第5話 魔王、登校する
短いお話です。
「おはよー」
「うぃーす、透、今日早いじゃん。」
「うっせ、ばーか。」
「おはよう。」
「お!おはよう魔王!お前も早い…」
声のした方へ振り返った3人は、教室の窓枠に手をかけた僕を見て固まった。よいしょ、と窓枠を乗り越えて僕は自分の席に座る。何も問題は無い。
「い、いやいやいやいや!だから魔王何やってんの?!何平然と座ってんの?!」
「ここは僕の席であろう。」
「そういう事じゃなくて!ここ2階!足場もないのにどうやって登ってきたの?!どうなってんの?!どうやってんの?!」
「普通に来たぞ。」
「いや、普通に来れないでしょ!?普通に2階の窓から登校してくる奴なんていないでしょ?!」
(カラカラ……)「おはようー!あ、魔王!何故私を置いていくの!待っているように行ったのにー!」
「「「……。」」」
魔王が入ってきた窓枠に手をかけて、同じようにのぞき込むのは同じく転入生の光。
軽々と窓枠を乗り越えて光もまた自分の席につく。
「え、これ俺らがおかしいの?最近は窓から登校が普通なの?」
「わ、わかったぞ!俺この前テレビで見たぜ!これはきっと、ボルタリングだ!!」
ハッとした顔で見つめ合う3人。
「なんか、学校の壁登ってたもん!」
「俺も見たぞ!そ、そうか!そういうことか!!」
「何だよお前ら、空でも飛んできたのかとビックリしたじゃねぇかー!」
「飛んできたのだが。」
「ははっ、相変わらずギャグが好きだな、魔王は!」
~翌日~
「ぐっうおおぉ!!」
「やばい、俺もうダメだ…」
「馬鹿野郎!大悟諦めるんじゃねぇ!落ちたら怪我じゃすまねぇぞ!!」
「考えるんじゃない、感じるんだ!!!」
「う、腕がぁーー!!」
「諦めるな!俺達だってやれば出来る!魔王や光ちゃんに出来て俺らに出来ないはずがない!!」
「やるんだ…ボルタリング登校を…っ!!」
「……お前達、何をやっているのだ。」
「「「何で今日は普通に登校してんだよ!!!」」」
※結局、出来ませんでした。




