 今回の件を通じて美咲のエッセイは爆発的な人気を得たが、書き込まれた感想欄を見れば分かる通り、代償として”炎上なろうユーザー”としてのイメージが定着してしまう事となった。


 それによる多くの批判コメントは、彼女の精神を摩耗するのにあまりのも十分すぎる威力を誇っていた。


 また、このエッセイを書く過程で美咲が”なろうユーザー”であるという事実を周囲の者に知られた事により、今後彼女の執筆した作品が大人気になったとしても『そんなモノは、クラスメイト達に評価を依頼したクラスタ行為!!』などと、ネットの掲示板で誹りを受けたりするかもしれない。


 同じ十代の女子高生が背負うにはあまりにも過酷な、今後のなろうの活動を阻害しかねない影響を想像し、皆一様に涙を流していた。


 あん子が嗚咽を漏らしながら、美咲へと謝罪の言葉を口にする。


「委員長、本当にゴメン!!……ア、アタシ等にもっと力があれば、”なろうユーザー”である委員長をこんな事に巻き込まずに、もっと上手くやれていたかもしれないのに……!!」


 そんなあん子に対して疲弊しているにも関わらず、柔らかな笑みを浮かべながら美咲が答える。


「ううん。みんなもどら焼きさんも、気にしないで。これは私が好きでやった事だし、口さがない人間はどんな事をしたところで必ず悪く言うものだし。――だから私は、そんな評判や噂が気にならなくなるくらい、皆を驚かせる傑作・名作を生み出すんだから、楽しみにしていてよね!」


「何より、私の苗字と似ている”すこんぶ”っていう食べ物だって、そう簡単に人から食いちぎられたりしないんだから!」という一言が続いたが、皆「なるほどな~!」などと頷きながら、内心で『う~ん……今回もそんなに上手い事言えてないよな。――てゆうか、その一言いる?』といった感じの事を大同小異考えていた。


 そんな皆の内心など露知らず、今度は悟ったような――あん子達同性から見てもドキッ、とするような大人の女性を彷彿とさせる表情を浮かべながら美咲が呟く。


「それに――今回の事で、得たモノもたくさんあったようだし、ね……♡」


 美咲が見つめる視線の先――そこに映っていたのは、彼女の方に向けて歩いてくる4人のイケている青年達の姿であった。


 超絶Gランク落ちこぼれ男子高に通う、とっても素敵なアイドル崩れの男の子集団――『G4』。


 彼らは迷いなき足取りで美咲のもとへ辿り着くと、皆一様に隠し切れない好意とともに、彼女へと語り掛けていく――!!



「今回、俺達の事を助けてくれたのが、君みたいな可愛い女の子だったとは……!!何はともあれ、本当にサンキューな♡良かったら、俺のところで玉の輿ライフしないか?毎年産婦人科にトンボ帰りすることになっても、家の力があればいくらでも子供の面倒を見れるし、やたらと”血筋”とかにうるさい他の親族連中でも君があの”なろうユーザー”だって知れば、二つ返事で頷くはずだぜ!!」


「ふん、爽やかに見せかけながらも名家の力をひけらかして女性をモノにしようなどとは笑止千万だな、秋男。……彼女のような”なろうユーザー”という知的な存在には、僕のような者こそが相応しいはずだ……!!」眼鏡クイッ!


「クククッ、抜かしてやがれ木っ端メンマ共が!!――既にこの女は、この俺!弩Qどきゅう様を推してやがる事は確定済みなんだよ!!……なぁ、そうだろ……?まさか、俺を選ばなかったりとかしない、よな?……いや、俺様だってこんなところで負けたりするはずなんかない、って分かってんだけどよ……!!」


「全てが嘘っぱちなこの世界の中で、ようやく君というただ一つの”真実”という存在に出会えた。――この気持ちは偽りなんかじゃない。どうか、俺と一緒になってくれないか?」



 そんな『G4』のメンバーからの連絡先交換といった手順すらをもすっ飛ばした熱烈なラブコールを受けて、苦笑しながらもまんざらではない表情を浮かべながら、彼らとやり取りをしていく美咲。


 周囲の女生徒達同様、うらやましげな様子で餅代があん子に語り掛ける。


「ハァ~、やっぱり”なろうユーザー”ってのはアタシ等とは違う雲の上の存在なんだと、つくづく思い知らされますな~!……まさにトホホ~でござんすよ」


 隣にいるあん子に向けて、おどけながらそのように呟く餅代。


 だが、いつまで経っても思ったような反応が返ってこない。


 気になってあん子の顔を見ると、彼女は真剣な顔つきで美咲達の光景を見つめていた。


 そして、おもむろに口を開く。


「いや、餅代。確かにアタシ達は”なろうユーザー”みたいな特別な存在じゃなかったかもしれない。でも、それは特別どころか周囲から普通未満の落ちこぼれと言われてきた『G4』の皆だって同じはずなんだ」


