第39話 討伐依頼 前日
漸く更新できました。
翌朝、宿屋で朝食をとっていたケネス達の元に冒険ギルドの職員がやって来た。
聞かされた内容は、先ほど帰還した士道たちから受けた報告とそれを基に討伐計画を練る為である。
ケネス達は、朝食を終えると伝令に来た職員と共に冒険者ギルドに向う。
冒険者ギルドに到着すると、中にいた冒険者たちは一斉にこちらを見てケネス達を確認すると軽く会釈をする。仲間を助けてくれた彼らにとってケネス達はまさに恩人であるからだ。
「こちらへどうぞ」
職員の案内の元、二階にある会議室に向かうと既にそこには調査依頼から帰って来た士道たちが座っている。
「士道さん、お帰りなさい」
「ああ、無事に帰ってこれた。あの虫よけのおかげで馬も馬車も無事だったから早く帰ることが出来た。しかし、あの虫よけは商売になるな、量産が出来たら是非とも売ってくれ」
「そうですね。王都に戻ったら、考えます」
「・・・・・・売り出したら、うちにも是非とも売って欲しいな」
扉の向こうから声がすると同時にギルマスと騎士団長の二人が、入って来た。
「・・・分かりました」
「おう、よろしくな。・・・さてと、レギオンアントの討伐依頼に関してだが少々問題がある」
「なにか、ありましたか?」
「それに関しては、俺から話したほうがいいだろう。・・・俺たちは、レギオンアントの巣が有るという場所まで向かうとそこには確かに巣が有った。だが、そこを護っていたのは生まれた間もないソルジャーアントだった。・・・それは、つまり」
「蟻たちの群れにも異常事態が起こっているようだ、と」
「そうだ。何れにせよ、C~Dランクの冒険者には対処が難しいとギルドは判断した。そこで、Aランク冒険者のケネスに依頼をしたい、・・・頼めるか」
「分かりました。この街に来たのも何かの縁ですから、この依頼を受けさせてもらいます」
ケネスはしっかりと頷くと、ギルマスや騎士団長はほっと息を吐いた。
「頼む。本来ならこの街だけで、対処しなければいけない案件だったはずだが」
「それは、違います。この異変が続けば王国にとっても大きなマイナスになります。事態解決に使える物は使うのが当たり前だと思います」
「・・・そうだな。では、依頼内容を確認する。レギオンアントの巣に突入するのはケネス達のパーティー、また退路の確保とバックアップは士道達のパーティーに任せる。それと動ける冒険者は周辺のレギオンアントの討伐に騎士団は街の防衛を行う。出発は明日早朝だ」
「我ら騎士団はそなたたちの帰りを待とう。ただし、生きて帰ってこい。特にケネス殿には閣下もまだ十分な礼を出来ていないとお考えなのでな」
「わかりました。必ず帰ってきます」
「こちらとしても異存はない」
「では、よろしく頼む」
四人は大きく頷くと、それぞれ席を立ち、退室していく。
会議室から出ていくギルマスに声をかける。
「ギルマス。聞きたいことがあるのだけどいいだろうか?」
「・・・何だ」
「ここに来るきっかけとなった「チェニス」のギルマスの弟さんは、・・・生きているだろうか?」
「ああ、あいつか」
彼は顔を伏せて、こちらを見ない。
そのことから最悪の報告を彼らにしなければならないのかもしれないと考えていると。
「彼らは、良く戦っていたがガードアントの攻撃で薙ぎ払われてな。何とか倒したが重傷を負った」
「それで・・・彼らは?」
「もうダメだと思っていたがな」
こちらに振り向いたギルマスに両手をケネスの両肩に置く。
伏せっていた顔を上げる彼の表情は思っていた物とは反対の物であった。
「彼らを救ってくれたのは、まさに君たちなんだ」
「・・・え?」
「最初に君が手当てをしてくれた患者がいただろう。それが君が探していた人物だ」
「では、彼が。チェニスの」
「そうだ。最初に手当てをした彼こそ君の探している人物だ」
