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第2話 王都到着

はじまりの洞窟ミッションはさくっと割愛。前作でフミトが体験したのと同じような試練をヒルダも受けました。

ミッション終了後は逆にフミトも本作のような流れで王都に招聘されているとご理解ください。

 フレイアとともに勇者の初級試験である「はじまりの洞窟」ミッションをこな(クリア)したわしは、王都に招聘された。

 指示書は「巫女間通信システム」でフレイアが受信した。ネットワークの生体端末だと。なかなか興味深い機能だ。

 王都までの移動はどうするのかと尋ねると、驚くことに空間転移だった。

 大聖堂シャトー・ド・プルミエの門前でフレイアが腰の仮想キーボードを操作すると、眼前にタキオンフィールドが発生しゲートが開いた。


「この世界にワープゲートがあるとはな…」

「転移門のことです? 世界中で普通に使われているのです。もちろん転移門から目的地までは馬車を利用することもあるのです」

「転移先はどこじゃ?」

「この転移門は王都のほぼ中心、凱旋広場につながっているのです。賑やかなところです!」



 その周囲はぐるりと高い壁に覆われ、転移門から現れた大勢の入国者が壁に沿って作られたカウンターに行列を作っていた。

 馬車が隊列となってゲートから出現するさまも見た。

 通行証のチェックや荷物の検疫、税金の支払などが忙しく行われていた。

「お、女だ!女と男が一緒に並んでおるぞ!」

「あったりまえなのです!」


 中央の壁の向こう側からも大きな音が聞こえていた。

「壁の向こうに出発用の転移門があるのです。こちら側の到着口は転移門が一つですが、あちらは6つです」

 行き先別に転移門を用意しているわけか。

 幹線として使うなら、いちいち転移座標を書き換えるより固定した方が運用しやすいのだな。

 と思ったら、一度繋いだ転移門を繋ぎなおすことが出来ないからだんだん増えただけらしい。

 このワープゲートの能力は師団級の兵站が可能なレベルだが、座標の変更が出来ないだと?

 なんとも不可解な話だ。


 往来の活気に気を取られていたが、壁の上には大砲や石穹いしゆみの類がずらりと並んでいるのが見てとれた。

 王都中心に直接転移できる利便性がこの活況の大元だろうが、防衛を考えるなら転移門は王都から砲の到達限界程度は離れた場所に設置すべきだ。

 経済優先というわけか。この国は少なくとも軍事国家ではない。


 イマジナリボディといい、巫女の通信システムといい、ワープゲートといい、この世界は文明レベルがちぐはぐでおかしい。

 建物や人々の服装から全体的には歴史時代(作者注:地球における中世に相当)の技術水準に思えるのに、わしらと同等かそれ以上の科学技術が混在している。

 しかもその科学技術は、製作方法や使用方法の一部のみ継承されているようだ。

 再プログラミング不能な転移門なんて最たるものだ。

 任意の地にタイムレスでアクセスできるからこそワープゲートに価値があるのであって、既設のゲートにしか繋げない、なんてことがあるはずがない。

 原理が分かってないので応用が利かないのだろう。


「星からの神々の遺産なのです」


 星からの神々。この世界の創造主たる神にはあらず、しかしいずれのときかエクスアーカディアに現れ、地上人と交わり、やがて星に還って行った。

 神話伝承の類だが、現実にオーバーテクノロジーとおぼしきものが遺されている。

 過去にいずれかの恒星間文明(インターステラ―)がこの星に到着し、植民化すべく技術供与した。しかし何かの事情で放棄した。

 そんな感じか。

 邪神なるモノはよくわからんが、放棄した事情に関係するのかもしれんな。

 生物兵器の実験でもやって失敗したのだろうか?

 だが、それでは時系列が合わんか。


 我が軍にない技術ということはの軍の係累かもしれぬ。

 あるいはかつての汎銀河王朝(アーティクター)に連なるものか。


 イマジナリボディなるものはクローンよりも戦略価値が高い。

 クローンは兵士として成長するまで20年近くかかるため歩留まりが悪い。食料や訓練、教育など長期にわたりコストもかかる。病気や怪我によるロスもある。

 イマジナリボディなら即時にコピーを創造できる。

 しかも肉体のみならず、知識や経験もそのまま持った完全な複製だ。

 加えて、イマジナリボディならではの「あの」能力も付加されている。


「はじまりの洞窟」で発現したあの能力ちから


 この技術を持ち帰りたいところだ。

 出来ることなら大人型のフレイヤも連れて帰れればよいのだが。

 生体端末の解明もできるだろう。

 しかし基地の連中は相当に驚くだろうなあ。

 初めて見る大人の女とよぉじょだ。

 腰を抜かすぞ!ゼッタイにな!

 わはははは!!


 …今は帰る方法がさっぱりだがな。


 物理的に召喚されたわけではないし、物質として固定されたイマジナリボディを元の時空に戻す方法はないという。

 厳密に言えば伝承された恒星間文明(インターステラ―)の記録の中にはない、ということだろう。

 試作段階ならいざ知らず、製品化された技術にはかならずリセット機能があるはずだ。

 伝わっていないだけだ、多分。

 いやきっと。


 ただ、今はまず与えられた任務ミッション遂行コンプリートすることだ。

 敵がいるなら、殲滅する。

 場所と相手が異なっても、わしは兵士なのだから。

次回はなんとお風呂回です!

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