「……あん子殿?」


 いつもとは違ったあん子の様子に、不安げに問いかける餅代。


 それでも彼女は自身の揺るぎなき意思を示すかのように、前を見据えたまま言葉を続ける。


「『G4』の4人や”なろうユーザー”だった委員長は、周囲の環境や悪評、今後の影響なんかをものともせずに、自分達が出来るそのとき。そのときの全力をやってきたからこそ、あぁして一緒に笑い合う事が出来るんだと思う。……少なくとも、”高校生らしい事をしてみたい”と口だけで言いながら、これまで何もしてこなかった私が、今の彼らと一緒に並ぶ資格はないと思うんだ……」


「……あん子殿」


 あん子は、自身とは何もかも違う『G4』や美咲の鮮烈な在り方を目の当たりにしたことによって、打ちのめされてしまったのだろうか。


 否、そうではない事は顔を上げた輝かしい彼女の表情が物語っていた。


 あん子は、この惨状の中ですら見せなかった自身に満ちた表情で決意を口にする――!!


「だからさ、餅代。私は例え”なろうユーザー”のような存在になれなかったとしても、これからは”才能”やら”身分”みたいな言葉なんかに逃げたりせずに、自分に出来る事を最大限にやって彼らに追いついてみせるッ!!――だって私達、オークみたいな侵略者を相手にしても、割と最後まで良い線行けてたし!!――だから、絶対に出来ないなんて事はないッ!!」


 そう口にしてからスゥ……と深呼吸したかと思うと、教室の中心で盛大にあん子が叫ぶ!!





「”これから”じゃない!!私は”今から”生まれ変わってやるんだ~~~ッ!!」





「ッ!?あん子殿!!……クソッ、拙者も負けてらんねー!!こっちだって負けないくらいにパリピチェンジしてやるでゴザルッ!!」


 感銘も受けた餅代も、人目をはばからずに叫び出す。


 周囲が突然の事にキョトンとする中、そんな彼女達に向けてパチ、パチと一つの拍手が送られた。


 音のする方に目を向ければ、そこにいたのは壁に叩きつけられていたオークの部隊長であった。


 オーク部隊長は拍手を中断し、これまで死闘を演じた相手とは思えぬ憑き物の取れたようなスッキリした表情であん子達へと話しかける。


「コレマデ我々ノ部族ハ、女子高生アイドルニ相応シイ愛ラシサヲ備エタ者達バカリニ目ヲ向ケテイタ。……ダガ、見タ目ノ良サヲ重視シ過ギルアマリ、我々ハ大事ナモノヲ見落トシテイタラシイ。――ソノ事ヲ、壁際ノ華ニ過ギヌハズノ君達ガ放ツ輝キデ思イ出スコトガ出来タヨ……!!」


 本当に褒めているのか分からない言葉と共に、部隊長が再び熱烈な拍手を始め、復活した他の部下オーク達も続く。


 そんなオーク達の行動に釣られるように、他の女生徒達や教師達も拍手や冗談交じりの声援を2人に投げかけていく。


 その中には、今は届かぬ存在であるはずの美咲や『G4』の面々の姿もあった。


「フフッ……頑張って、私に追いついてみせてね。どら焼きさん、桜咲さん……!!」


「オゥ、そうだ!!それどころか、追い抜かすくらいの勢いでお前達の生きざまを刻みつけてやれッ!!」


「僕のお眼鏡にかなう存在かどうか……じっくりと、注目させてもらうとしよう!!」


「ククク……テメェ等みたいに、翌日の事も気にせずに餃子定食・ラーメンニンニク増し増しを頼むような奴等は嫌いじゃないぜ……!!」


「本物に届かず諦めそうになった夜には俺を呼びな。――嘘っぱちだらけなこの世の中でもとびっきりに素敵な”偽り”の愛を、お前にだけ届けてやる……♡」





「――ッ!?み、みんな……!!本当に、ありがとう……!!」


 感極まって、泣きじゃくったように涙を流すあん子と餅代。


 周囲からの祝福を受けて、二人の少女はより一層の決意を固める。





 ――どら()き あん()と、桜咲さくらざき 餅代もちよ





 壮絶な死闘が終わったこの”タピオカ女学院”から、二人の少女の新たなる挑戦の日々が始まろうとしていた――。

ホワイトデーには、間に合わなかったよ……♡(泣)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回は見所が沢山ありすぎて頭が混乱してきました(笑) まず、本人の意図とは別に三浦先生の行動が他教師達を奮い立たせるキッカケになって結果オーライな部分が良かったですし、本人も少しは前向き…
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