表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/48

第32話 護衛依頼2

 明くる日の朝。

屋敷でリアのことを待っているとやや不機嫌な顔をした彼女がやって来た。


 「おはようございます。どうしたんですか?そんな顔をして」

 「昨日、お父様に今日のことを話したら護衛に騎士団をつけるとか言い出したの」

 「それは・・・娘のことを大事に思ってのことだと思うよ」

 「でも、一個騎士団を護衛に就けるとか言い出した時には流石に・・・ね」

 「・・・・・・そんなことをしたら色々とヤバいと思うけど」


 王国軍の規模で一個騎士団といえば大体6千から5千人ぐらいのはず。

リアの為にそんなことをしたとなれば、様々な部署から叩かれるのは目に見えている。

 そうなれば王家の権威が危ぶまれることにもなり兼ねないが。


 「流石にお母様が止めたから、どうにかなったけど」

 「それは、良かったです」


 ホッと胸をなでおろすが。


 「・・・でも、ここに来る時に三個騎士団を護衛にとかライナード宰相に話していたのを聞いた時には、呆れた」

 

 親ばか、ここに極まれりとはこのことかもしれない。

そんなことを考えて俺は天を仰いだ。

 見えるのは天井だが、今はそんなことどうでもいいと思う。


 「じゃあ、まずは冒険者ギルドに行って。リアの参加登録しないとな」

 「・・・うん、行こうッ!ケネス!」


 上機嫌な彼女に引っ張られる形で偽装した馬車に向かう二人を使用人たちは微笑ましく見ていた。

御者をイゼルナに任せて、冒険者ギルドに向かう。

 昨日いた受付嬢がまだいたので、彼女の列に並んでいく。


 「すみません。昨日の受けた依頼でもう一人追加の登録」

 「・・・ケネス様ですね。という事は、リア様を追加という事でよろしいでしょうか?」 

 「ええ、それでお願いします」

 「・・・では、カードをお借りします。・・・追加、完了です。お返ししますね」

 「・・・ありがとう」

 「ありがとうございます。では、行こうか二人とも」


 特にテンプレな展開もなく、馬車で南門に移動するとそこにはトーラス商会のマークが書かれた馬車が見えてくる。

馬車のそばで最終確認をしているのトーラスさんに挨拶に行く。


 「おはようございます。トーラスさん」

 「おや?これはケネス様。こんな朝早くにどうかされましたか?」

 「冒険者ギルドでトーラスさんの商会の依頼を見まして、参加したんですよ」

 「ありがとうございます。お陰で道中安心して進むことが出来ます。では他の冒険者の方と顔合わせはされましたでしょうか?」

 「ここに来て直ぐに、トーラスさんに挨拶しに来たのでまだです」

 「では、案内しましょう。こちらです」


 トーラスさんは残りの確認を部下に任せて、隊列の一番前の馬車に向かう。

そこには、武装した三人の男女が出発準備をしていた。


 「シドウ殿。残りの冒険者が到着したので顔合わせをお願いします」

 「分かりました。おいッ! サクラッ!レンヤッ!集まってくれ」


 彼を大声で声を掛けると、メンバーであろう二人がこちらに向かって来る。


 「何かありましたか?、シドウ」

 「まだ準備、終わっていないのに、どうしたんすか?叔父さん」

 「他の冒険者との顔合わせだ。・・・トーラスさん、集まりました」

 「はい、では皆さん。今日からよろしくお願いします。では私は確認に戻りますので失礼します」


 トーラスさんが荷物の確認に戻ると、シドウと呼ばれた男がこちらに来た。

 

 「では、まずは挨拶といこう。俺はパーティー「ヤタガラス」のリーダーをやっている。士道という、種族は鬼族で主に前衛を担当する。あとランクはBだ、これからよろしく頼む」


 そう言って頭を下げる彼は、背も高く、青い色の髪は全て後ろに流したオールバックスタイルで額には親指ほどの角が見える。


 「私は「ヤタガラス」メンバーの一人で、名前は桜と言います。どうぞよろしくお願い致します。私もBランクです」


 丁寧な挨拶をしてきた彼女も士道とあまり変わらないくらいの背丈であるが、女性らしい柔らかさを感じさせる。黒髪を団子してあったり、胸当てと左腕をカバーしていることから、弓使いなのだろう。

 彼女にも角はあるが、士道とは異なり細い角が二本生えていた。


 「俺はレンヤだ。ギルドランクはCランクだッ!いいか、この護衛の間だけで構わないから、邪魔だけはするなよ」


 大声で名乗った彼は、背丈は士道と変わらないがどこか危うい気がする。短く切った茶色の髪から士道と同じ様に角が生えているかと思ったら、生えていなかった。

 角が生えるのは、成人してからなのだろうか?

