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今日から学校と仕事、始まります。②莞

大人にもなって親と買い物に行くとかwww

作者: 孤独

まだ遠過ぎて分からない事であるのに、意外と近かった事である。


スーパーの買い物カゴを手に持って、あれやこれやと詰め込んで、泣き叫んでもレジには通せず、返されたあの消えちまった思い出があったにも関わらずにだ。

それから10年後くらいが経ち。スーパーからショッピングモールとスケールアップをし、そこで友達と一緒に買い物したり、遊びに来たりと。親なんかとは絶対、買い物なんぞ来ないお年頃になった。


老いた親と寄り添うおっさん、おばさんを見ているとアホだねぇ~って、若さある内心が浮かぶ。

買い物のお手伝いは大変ですねぇ。



若さがあってもいずれそーなる、そんな事など分かるはずもない。

もしかすれば、介護ロボができて生活を支えてくれる時代になるかもしれない。



「うわぁ」


正直、引いた。

息子らしい男が、母親らしいおばさんと一緒に自転車コーナーに入っていった。

食品コーナーとかならまだ分かるけど、自転車とかマジで意味不明。それくらい自分で買いに行けってもんでしょー。付き添いないとダメなパターン?

もしかして、男の方は30後半くらいの見た目だから、流行りのこど○じ系なのかなぁ?おばさんの方に介護されてるのかな?



「電動自転車ってどれですかね」

「電動ですか。それならこちらですよー」

「ちょっとちょっと、正明。10万とか高すぎよ。母さん、電動自転車じゃなくても……」

「いいのいいの。気にするなよ。母さんは車の運転できないんだから、電動自転車にして買い物くらい楽にしなって」



えーーーっ!?

自分が買って親にあげるとか、バカなんじゃないですかーー?しかも、電動自転車。自分が使うならまだしも、親に電動自転車って……。マジ意味不明。親が買えよ!今まで子供を育てながら働いてるんだからさ、金あるでしょ。

私だって、こうしてバイトした金で買い物にくるわけだし。


「俺のボーナスくらい好きに使わせてくれ」


親孝行とか、私は絶対にしない。

自分の金は自分のモノよ。


「……分かったわよ。正明に多少は、甘える時ね」

「そうそう。ま、予算は13万ぐらいのもので、買い物で使うだけなんで手頃な感じの」

「かしこまりました」


人のために生きるとか、アホらしい。自分のために生きるが人生じゃない。

まぁいいや。自転車のカタログを読んでるフリして、あの親子の様子を見てみよ。って、自転車高っ!!ママチャリでも、もうちょい安いのあんでしょ。


「……………」

「はー、なんか落ち着かないわね」

「普段自転車屋に来ないしな。一緒に出掛けるのも久しぶりだし」


親と仲良くできるとか、マジでおかしいわ。親なんてただ衰えて、動けなくなる財布みたいな存在。家にいるペット以下なもんでしょ。飯も食うし、お風呂も入るし、喋るし、屁も出すし。

友達や将来の彼氏にマジで紹介したくない。


「こーいうのどうですかね」

「どう?母さん」

「そ、そうね。電動ということはバッテリーの付け方とか、充電の仕方が簡単なのが。いいかしら」

「大丈夫ですよー。簡単ですから」

「機械音痴なんだよな。未だにスマホは電話が精一杯」


親って流行りにも弱いから困ったものよ。


「できるかしら」

「覚えればいいだろ。バッテリー付けないと、普通の自転車より重いんだからよ」


…………それにしても、なんでこんなバカな事する人っているんだろ。

親に物を買ってあげるなんて。



「彼は社畜だから、金が余っているのよ~」

「うわぁっ!?」


そんな私の後ろから声を掛けてきたのは、自分よりも綺麗で大人なお姉さん。

心の中を透かされた言葉にビックリして、カタログを落としてしまった。


「三矢くんの事が気になってたでしょ?」

「だ、誰の事よ。なんなんですか!?いきなり」

「いやいや、別にー。ただ、面白そうだったから揶揄からかっただけ。これくらいポンッと出せる大人なだけよ。分かった、嫉妬女子高生ちゃん」

「!おばさんがいきなりなんなの!もうっ!!」


そういって見下す事に粋がる女子高生は、早足で店から出ていった。


「親を助けられるくらい余裕のある人と付き合った方がいいわよ。金もある証拠なんだから」


って言ってあげれば良かった、酉さん。

そんな雑なやり取りを、ほとんど最初から見抜いていた三矢はため息をもらす。

本音と共に。


「はぁ~……なんで偶然会うんだ?」

「正明。早く結婚してよねぇ。ほら、後ろにいる綺麗な子とか」

「いや、酉さんはちっと……」

「え?知り合いなの?あの子と」


親にも紹介したくない知人はいるもんだろ。




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― 新着の感想 ―
[良い点] いわゆる「青い」考え方ですねぇ。(笑) 第二次性徴からの成長途中における経過としての【独立】におけるプロセスの一端が顕著に現れている状態であり、誰かと一緒に居る事そのものより、それを「見ら…
2019/09/02 07:42 退会済み
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