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第41話 討伐完了

 漸く書けたけど、短いです。

 「何だとっ!それは、本当なのかっ!」

 

 ケネスの言葉に、驚いた表情で反応する士道とサクラ。


 「ええ、こいつはレギオンクイーンではなくブレイダーアントのクイーンです。そして、周りにあるのは全てブレイダーアントの卵です」

 「「・・・っ!!!」」


 二人は壁にある卵を見て唾を飲み込み、冷や汗を流す。

 ブレイダーアントはレギオンアントに比べて数は多くはないが、一体一体の強さが段違いである。

ソルジャーアントは単体ではEランクで集団でDランクだが、ブレイダーアントは最弱の個体でさえもDランクでブレイダークイーンに至ってはSランクに近いAランクと冒険者ギルドの資料で見たことがあった。

 ただしブレイダーアントは個体数が少なく、殆どは魔境のような魔素の濃い魔境に生息しているが人里に辿り着く前に他の魔物に捕食されてしまうので、人間の領域に現れるのは滅多にない。

 だが運悪くレギオンアント等の巣がブレイダーアントと繋がってしまった場合、ブレイダーアントのクイーンは巣の奥深くに侵入してレギオンクイーンを食い殺し、倒したクイーンの匂いを体に纏わせることで残ったレギオンアントを操り、自分たちの個体数を増やしていくことがある。

 今回もそのような事態があったのかと考えるが、近くにレギオンアントが生息する魔境はない。


 「ここで考えても明確な答えは出ないので、クイーンの死骸と幾つかの卵を回収して戻りましょう」

 「・・・そうだな。確かにここであれこれ考えても仕方ないか」


 士道達が回収したレギオンアントの討伐部位と一緒にクイーンの死骸と卵をアイテムボックスに入れると、ケネス以外全員をトンネルに移動させる。


 「さてと・・・うん?これは?」


 落ちていたそれを回収したケネスは、皆が離れたことを確認すると、魔力を集めて解き放つ。


 「【プロミネンス・フランメ・ボーデン】」


 広場の中央に向けて放たれた魔法が空中で細かく拡散してその力を解放していく。

瞬く間に火の粉が舞い上がり、炎が周囲の物を焼き尽くす。

 広場を埋め尽くしていた卵は、炎に飲み込まれ、もうすぐ生まれようとしていた個体は何が起こっているか分からずに割れた殻の隙間から悲鳴のような音を立てながら崩れ落ちていく。


 「これで、今回の依頼は終わったな」

 「ええ、帰りましょうか?・・・リア、帰るよ」

 「・・・うん」


 どこか寂し気な表情をしているリアに声をかけて帰路に着く。

だが、ケネスには気がかりなことがあった。

 それはブレイダーアントのクイーンの死骸を回収した際に発見した物である。

アイテムボックスから取り出すと、それが血の付いた布の切れ端だという事が分かった。

 その布地の中央には鷲を象った紋章が描かれていることが分かる。


 「・・・はぁ、面倒ごとにならなければいいんだが」

 

 ため息を大きく吐くと、士道達の背中を足早に追いかけるのであった。

戻る為に上に登っていくと、殺虫剤の煙で動きの鈍くなったソルジャーアントが向かってきたが難なくこれを排除しながら進んで行く。

 漸く地上へと辿り着くと、ケネスは空に向かって火の魔法を打ち上げる。

それを合図に周囲の森や平野部から鬨の声が上がり、大地を震わせた。

 

 「よし、では俺たちも引き上げよう」

 「残りのソルジャーアント達はどうしますか?」

 「俺たちと入れ替わりに騎士団が警戒に当たる。最もクイーンを失ったレギオンアントは統制がとれずに共食いを始めるというから大丈夫だろう」

 「分かりました。では、引き上げましょう」

 「よっしゃー!帰ったら、宴会だっ!」

 

