日常の崩壊
――仲良し私立・『タピオカ女学院』。
この学校に4月から通い始めた女子校生:どら焼き あん子は、現在行われている数学の授業もろくに聞かず、机の下でスマホのソシャゲを行っていた。
(はぁ〜、毎日本当に退屈……せっかくの女子高生ライフなのに、ソシャゲとタピオカ飲むくらいしかやる事ないじゃない……)
そう内心で一人ごちるあん子。
授業中にも関わらず不真面目な事この上ないが、彼女がそのように不貞腐れるのも、ある意味仕方のない事であった。
(なんせここ女子校だから、全然男がいないじゃない!……いるのは数学の三浦みたいなセクハラ親父くらいでロクなのいないし……あぁもう!これじゃイケメンと付き合って、スケベな事したい!っていう欲求が全然晴らせないし!)
あん子は両親から特に男女交際を禁じられた訳ではないものの、ただ単に『家から近くて通いやすいから』という理由だけでこの"タピオカ女学院"を選んでしまったのだ。
そのため彼女はこのように入学してすぐに後悔する事になり、部活に入るでもなく勉強に熱心に取り組む訳でもない無気力な日々を過ごしていた。
(はぁ〜、どうせなら何か日常がパーッ!と弾け飛ぶような、ド派手な事が起きないかな〜……)
そんな彼女に対して、数学教師である三浦 尻政が
『コラッ、どら焼き!授業に集中しろッ!!……じゃないと放課後に呼び出して、しっぽり補修の名目で尻を触りまくってやるからな♡』
と発言し、クラス中から気持ち悪がられていた――そのときである!
突如、勢いよく教室のドアが開く――!!
駆け込んできたのは、サバサバ系女子を自称する女性体育教師:龍和 麻美であった。
彼女は息を切らせながらも、真剣な面持ちでまくしたてるように教室内に向けて叫ぶ――!!
「何チンタラ授業なんてやってんだ、お前等ッ!!ついさっき校庭に異界との門が繋がって、そこからオークの軍勢が押し寄せようとしてんだぞ!?――今すぐさっさと、避難の準備を始めやがれ!このスットコオボコどもッ!!」
刹那、一同に衝撃が走る――!!
こうして、あん子が望まぬ形で……いや、ある種望んだとおりに、代わり映えのしないはずだった日常は突如唐突に終わりを迎えることとなった――。