    

 「初めまして、ケネスと言います。こちらは、仲間のリアと、イゼルナと言います。これから道中宜しくお願い致します」

 「・・・よろしく」

 「よろしくお願いします」

 「おいおい、こっちはギルドランクを言ったんだぜ。お前らは言わないのかよ?!」


 それぞれが頭を下げるとレンヤが、癪に障ったのか声を荒げる。

最もギルドランクは自己申告で、本当かどうかはわからない。言わなくてもいいのだが彼にはこちらも言ったんだからそちらも言えと言う感じだろう。


 「申し訳ありませんが、この場でいったとしても信じてもらえない可能性がありますので」

 「だからってよう!「そろそろ、出発します。皆さま、それぞれの馬車に乗ってください」チッ!」


 聞き出そうとしたレンヤだったが、運悪く出発の時間が来てしまったので馬車に歩いていく。


 「では、これからよろしくな。ケネス」

 「ええ、こちらこそ。士道さん」


 お互いに握手をすると各々の馬車に向かって行く。

暫くして、先頭にある士道たちの護衛を乗せた馬車が動き出す。

 こうして南部への護衛依頼は開始された。



 商隊が王都を出発して、暫くした時。


 「・・・流石に一日目では、何も起きないか」

 

 王都に向かって進んでいく馬車や地方に向かって行く冒険者や馬車が多いので、盗賊が襲うにしてはリスクが高すぎるのだろう。

 それに、彼らの元の職業で危険度が大きく変わる。

元の職業が傭兵ならそれなりの戦闘経験と相応の装備を持っているので盗賊の中ではかなり危険度が高く、確実に勝てる相手に襲いかかるので余計に質が悪く、これが戦争中ならもっとひどくなるだろう。

 一方、農民が盗賊になった場合は簡単であるといえる。

不作や重税、または盗賊に強奪されたなどで食い詰めた農民がなっただけなので食料を持った商人などを優先的に多人数で襲いかかるが傭兵とは違い、戦闘経験が皆無であるのと装備が貧弱な為に崩壊が始まれば簡単に勝負がつく。

 最も傭兵とは違い、始めから追い詰められているので半ば死兵とかして来るので傭兵とは違う意味で質が悪いと言えるが、彼らの場合はその土地の領主がきちんと仕事をしていればそもそも盗賊にはならない。

 今から行く南部の纏め役のリーズ侯爵家もそれを知っているのかわからないが、良く盗賊や魔物などの討伐依頼がギルドに貼られているを知っている。

 そんなことを考えていると馬車が止まっていることに気が付いた。

マップで確認して見るが止まった場所には特に脅威となる敵性生物はいない。


 「主。本日の野営地に到着しました」

 「分かった。俺たちも野営の準備をしよう」

 「畏まりました」


 とは、言った物の仕度と言えるものは全て馬車の中に用意されれているので、夕食の準備しかやることはないのだが士道たちと余計な軋轢を生まない為にも作業をしなければ。


 「ケネス、これから夕食の準備と夜の見張りの順番を決めたいのだがいいか?」

 「ああ、構わない。見張りについて提案があるのだが、いいだろうか?」

 「何か案があるのか?」

 「ああ、ゴーレムを出そうと考えているが」

 「ほお、ゴーレムが使えるのか?!・・・ゴーレムの練度はどれくらいだ?」

 「出してみるから、試してみてくれないか?自分だと、どうにも評価しづらいんだ」

 「こちらとしても、お願いしたい」


 士道を腕試しを兼ねてアイテムボックスに入れてあるゴーレムを取り出す。

士道たちの前に姿を現したのは大型の人型ゴーレムだった。

 今までの訓練用のマッドゴーレムではなく、キチンと実戦用に製作したミスリル合金製のゴーレムだ。

全長三メートルほどの大きさで、頭部は量産性と視界を考慮して、ミスリル合金製の外枠に「硬化」を付加した強化ガラスを使い、曲線を描くような菱型に作ってある。

 前世の人型機動兵器のように武装を変更することで高い汎用性を持たせようと考えていたが換装するよりも個別に造った方が結果的に性能がいいので片手で数えられるくらいの種類を数機しか造ることが出来ていない。

 取り出したゴーレムは、GTーゴーレムタイプ・ガーディアンと呼ぶ、拠点防衛型ゴーレムである。左腕にアダマンタイト合金製の大型のタワーシールドと同じくアダマンタイト合金製のメイス、そしてバックウェポンとしてファイヤーボールを撃ちだすカノン砲を一門を背負わせた。