 嬉しそうにはしゃぐレンヤを士道さんはため息を吐きながら、首を小さく振る。


 「これがなければ、ランクアップもすぐなんだが」


 確かに、彼の大きな声で他の魔物を呼び寄せる可能性があった。

街に帰るまで油断しないことが冒険者にとって一番重要なことだろう。

 全員が馬車に乗り込むと、馬車を護っているパーティーに声をかけて街に向けて動き出した。

 周辺の冒険者たちも合図に気付いたのか徐々に街道の方に集まり、街の方へ向かう馬車に乗り込む。

 暫く、進むと街の方から何台もの馬車がこちらに向かって来る。

警戒しながら進んで行くと、それが騎士団を乗せた馬車であることが分かると皆の口から安堵の声が漏れた。


 「ご苦労様です」

 「・・・ケネス殿っ!あとは我々にお任せをっ!冒険者達よっ!街ではそなたたちの為に宴の支度をしているっ!それまで、無事に帰ってくれっ!」

 「「「「「おおっ~~~」」」」」


 その後、無事に帰還した冒険者たちは街の人たちと共に討伐依頼達成の宴へと突入した。




 ***


 サルレノに帰還した後ケネスの姿は、冒険者ギルドのギルマスと共に侯爵の館にあった。

今回の依頼を報告するためである。


 「今回は、ケネス殿たちに助けられたな。感謝する」


 お礼と共に頭を下げる侯爵と騎士団長。

 

 「顔を上げてください、侯爵閣下。被害少なく解決できたことやリーズ家が無事だったことは王国にとっても益あることです。それに私としてもリーズ家やこのサルレノが無事だったことは十分に意味ある事ですから」

 「そう言ってもられると、幾分か楽になるよ」


 報告を聞いて安堵の表情をする侯爵閣下。


 「では閣下、私はこれで」

 「ああ、報告ご苦労だった。冒険者達を十分に労ってやってくれ。あとで我が家から酒を提供しよう」

 「ありがとうございます。・・・では」


 報告を終えたギルマスが退室するとケネスは、本題を切り出した。


 「侯爵閣下。実を言うとクイーン討伐の際、このような物を見つけたのですが?」


 アイテムボックスから回収した布を取り出すと紋章が見えるように机に乗せる。


 「・・・こ、これはっ!」

 「・・・っ!閣下っ!」

 (おや?意外と反応が大きい?)


 二人の驚く反応を見るに、この紋章に覚えがあるみたいだ。


 「・・・・・・ケネス殿、この紋章について知っているか?」

 「・・・いいえ、何処かの国の紋章だと思いますが詳しくは」

 「・・・そうか」


 侯爵閣下は目を瞑り、そのまま考え込むように腕を組む。

幾ばくかの時間が流れると、ゆっくりと目を開いた。


 「この紋章については、陛下に聞いた方が良いだろう。この布も証拠品として陛下へ渡してくれないか?」

 「分かりました、そうい事ならお引き受けします」

 「うむ、頼む。・・・それはそうとケネス殿は、カーソン伯爵領に向かう途中だったな」

 「ええ、その予定ですが?」

 「では、帰りでも寄ってくれないか?・・・きちんとしたお礼をしたいしな」

 「分かりました。では、帰りにこちらに」

 「うむ」

 「・・・失礼します」


 ケネスが退室すると、侯爵閣下はゆっくり立ち上がり窓際から街並みを眺める。


 「・・・閣下。今回の件、いいえ以前彼が遭遇した王女襲撃の件も、奴らが」

 「・・・・・・断定は出来ん。だが、あの紋章があったとすれば可能性はある」

 

 先ほどとはうって変わって重苦しい雰囲気が部屋を満たしていた。


 「この件も含めて、派手に動けんのも確かだ。・・・ドーソン、ホラント辺境伯へ手紙を書く。最速で届けよっ!」

 「はっ!」


 騎士団長が退室すると、アルフォンス卿はおもむろに葉巻に火をつける。

ゆっくりとそれを吸い込み、吐き出した。

 

 「・・・何かが、起ころうとしている。・・・ここの所、何もなかったと思っていたが」


 遠くを見つめるアルフォンス卿の視線の先には、黒くどんよりとした雲が漂っている。

日が完全に落ちた室内で月明かりのみが彼を照らしていたが、それすらもなくなると部屋に暗闇が訪れた。

 葉巻の火種のみが唯一の光となると彼はポツリと呟く。

 








 「再び、戦争を仕掛けるつもりか・・・・・・あの国は」








 読んでくれている皆様には本当に感謝です。

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