第14話 〜起きて起きて!〜
「今、何時だろ」
勇人に感謝を告げたあと藍は枕元にあった携帯を取り、画面を見る。
ーー11:00ーー
画面に出たその数字。その数字に藍は目を点にする。
数秒間、時間が経ったあと藍は起き上がり、勇人の肩を揺らす。
「ゆ、勇人君!? 起きて起きて!?」
「……」
勇人はいつもより騒がしい朝を迎える。
安息している体が揺れた為、反射的に目を開ける。そして、自分が藍によって揺れているんだと認識する。
藍を見ると髪がボサボサな藍の姿があった。
そこで勇人は気づく、ここは藍の家だと。
「勇人君、もう11時だよ!? 早く学校行こ!?」
勇人は馬鹿かこいつ? と思ってしまった。寝過ごしたなら学校に行かなければいい。学校に行ったって待ってるのは藍が執拗にかまってきて、日佐人がそれに嫉妬して、注目を集めるだけ。
最近、学校に行くのが憂鬱になってきた勇人には逆に好都合だった。今から自分の部屋に戻り、魔法少女第3シリーズを見るか、魔法少女の分析をするか、勉強をする。
遅刻で注目を集めるより全然いいじゃないかと思っている。
「駄目だよ!? 学校に行かないと一緒に勇人君と居られないじゃん!」
何故か、勇人の心の声が分かった藍。
勇人は普通に自分の心で思っていた事を否定されびっくりする。
「ほら、自分の部屋に戻って準備してきて!」
まだ、寝起きの勇人の体を藍は立ち上がらせ勇人の部屋に戻そうとして玄関まで押していく藍。
藍の馬鹿力によって玄関につき、散乱していた自分の靴を履き外に出た勇人。
「11時45分に外で集合ね! 絶対に待ってるから!」
藍はバタン! と大きい音を立て扉を閉めた。勇人は扉の前で立ち尽くす。
ーー数秒後ーー
立ち尽くしていてもしょうがないと思い、自分の部屋の扉を開ける。
勇人は忘れずに鞄を持ってきて良かったと思った。忘れていたらまた藍に会わないといけない。
勇人は自分の部屋に入り、藍のいい匂いが漂っていた部屋と違い男臭い部屋に入り気づくことがあった。
「クソ……」
この男臭い部屋に漂う藍の匂い。それは勇人が着ている制服から匂う物だった。
この制服は1着しない。今から洗っても乾かない、学校に行って藍と一緒の匂いだと言われたらそれこそ最悪だ。
学校に行くならこの問題を素早く解決しなければならない。
服の匂いを消す前に自分の体の匂いを消すためにお風呂に入ろうと決めた。
ーー数分後ーー
お風呂から出た勇人はパンツと下着の姿で、制服に茶ブリーズ消臭スプレーを服に付ける。
————シュッ シュッ シュッ
3回、制服全体に茶ブリーズをかけた。多少は良くなった匂いたが、まだ微かに藍の匂いがする。
まぁ、近くで匂いを嗅がないと分からないほどだ。
これはもうしょうがないと割り切り、次は牛乳パンを食べる。
牛乳パンを食べた終わった頃の時間は11時35分だった。
もう学校に行く準備はできた。
勇人は頭の中で考える。外に出て藍を待つか?
否、俺は普通に藍を置いて学校に行く。勇人は藍を置いていく事を決意し、早々に家をでる。
絶対に待ってると決意した藍は勇人が置いて行ったと知らずに外でずっと待っているだろう、藍が外で待ちぼうけてる姿を想像しざまねぇよと心の中で笑う。
そして、勇人は学校に行った。
ーー11:47ーー
「ごめん、勇人君ちょっと時間すぎちゃった」
藍が勇人の方へ早歩きで近寄ってくる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
————ああ、馬鹿だ俺は
————なんで待ってるんだよ
勇人は本当に学校に行く道の半分を通すぎた頃、走ってここまで帰ってきた。
息がぜぇぜぇと言っている。勿論、息が荒いのでなんで荒いか聞かれるのは必然的だ。
「あれ? 勇人君、息上がってるけど、どうしたの?」
勿論、勇人は無視をする。
勇人は学校にいく途中、何回も藍の事を思い返していた。もしも、蕾ちゃんが俺に置いていかれたらどう思うか? 十中八九悲しむだろう。その答えに気づいた勇人は全力の走りで家に帰っていた。
————なんでこいつ蕾ちゃんに似てるんだよ……!
勇人の心の嘆きが藍に聞こえるはずがなく、藍は呑気な顔をして喋る。
「それじゃあ、行こっか」
平成最後の日、その日に投稿すると先程決意した俺、どうも! 犬三郎で〜す。
この小説ではうざったい後書きは書かないと決めたのに! 書いてしまった。
まぁ、そんなことはどうでもいい。平成最後の小説を飾るのはこの小説です。
令和初めてを飾るのはこの小説です。平成最後はお風呂でむかえそうです。
では、皆さん! あと8分ですが、最高の平成をお過ごしください!
by 平成ありがとう! と思っている犬三郎