「そうですか・・・それは良かった。それで明日の依頼には?」
「恐らく、参加するだろう。だが、クギは刺しておくが立場上それが限界だ」
「いいえ、今回のことで彼も考えるでしょう。大丈夫ですよ、きっと。・・・では、自分はこれで」
「ああ、明日の依頼。よろしく頼む」
ギルマスと別れて、一階に待機していたリア達と一緒に冒険者ギルドを後にする。
リア達に明日のことを話しながら、昨日回れなかった場所へと歩いていく。
「・・・それじゃ、私たちが攻略のメイン?」
「ああ、ただし。巣に入る前にたっぷりと殺虫剤入りの煙を撒くけどね」
「では、我々はソルジャーアント以外の個体ですか?」
「最終的にはクイーンアントの討伐だな。・・・ただ、巣の内部がどうなっているのかわからないから注意が必要だな」
それに前世では、二つの巣が一緒になった融合コロニーや複数の巣が纏まったスーパーコロニーなどがあったし、北海道で確認されたスーパーコロニーは2.7㎞の地下空間に四万五千の巣と三億六千万匹の働きアリと百万匹の女王蟻が生息していると考えられていた。
その四年後にはオーストラリアで百㎞のスーパーコロニーが確認されたはずだから注意が必要だろう。
この世界の蟻にも同じような習性があるかもしれない、可能性の話になるがもしもオーストラリアクラスのスーパーコロニーにいるレギオンアントが一斉に襲ってきたら人間なんてあっという間だろう。
しかも、地下に巣が有るから空からの攻撃は効果がないし、入り口を塞いでも中にいる働きアリが直ぐに別の入り口を開けるだろうから、侯爵閣下が殺虫剤入りの発煙筒に期待を寄せるのは当然だった。
明日のことを話ながら歩いていたら、不意に潮の匂いが鼻をくすぐる。
どうやら、適当に歩いていたら港に着いたようだ。
視線を上げると視界一杯に青い海が広がり、大小の船が桟橋に停泊して積み荷を降ろしたりしているのが見える。
「おお~~」
「・・・・・・これが、海。キレイ。・・・でも、少し生臭い?」
「それは、潮の匂いだな。大丈夫?」
「・・・うん、平気」
久しぶりに見た大海原を見たケネスと違い、生まれて初めて見たリアが素直な感想を口にする。
大型のキャラック船から様々な積み荷が屈強な船乗りたちにより船から降ろされて、持ち主の商人の所に運ばれていく。
街の方に視線を向けると、漁師たちが採って来た魚を売る出店が見えて活気があるのが分かる。
「陸側は、ソルジャーアントの襲撃で騒いでいるがここはそうでもないんだな」
「・・・うん。何処か、他人事のように見える」
「恐らく、ここにいる人たちの多くは船で来られた外国の方たちですから。・・・最悪、海に出てしまえばいいわけですから、仕方ないかと」
「例えここが無くなってもお得意様を一つ無くすだけだから、か」
それでも、商人たちにとっては死活問題なりかねない店や王国貴族家もあるわけで今回の依頼の重要性が
分かる。
それに、砂糖などの交易品はここを拠点にしていることが多いので少なからずケネスにも被害はあったが、もしそうなっても訓練用に作った空間で作ればいいので問題は無いが、国としては大打撃だ。
「う~~~ん。ここにいても仕方ないから、戻ってお昼にしようか?」
「・・・そうね。見た感じ、ここには魚屋さんしか無いようだし」
三人は港を後にすると、来た道とは別の通りに歩きだす。
途中で寄ったお店で昼食を食べたが、新鮮な魚介を使った料理を食べることが出来た。
明日の為に、いくつかの食材などを買い足して宿屋へと戻っていく。
そして、討伐の日を迎えるのだった・・・
仕事が忙しく中々更新できませんが、読んでくれている皆様には本当に感謝です。
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