 ただ、重量が重すぎ為に移動力が低いが役割が防衛の為なので問題なしと考えている。

コストは軽く見積もっても、一体で城が買えると思う・・・材料費だけで。


 「こ、これは・・・何なんだっ!こんな、ゴーレムなんて見たことがないぞっ!」

 「これは、拠点防衛用の作ったゴーレムです。足は遅いですが、その守備力は高いです。やりますか?」

 「・・・・・・そうだな。威圧感が凄まじいが、もしかするとがあるからな」

 「では、頼むぞ」


 ゴーレムは小さく頷くと、戦闘態勢を取る。

タワーシールドを前面に押し出し、盾に隠すようにメイスを構えた。


 「では、いくぞっ!!」


 士道が得物である金属製の六角崑を持ちながら、一直線に駆ける。

最短距離を移動してくる彼を、ゴーレムはカノン砲で迎撃していく。

 着弾したファイヤーボールが炸裂していくが士道はその中を縫うように回避していくが、爆炎の炎が彼の肌を焼いていった。


 「・・・・・・くっ!初級魔法だと侮っていたが、こうも連続で打ち込まれると中々辛いものだなっ!」


 鬼族の高い身体能力で回避しているが、それはゴーレムが一体だけしかいないからでもう一体いたら回避は出来ないだろう。

 漸くゴーレムの近くに近づき、一撃を加えようと渾身の力を込めて得物を振るう。


 「・・・おらっ!」


 風を切る音と共にゴーレムに叩きつけると、普段とは異なる音が辺りに響いた。


 「なっ!」


 アダマンタイト合金製の盾に打ち付けられた六角混はくの字に折れ曲がっている。

盾の方には目立つ傷はない、完全に強度不足だろう。

 驚いて動きを止めた士道に反撃しようとゴーレムがメイスを振り上げる。


 「・・・そこまでっ!」


 俺が終了の合図を出すと、振り上げたメイスを下ろして警戒態勢にシフトした。


 「どうでしたか?ゴーレムの性能は?」

 「・・・凄いものだな、このゴーレムが味方でよかったよ」

 「ありがとうございます。しかし、武器の方はどうしましょうか?」

 「ああ、これか。いい武器だったんだが」

 「良ければ、直しましょうか?」

 「出来るのか?」

 「多分、出来ますよ」

 「なら、頼む。一応、替えの武器はあるんだがこっちの方が使いやすくてな」

 「分かりました。ではやってみます」


 受け取った六角混の素材を鑑定してみると、魔法鋼で作られていみたいだ。

本当なら魔改造したいが、今回の依頼で初めて会った人の武器にそこまでするほどお人よしではない。

 曲がった六角混を土魔法で修復していくと、あっという間に修復が終わる。


 「はい、出来ましたよ」

 「おお、すまんな。・・・・・・うん、以前と変わらない。ありがとう」

 「いえ、これくらい訳ないですよ」


 お互いに握手をしていると夕食の支度が出来たと、イゼルナが呼びに来きたのでついて行く。

全員が焚火を囲んで夕食を食べ始める。

 今日の夕食は、黒パンと具沢山なスープであるが旅の間の食事としては豪華であろう。

一般的な食事だと、焼き固めたパンと塩辛い干し肉か、干し肉をお湯で浸したスープぐらいのはずである。

 だからか、みんな食いついた。


 「うめぇ~~~。こんな具沢山なスープが野営で食えるなんてっ!」

 「確かに、こんなうまいスープは中々食べれない」

 「本当ね。野営の食事はまずいと相場が決まっていると考えていたけど、改めないとといけないかも知れないわね」


 同御者の士道たちが絶賛しているスープであるが、実際はその辺に生えている薬草などの野草やキノコなどを使っただけである。

味付けも先の干し肉を適量入れただけで他は入れていない。

 こんな所まで取りに来る冒険者がいない為に比較的浅い場所で採取することができるし、ポーションなどに使われるキノコは魔力を貯めこんだ分だけ味が良くて腹持ちがいい食材だったりする。

 サバイバルが基本の冒険者だったら覚えておいて損はない技能だと、ロウが言っていたっけ。

そんなことを考えながら、スープのお代りをよそっていると。


 「あああああッ!俺が狙っていたキノコをよくも取ったなっ!」

 「・・・はっ?」


 鍋に残っていた大振りのキノコをよそった途端、レンヤが叫び声をあげる。

リアやイゼルナ、トーラスさんが突然の大きな声に顔を顰めた。


 「・・・もう、許さんっ!決闘だぁ!!」


 大変、馬鹿馬鹿しい理由で俺は決闘を挑まれた。





 何時も読んでくれている皆様には本当に感謝です。

これからもよろしくお願いします。

 修正点・感想・ブックマークよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